撮影日記 |
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2022年04月12日(火) 天気:晴「関式サロン露出計」の発売はいつか「関式サロン露出計」は,日本国内で発売された計算盤式露出計として,ポピュラーなものの1つである。1960年ころには,「セノガイド」という形に進化して,1980年代までは発売されていたようである。「セノガイド」に進化する前の,「関式サロン露出計」は,なんどかのモデルチェンジがおこなわれてきた。大きくは,第二次世界大戦前から発売されていた円形のものと,戦後に発売された,角形の台の上に円盤が取り付けられたものにわけられる。それぞれを丸型,角型とよぶことにする。また,丸型,角型ともに,それぞれいくつかのモデルにわけられることが確認できている。 「関式サロン露出計」と並んで,ポピュラーな存在といえる計算盤式露出計として,「佐和式露出計算尺」というものがある。「関式サロン露出計」が円盤状であるのに対して,「佐和式露出計算尺」は直線状である。まさに,計算尺である。アルスが発行していた雑誌「カメラ」の1933(昭和8)年2月号に「三月上旬発売予定」という広告があり(2022年2月6日の日記を参照),1933(昭和8)年11月に印刷されたと記載のある,「正則写真術」(佐和九郎 著,アルス)に「昭和8年3月より,私の係数を基礎とした『佐和式露出計算尺』がアルスより発売され」とあることから,「佐和式露出計算尺」が発売されたのは,1933(昭和8)年3月ということで間違いないだろう。 なお,このときの広告には,製品の写真は掲載されていない。 アルスの「カメラ」で1939(昭和14)年6月号では,基本的なレイアウトなどは変わらず,この目立っていたセールストークの部分がつぎのように改訂されている。 このタイプの広告は,このあと1940(昭和15)年2月号まで,大きな変更なしに掲載が続く。 そして,1940(昭和15)年3月号では,内容が一新されている。そこでは,いちばん目立つセールストークが「待望の新型」というものになる。「片手一回で適正露出」と謳われていた特徴には,「昼でも夜でも」という説明が付け加わるようになっている。この後,戦争の激化にともなうように雑誌のページ数は減少し,広告は縮小されていくが,「待望の新型」「昼でも夜でも」の文言は継続して使われている。たとえば,かつて見開き2ページあった広告のサイズが「アサヒカメラ」1941(昭和16)年4月号では半ページ分に縮小されているが,ここでも「待望の新型」「昼でも夜でも」の文言が見られる。 ともかく,この「待望の新型」の発売は,「関式サロン露出計」としてのはじめてのモデルチェンジのようである。そして,これによって,丸型の「関式サロン露出計」は,「初期型」「待望の新型」と戦後のサマータイム対応版(2021年10月31日の日記を参照)の3つに分類できることになる。そして,「関式サロン露出計」の発売は,1938(昭和13)年11月ころであり,初期型の発売期間は1940(昭和15)年2月ころまで,ということになる。 |
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