撮影日記


2020年09月28日(月) 天気:はれ

超広角レンズで撮る大判写真 白いヒガンバナ

例年よりも時期がやや遅いが,ヒガンバナが目立つようになってきた。ヒガンバナというと,田の畔,川の土手,あるいは道ばたなとに,赤い花が群れているイメージであるが,そこに白い花が混じっていることもある。モノクロでヒガンバナを撮るとき,とくにパンクロマチック(すべての可視光線に感度がある)ではない印画紙で撮るときには,赤い花も緑の葉や茎も,すべて黒っぽく写ってしまう。印画紙で撮影すると硬調に写りがちと言われるが,そこにはパンクロマチックではないということが大きく影響しているのだろう。
  だから,モノクロ印画紙でヒガンバナを撮るならば,白い花のものが都合よい。白い花であれば,背景になる緑の葉や草がどんなに黒く写ったとしても,花の形がしっかりとわかるように写るに違いない。

FUJINON SW 120mm F8, FUJIBRO WP FM2

近所の道ばたに,白いヒガンバナが群れて咲いているところがあるので,そこにカメラをセットする。朝晩はすっかり涼しくなっているが,昼間の日ざしはまだ強い。日傘を使っている人は,まだ多い。

いつものように,八つ切サイズの組立暗箱を四つ切1/2(6インチ×10インチ)判で使い,120mmレンズで撮影する。この判で使う120mmレンズは,ライカ判で18mmを使うときに相当する範囲が写る超広角レンズとなる(2020年8月16日の日記を参照)。

FUJINON SW 120mm F8, FUJIBRO WP FM2

超広角レンズの特徴を活かすなら,被写体にできるだけ寄りたい。この組みあわせで使うとき,レンズのイメージサークルの大きさが,画面の大きさに対してあまり余裕がないのである。しかし,被写体との距離が近ければ,イメージサークルにも余裕ができる。また,レンズの焦点距離が短いので,蛇腹を無理に縮めなければ遠方にピントをあわせられない。そんな状況なので,接写はなにかと好都合なのである。  しかし,八つ切サイズの組立暗箱はそれなりに大きな三脚に載せたい。ところがそのような三脚は,いちばん低くしたところでそれなりの高さがある。脚はじゅうぶんに広げられるのだが,ポールには一定の長さがあるし,雲台部分の高さもそれなりのものがある。したがって残念ながら,花に近づくのはこれが精いっぱいであった。ただ,これくらいであれば,ピントあわせも難しくない。

FUJINON SW 120mm F8, FUJIBRO WP FM2

写ったものを見返すと,背景で少し陰になっている木の葉はかなり暗く写っているが,日光がよくあたっている土手の草は,思ったよりも明るく写っている。

FUJINON SW 120mm F8, FUJIBRO WP FM2

これならば,白いヒガンバナが群れているところでなく,ふつうの赤いヒガンバナが群れているところを撮るようにしてもよかったかもしれない。ここは近所の道ばたとはいえ,赤い花が群れているところならば,ここよりもずっと近くにあるのだから。この三脚は,それなりに重いのである。


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