撮影日記


2020年07月18日(土) 天気:くもり

テールボードカメラを使えるようにした
カビネの印画紙で撮影する

テールボードカメラは,ごく古いスタイルの木製カメラである。入手したセットの状態では,木製組立暗箱でよく使われる乾板用の撮枠が使えず,当然のように国際規格の4×5判のフィルムホルダも使えない。また,レンズボードに該当する部品も,穴があけられたただの木の板である。穴の周囲にはネジ(あるいは釘)の跡があるので,ここになんらかのレンズが固定されていたものとは思われるが,どのようなものがつけられたいたのかは,いまとなってはわからない。ともかくも,レンズボードとフィルムのバックアダプタを作成し,三脚のネジ穴も現代的なものに交換するなど,このカメラで撮れるようにする整備をすすめてきた。
 この種のカメラで,もっとも劣化しやすい部分は,蛇腹である。入手時にはガラクタ同然であったわけだが,蛇腹も当然のように傷みが目立つ状態であった。カメラの蛇腹は,革(あるいは合成皮革)でつくられていることが多いが,このテールボードカメラの蛇腹は,キャンバス生地のようである。大きな破れ目はないものの,ほとんどすべてのカドには小さな穴が開いており,かなりの範囲がパーマセルテープのような黒い紙テープで補修されていた。また,後枠に接着されていた部分が,はずれてしまっていた。

蛇腹のなかに懐中電灯をつっこみ,あちらこちらを照らすようにした結果,ほとんどすべてのカドに穴が開いていることが確認できた。すでに補修のために貼られている黒い紙テープも劣化しており,すぐにもはがれそうな状況である。

きれいにはがれそうだったので,かわりに黒いテープを貼ることで,蛇腹の補修をすますことにした。こういうときは,100円ショップでも入手できる幅50mm製本テープが好都合であるが,表面が劣化していたりするのだろうか,糊がつきにくい箇所がある。そういう場所は,小さく切ったパーマセルテープをピンポイント的に貼ることで,補修をすますことにする。この方法ではいずれ,やり直したり,あるいは蛇腹をつくりなおしたりすることになりそうだが,しばらくは使えるだろう。
 ともかく,穴をふさぎ,はずれていた後枠に接着すれば,テールボードカメラの補修がいちおうできたことになる。

蛇腹の接着部分が乾いたようなところで,試し撮りをおこなう。
 ピント調整は,後枠を動かすことでおこなう。本来は,後枠の基部の穴にネジを切られた棒を通し,手元のハンドルを回すことで後枠を動かすことになる。しかし,三脚のネジ穴と同じように(2020年7月14日の日記を参照),この部分のネジの規格がわからない。ネジの規格がわかっても,都合のよい長さの棒を入手できるとはかぎらず,また,ハンドル部分の固定の方法をなにも考えていた。とりあえずは,後枠を直接,前後に動かしてピントをあわせる。ピントがあったら,後枠の左下にあるレバーを左に動かすことで,後枠の動きにロックをかける。

蛇腹の穴をすべてふさいで光線漏れがなくなれば,カメラとしては問題ない。露出とピントをあわせれば,ちゃんと写真が撮れるのである。

unknown tailboard camera, Symmar 210mm F5.6, FUJIBRO WP FM2

EPSON GT-9800Fでスキャン後,反転処理をおこない,トーンカーブを調整。

最近,カビネサイズのフジブロWP FM2を2箱,譲っていただいた。これでしばらくは,ある程度は慣れている,印画紙での撮影が続けられる。
 カビネサイズ用の乾板撮枠で,乾板ではなくフィルムを使って撮るときは,シースという金属部品にフィルムをセットする。これを使うことで,フィルムの平面性が保たれることになる。印画紙で撮る場合も同様に,シースを使う必要がある。しかし,シースにセットできる大きさは,カビネサイズより数mm小さい。フィルムはその大きさで供給されていたからそのままシースにセットできるが,印画紙をセットしようと思えば,数mmほどカットする必要がある。

そこで,シースを裏返しにして,ただの押さえ板として使うようにした。

このようにすると,カビネサイズの印画紙をそのまま,撮枠にセットできる。印画紙の入れかえがとても楽になるので,屋外でチェンジバッグを使って入れかえることも,現実的なものになる。撮枠の数を気にする必要がなくなれば,なにかと好都合だ。
 さて,このシステムでは,どんなものを撮っていこうか。


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