撮影日記


2021年04月09日(土) 天気:晴のち曇

夜のバレリーナ

Kodak DCS 460のとKodak DCS 420は,どちらもNikon F90シリーズのボディと組みあわせてデジタル一眼レフカメラを構成したものである。両者のいちばん大きな違いは,Kodak DCS 460の撮像素子は600万画素のものであるのに対し,Kodak DCS 420の撮像素子は150万画素のものであることだ。その大きさは,Kodak DCS 460のものが27.6mm×18.4mmで,Kodak DCS 420の13.8mm×9.2mmのものの,ちょうど4倍の大きさである。それでいて,画素数の差もちょうど4倍なので,両者は画素数の違いだけのように思える。しかし,ほかにも違いがある。とくに,Kodak DCS 420のほうがすぐれているといえる点が2つある。
 1つは,連写能力の差である。Kodak DCS 460はおよそ2秒間隔で2コマまでの連写が可能であるが,1コマあたり600万画素という当時としては最大級のデータを記録メディアに書きこむのに10秒以上かかるので,事実上,連写はできないようなものである。2コマまでの連写ができるというよりも,露出を変えてもう1コマ撮ることができる,というくらいに考えておくのがよい。Kodak DCS 420は約1秒間隔で5コマまでの連写ができる。1コマあたりのデータは150万画素という少し軽いものなので,記録メディアへの書き込みにかかる時間もKodak DCS 460よりは短いが,それでも途切れずに連写ができるというほどではない。それでも,Kodak DCS 460よりは連写に強いと言えるだろう(2019年6月28日の日記を参照)。
 もう1つは,感度の設定である。Kodak DCS 460は,ISO 80で撮影するようになっている。カメラ(Nikon F90)側の感度の設定をISO 80以外にしても,いちどレリーズすると,自動的にISO 80にもどってしまう。それに対して,Kodak DCS 420は,ISO 100からISO 400の間に設定して使うことができる。その範囲外に設定したところで,いちどレリーズすると,自動的に範囲内にもどってしまうようになっている。ISO 80とISO 400くらいの差であっても,Kodak DCS 420は,Kodak DCS 460よりも暗所での撮影に有利だとみなすことができそうである。

この春に咲いたチューリップは,品種名がわかっているものも含まれている。そのなかに,ユリ咲きの「バレリーナ」というものがある。やや遅咲きのようで,ほかの花より遅れて,ようやく開花した。このとき,ふと,ずっと以前に耳にした「夜のバレリーナ」という楽曲を思い出した。
 歌っていたのは,イタリアのレーナ・ビオルカーティというポピュラー歌手である。日本ではあまり話題になったようには思えないが,日本国内盤のCDが発売されていたことはある。そのCDが発売されたのは,1990年のことだったようだ。

ここで,話しがつながる。
 Kodak DCS 460とは違い,ISO 400に設定して使えるKodak DCS 420で,夜の「バレリーナ」を撮ってみよう。

Kodak DCS 460, Ai NIKKOR 50mm F1.4

夜とはいえ,常識的な明るさのライトで照らされれば,ISO 400の設定とF1.4のレンズの組みあわせでじゅうぶんに撮れることはわかった。
 個人的には,もっぱらISO 100のフィルムを使ってきたので,はじめてデジタル一眼レフカメラNikon D70を買ったときに,感度ISO 1600相当まで使用できることに大きな可能性を感じたものである。一方,感度の低いほうはISO 200までで,ISO 100に設定ができず,露出の感覚にすこし違和感をもったものである。ともあれ,ISO 400のフィルムは「高感度フィルム」だったという感覚を思い出したような気がしたのであった。


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