撮影日記


2019年01月29日(火) 天気:晴

Kodak DCS 460でヨンサンハチロクを使おう

ニコンには,「ヨンサンハチロク」とよばれているレンズがある。ライカ判カメラ用としてはじめての「標準ズームレンズ」とされる,Zoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5の通称である。50mmをはさんで広角側のレンズとしても望遠側のレンズとして使用できるズームレンズとしては,ニコンのレンズよりも先に,Zoomar 36-82mm F2.8というレンズがBESSAMATIC用として発売されている。このレンズのスペックは魅力的なものであるが,とても大きく重いレンズであり,標準レンズのかわりに気軽に使えるという性格のものではない。カバーする焦点距離の点でも,レンズ本体の大きさや重さの点でも,標準レンズのかわりに使える性格のレンズであるとして,ニコンのヨンサンハチロクがはじめて商品化された標準ズームレンズであるとされているのである。

当時,他社からは標準ズームレンズとよべるような製品がなかったこともあり,ヨンサンハチロクはそれなりにヒット商品になったようである。また,歴史的には重要な意味のあるレンズであると思う。しかしながら,画質に関しては,画像が甘いだの,歪曲が目立つだのと,あまり芳しくない評価も耳にする。
 歪曲が目立つとしても,被写体によってはそれが気にならない場合もある。画像が甘いとしても,それがほどよく柔らかい雰囲気を与えてくれることがあるかもしれない。
 今週は,Kodak DCS 460で非Aiのオートニッコールレンズをいろいろと使うつもりだ。だから,ヨンサンハチロクも,積極的に使ってみよう。そして,自分の目であらためて評価したい。

今日も,よく晴れそうである。朝日が,公衆電話機にあたっていた。携帯電話機の普及とともに,すっかり数を減らした公衆電話機であるが,あるべきところにはまだまだしっかりと残っている。しかし,それを利用している人を見かけることは,ほんとうに少なくなった。ましてや,公衆電話機に並ぶ列など,大規模災害時を除けば,まったく過去の光景だろう。

Kodak DCS 460, Zoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5

ここでは,受話器のカールしたコードが,電話機本体にくっきりした影を落としているところに,着目したい。ところが,ヨンサンハチロクの最短撮影距離は,1.2mである。最近の標準ズームレンズでは,「マクロ機構付き」などと称して,かなり被写体に寄れるようになっている製品が多いが,ヨンサンハチロクはまったく寄れないのである。この現実に慣れるまで,しばらく時間がかかりそうだ。
 描写については,この条件ではとくに問題は感じない。甘いといわれれば,そうかもしれないと思う,その程度である。
 個人的には,短焦点側の43mmという焦点距離はすきである。しかし,Kodak DCS 460で使用するときはライカ判よりも写る範囲が狭くなり,おおむね56mm〜112mmレンズに相当する範囲が写ることになる。そのことも含めて,慣れるまでしばらく使ってみよう。


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