撮影日記


2020年02月22日(土) 天気:晴

Kodak DCS Pro 14nのセンサクリーニングを依頼する

先日,ニコンが発売するデジタル一眼レフカメラの最高級モデルとして,Nikon D6が発表された(*1)。その撮像素子の画素数が2082万画素だというスペックを見て,驚いた人もいたかもしれない。この値は,2016年に発売された前モデルNikon D5と同じである。2018年に発売された,いわゆるミラーレスカメラNikon Z7の4575万画素には遠くおよばず,下位モデルに位置づけられるNikon Z6の2450万画素よりも少ないものである。連写速度やオートフォーカスの精度の向上がアピールされており,東京オリンピックの開催を控えたこの時期に発表されたものだから,Nikon D6はどちらかというと報道関係を強く意識したモデルなのかもしれない。出版や報道の用途であれば,画素数は2000万画素もあればじゅうぶんだ,ということなのであろう。
 デジタル一眼レフカメラにかぎらず,デジタルカメラ全般について,モデルチェンジのたびに撮像素子の画素数が少しずつ増えていき,その値がさかんにアピールされていた時期があった。いま,画素数がとくに多いモデルもあるものの,多くは2000万画素くらいに落ち着いているようである。実際に,1000万画素をこえていれば,じゅうぶんに四切サイズくらいに出力できるから,1000万画素以上の撮像素子をもったカメラを使っているならば,あたらしい機種に買いかえる必要はない。とはいえ,カメラの進化する箇所は,撮像素子の画素数だけではない。あたらしく設けられたりスペックが向上したりした機能のなかで,私がとくにほしいと思っているものとしては,撮像素子の自動クリーニング機能というものがある。

Kodak DCS Pro 14nは,日本では2003年に発売されたデジタル一眼レフカメラである。ニコンFマウントのデジタル一眼レフカメラとしてはじめて,ライカ判サイズの撮像素子を搭載したものである。画素数は1350万画素なので,いまの基準から見ればものたりないが,先にも書いたようにほとんどの場面において,じゅうぶんなものである。
 現代のカメラにくらべて大きく見劣りする面としては,感度がある。いまではISO 1600程度はあたりまえ,ISO感度の値が5桁や6桁もあたりまえである。しかし,Kodak DCS Pro 14nは,ISO 80からISO 400までしか設定できず,ISO 400で使うとノイズが気になるレベルとなる。ISO 80からISO 200程度で使うのが,無難であろう。長く使ってきたフィルムの感度と似たようなものであるから,むしろ違和感なく使えて好都合であるともみなせる。
 このカメラから得られる画像の色具合が,個人的に心地よく感じられることもあり,これからも長く使っていきたいカメラである。しかしながら,撮像素子に付着したゴミが気になるようになってきた。とくに,絞りこんで撮ったときには,ゴミが目立つようになる。

Kodak DCS Pro 14n, TAMRON SP 90mm F2.5 (52B), 01F

ときどきは,自分で掃除するようにしていた。一時的には目立たなくなっても,しばらくするとまた,目立つようになる。いちど,きちんと清掃をしてもらったほうがよいだろう。ところが,このカメラは,Kodakブランドである。いまのKodakに,カメラのメンテナンスを受け付けている窓口があるのだろうか?このカメラはよく知られているように,Nikonのカメラが利用されているのだが,あくまでもKodakの製品である。直接にたしかめたわけではないが,Nikonではメンテナンスを受け付けないということを聞いた。メーカーに送って清掃してもらう,という選択肢が選べそうにない。
 そこでふと思い出したのが,「カメラのキタムラ」である。店頭で,撮像素子の清掃を受け付けているという。販売店であれば,メーカーがどこの製品であっても,対応してもらえるのではないだろうか。そこで,近所の「カメラのキタムラ」に,撮像素子の清掃を依頼したところ,問題なく引き受けてくださった。
 いや,問題がまったくなかったわけではない。
 「最短当日仕上げ」と謳われているが,すぐにとりかかっていただけるとは考えていなかった。お店に預けておき,翌日にでも引き取ればよいと思っていた。ところが手が空いていたのか,好都合なことに,すぐにとりかかっていただけるという。
 そこで問題が発生。お店の人が,「操作がわからない」というのである。Kodak DCS Pro 14nは,発売から15年以上が過ぎている,古い機種である。後継機もすぐに終了し,メーカーもデジタル一眼レフカメラの分野から撤退しているのだから,そのユーザインタフェースは現在のどの機種にも引き継がれていない。電源のON/OFFや撮影の基本的な操作は,Nikon F80と同等だから問題ない。しかし,デジタルカメラとしての特有な機能については,操作がまったくわからないということになる。
 「ほとんどの機種の操作はわかるんですが,これはずっと以前にちょっとさわったことがあるだけで,よく覚えていません」とのこと。
 清掃のためにシャッターを開放にする操作,撮影した画像形式をJPEGに切りかえる操作,メニューのページを変更する操作など,メニューに関する操作は,知らなければお手上げであろう。私も入手してすぐは,わからなかった。

ともあれ,それらの操作を説明したり,店員さんにかわって操作したりするために,お店でずっと清掃のようすを見続けることになったのである。おかげで,シルボン紙をピンセットに巻きつけて清掃をしていること,シルボン紙をほんとうにふんだんに使っていること,清掃用のアルコール(この調合に独自のノウハウがあると称していた)を入れた容器がじつに便利にできていることなどを知ることができたのは,ちょっとした収穫だったといえるだろうか。

清掃前には,じつに多くのゴミが付着していた。
 「フィルタの裏に回りこんでいるようなゴミは,取れないかもしれませんよ。」
とのことであったが,おかげで,目立つゴミはほぼなくなったようである。

ここまですぐにやっていただけて3000円(税別)というのは,ありがたいものである。
 しばらく使ってみて,また気になることがあれば,依頼してみよう。
 Kodak DCS Pro 14nはもう1台,予備機がある。こちらの清掃を依頼するのが先だろうか。

今年,チューリップの撮影にはKodak DCS Pro 14nではなく,FUJI FinePix S1 Proをおもに使う予定ではあるが,なんにせよすっきりした画面で撮るのは,きもちがよいものである。

*1 D6 (株式会社ニコンイメージングジャパン)
https://www.nikon-image.com/products/slr/lineup/d6/


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