撮影日記


2019年12月30日(月) 天気:雨

2019年にお迎えしたカメラたち

ことしは,デジタルカメラの歴史を語るうえでぜひ体験しておきたいカメラもいくつか入手した。

●FUJIX DS-300 (1〜3台目)

FUJIX DS-300は,1997年4月に発売された,メガピクセル(撮像素子の画素数が100万画素をこえていることをあらわす語)のデジタルカメラである。発売当時の価格は248,000円という高価なものであったが,当時としては「メガピクセルのデジタルカメラがここまで安くなった」と注目されていたものである。
 初期のデジタルカメラを語るために必要な機種の1つではあるが,このカメラがほしくて入手したというわけではない。このカメラには,FUJIX銘のメモリカード,HG-15 (15MB)が含まれていた。このメモリカードが,目あてである。
 さて,FUJIX DS-300そのものは,ほしかったわけではない。しかし,入手したからには,動作を確認したい。バッテリーパックは付属していなかったが,あいそうなACアダプタを接続してみたところ,カメラは動作した。撮影もできる。それならば,バッテリーパックもほしくなるというもの。そんなとき,ふたたびFUJIX DS-300がインターネットオークションに出品された。こんどは2台セットであり,劣化しているようだがバッテリーパックも付属している。そして,メモリカードが3枚も付属している。これも競合者があらわれず,難なく落札に成功。届いたバッテリーパックのなかみを詰め替えて,FUJIX DS-300を実用することができるようになったのである。
 ともあれ結果として,3台のFUJIX DS-300がやってきたのである。

●Nikon D1 (2台目)

5月になり,「平成」から「令和」に時代が変わった。令和元年になったことを記念して,「1」のつくカメラを入手することにした。Nikon D1である。
 Nikon D1は,1999年に65万円で発売された。それまでに発売されていたKodakやFUJIのデジタル一眼レフカメラは,100万画素クラスのもので100万円,600万画素クラスのものであれば300万円をこえるようなものであった。65万円のNikon D1は,まだ少々敷居の高い価格ではあるが,デジタル一眼レフカメラを個人で買える時代がすぐにでも来ると思わせてくれるものであった。
 このように,デジタルカメラの歴史を語るために重要な機種であり,以前,ご厚意によりゆずっていただいていた(2016年2月15日の日記を参照)のだが,突然,正常に動作しなくなっていた。
 この機会に,動作する状態のNikon D1をあらためて入手しておくことにしたのである。

●FUJI FinePix S1 Pro (1〜4台目)

「もうすぐ,個人でもデジタル一眼レフカメラを買えるようになる時代がくる」と思わせてくれたのが,Nikon D1であるとするならば,実際に「個人でもデジタル一眼レフカメラを買える時代がきた」と思わせてくれたのは,FUJI FinePix S1 Proである。
 FUJI FinePix S1 Proは,2000年5月に375,000円で発売された。ぐっと価格が下がったNikon D1の,さらに半額に近い価格である。母体となるカメラは,エントリーモデルのnikon F60である。カメラそのものの「格」は,Nikon F100相当のNikon D1にくらべると,おおいに低いものとなる。それでも,600万画素で記録できるデジタル一眼レフカメラが,ついにこの値段にまで下がったということに,価値がある。1994年の600万画素のデジタル一眼レフカメラ,Kodak DCS 460が349万円であったこととくらべると,その価格は1/10である。ついに,この日がやってきた。これを購入するつもりになっていたのだが,ちょうど仕事が忙しくなってきたことと,それが一段落したときには,JR可部線(の一部区間)が廃止になるということからその撮影に注力することになり,購入する機会を逸したものである。
 FUJI FinePix S1 Proは,歴史的に重要な位置づけのカメラである。だからいま,あらためて入手しておくことにした。
 結果として,部品取り用のものも含めて4台を入手,1台はお世話になった人に譲渡した。現在,動作するものが2台,部品を取った残りが1台,手元にある。

●Kodak DCS 420 (1台目)

Kodak DCSシリーズは,初期のデジタル一眼レフカメラの歴史をつくりあげてきた。その足跡は,開発者の手によって,PDF文書にまとめられている(2019年11月4日の日記を参照)。
 Kodak DCS 400シリーズは,デジタル一眼レフカメラがようやく実用的な存在になったと思わせてくれる存在である。それ以前のKodak DCS 100やKodak DCS 200は,機器に内蔵されたハードディスクドライブに画像を記録するようになっていた。そのため,記録できる画像の数に,制約が生じる。Kodak DCS 400シリーズからは,PCMCIA(いわゆるPCカード)スロットがそなえられ,PCカード型のハードディスクドライブやメモリカードを交換しながら使えるようになった。記録する画像の数に制約がなくなったことで,カメラが扱いやすくなったのである。いまは,メモリカードが交換できるのはあたりまえであるが,当時としては画期的な進化であった。

また,Kodak DCS 400シリーズは,派生したモデルが多い。
 Kodak DCS 460は,はじめて600万画素の撮像素子を搭載したデジタル一眼レフカメラとなった。
 Kodak DCS 420は,150万画素の撮像素子を搭載している。価格は149万円で,Kodak DCS 460の349万円によりは低価格だが,まだ個人が趣味の撮影のために買うことができるようなものではない。また,撮像素子の大きさも,画素数の差と同じくKodak DCS 460の1/4になるので,とくに広角レンズでの撮影に制約が大きい。
 Kodak NC2000の撮像素子は120万画素ながら,画素ピッチが荒いために,撮像素子の面積そのものはあまり小さくない。バッファメモリが大きく,12コマの連写が可能であった。これは,AP通信向けの報道モデルでもある。そのほか,NIKONOS RSを利用した特注モデルなども,展開されている。
 600万画素モデルのKodak DCS 460はすでに入手していたので,150万画素モデルのKodak DCS 420も入手しておくことにしたのである。Kodak NC2000ほどではないが,5コマまでの連写ができることは,大きな特徴である。

●Kodak DCS 460 (2台目)

先にも書いたように,Kodak DCS 460は,はじめて600万画素の撮像素子を搭載したデジタル一眼レフカメラである。
 600万画素あれば,四切くらいまでのプリントに耐えられる。35mmフィルムと同等な使い方が可能になるという点でも,大きな意味をもつカメラである。このカメラは,ぜひとも実用できる状態で,維持しておきたい。
 しかしながら,突然,寿命をむかえてしまったようだ。カメラは動作するのだが,画像が真っ黒なのである。すると,このときをまっていたかのように,インターネットオークションにKodak DCS 460が出品された。これまで見かけることがなかったのに,ちょうどこのタイミングで出品されたのである。そして,2台目のKodak DCS 460を入手することができた。これも,できるだけ長く,実用できる状態を維持しておきたいものである。

いずれも,発売当初はずいぶんと高価だった製品だ。もしこれらすべてを,メーカー希望小売価格(メーカー希望ユーザ渡し価格)で買ったとしたら,それなりの高額になる。
FUJIX DS-300(本体のみ) 248,000円×3台 =約 75万円
Nikon D1 650,000円×1台 =  65万円
FUJI FinePix S1 Pro 375,000円×4台 = 150万円
Kodak DCS 420 1,490,000円×1台 = 149万円
Kodak DCS 460 3,490,000円×1台 = 349万円
合計 = 788万円

実際に入手にかかった費用は,この100分の1にも達していない。
 結局,今年もいろいろなカメラやレンズを入手した。
 来年はどんなカメラやレンズとの縁があるだろうか。


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