撮影日記


2019年06月04日(火) 天気:晴れ

モノクロ撮影には古いニッコールが似合う?

ニコンの「ヨンサンハチロク」ことZoom-NIKKOR 43-86mm F3.5は,初期の標準ズームレンズとして有名である。発売当時,ヒット商品なったようだが,画質の面などに不満が出る製品だったという。レンズの性能が全体的によくなっている今,あらためてヨンサンハチロクを使えば,不満の出るような画質が個性となり,絵づくりに利用できるのではないかと期待した。
 しかし,思ったよりも,まっとうな写りを示すのである(2019年5月30日の日記を参照)。使ったデジタルカメラKodak DCS 460の撮像素子の大きさがライカ判よりも小さいものであるため,画質のあらが目立ちやすいと思われる周辺部をトリミングした状態になっていることが関係しているのかもしれない。
 そういう影響がありそうなものの,ヨンサンハチロクで得られる画像は,とくにモノクロ画像にしたときに,具合がよさそうである。そこで,同時代のほかのレンズでもモノクロ画像をつくってみることにした。

Zoom-NIKKOR 43-86mm F3.5が初期の標準ズームレンズであるとするならば,NIKKOR-S Auto 5.8cm F1.4は初期の大口径標準レンズである。Kodak DCS 460で使うと,ライカ判カメラで75mmレンズを使うときと同等の範囲が写ることになる。使うときの感覚としては,標準レンズというよりは,中望遠レンズに近いものになる。

Kodak DCS 460, NIKKOR-S Auto 5.8cm F1.4

モノクロ画像とするならば,いわゆる「撮って出し」ではつまらない。RawTherapeeというソフトウェアで,「カラーフィルター」などをいろいろ調整したくなる (2019年5月26日の日記を参照)。この画像では,得られたモノクロ画像に,別のソフトウェアで覆い焼き処理をして,中央部分を明るく浮かびあがらせている。

Kodak DCS 460, NIKKOR-S Auto 5.8cm F1.4

まだ,梅雨に足音は聞こえてこない。空はよく晴れており,雲と青空のコントラストが美しい。「カラーフィルター」の効果をたしかめながら設定できるのは,デジタルカメラならではの利点である。

Kodak DCS 460, NIKKOR-S Auto 5.8cm F1.4

Kodak DCS 460の感度設定は,ISO 80に固定である。夜景を撮るには苦しい仕様であるが,通行人はシルエットになってもいいと割り切るならば,照明に露出をあわせればよいのである。

Kodak DCS 460, NIKKOR-S Auto 5.8cm F1.4

ともあれ,「この場面はモノクロで表現しよう」と考えながら撮れば,モノクロ画像化したときに,しっくりと感じるのだ。そして,古いニッコールは,モノクロ画像の表現に適している。まあ,たぶん,気分の問題がとても大きいとは思うのであるが。


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