撮影日記


2020年06月20日(土) 天気:晴

名前はあるのに正体がわからない
謎の暗箱ビクトリー号

先日のテールボードカメラは,おもいがけず安価に落札できたものである。このとき,同じ出品者から,もう1つ別の組立暗箱も落札していた。こちらは競合入札者があらわれず,開始値で落札できたものである。

よくある,カビネサイズの組立暗箱である。前枠があきらかに破損していたり,全体にがたがきているなど,状態はとても悪い。また,ピントグラスに異物が付着しているなど,このようなガラクタ状態のものには,だれも入札してこないだろうと思っていた。案の定,競合入札者が,あらわれなかったのである。

この組立暗箱は,私がすでに入手していたM.S.K.の組立暗箱と似ているところもあるが,大きく異なっているところもある。たとえば,大きな特徴として,ベースが二重になっており,カメラ全体の角度を変えられるようになっていることがある。

自由に向きを変えられる雲台をもった三脚ではなく,カメラに直接,木製の脚を3つ取りつけるような場合,カメラの角度を変えることはとても難しい。このように角度を変えられると,とても便利であることは容易に想像できる。

前支柱の内側に突起があり,前枠下部のくぼみをそこにはめこむことで,前枠を前支柱に固定するようになっている。これも,異なる点である。とくに,前枠のなかでレンズをスライドさせる部分のロックは,あまり見かけないタイプのものである。

ほかではあまり見られないこととして,前枠の下部に,銘板がついている。ここに書かれている文字は,「VICTORY」と読める。バックアダプタに銘板がついている例はなんどか見ているが,本体に銘板がついている例は多くないと思う。ただでも,組立暗箱には無銘のものが多いのだから,このように銘板がついている例は,めずらしいと言える。
 だが,カメラの名称がわかったとはいえ,それ以上のことがなにもわからない。
 インターネット上を検索しても,「VICTORY」という名前をつけられた,こういうタイプのカメラを見かけることはない。名前はわかるのに,その正体にたどりつくきっかけがまったくないのは,残念なことである。


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