撮影日記


2018年11月26日(月) 天気:曇

フィルムの箱の露光ガイド

昔のカメラ雑誌には,露光ガイドというページが設けられていた。

アサヒカメラ 昭和11年(1936年)7月号
アサヒカメラ 昭和29年(1954年)8月号

たとえば昭和11年の「アサヒカメラ」にも載っているし,昭和29年の「アサヒカメラ」にも載っている。

現代のカメラは,ピントも露出も自動的に調整してくれる。しかし,昭和30年代のカメラではまだ,オートフォーカスはもちろん実用化されていない。自動露出も,まだ例が少ない時代である。世界ではじめての自動露出カメラは,1938年に発売されたアメリカのSuper Kodak 620であるとされているが,自動露出カメラが普及したのは1959年に発売されたドイツのOptimaシリーズ以降,1960年代になってからのことである。
 自動露出のためには,電気露出計の発達が必要になる。電気露出計は,明るさの違いをメーターの振れかたに反映させることで,適切な露出を読み取ることができるものである。これによって,経験や勘などを排除して,露出を決めることができるようになる。 世界ではじめてとされる電気露出計は,1930年代にアメリカのWestonが発売している。ただし,電気露出計はそれなりの価格がするものである。
 電機露出計のほかにも,さまざまな露出計が考案されてきた。雑誌等に掲載されていた露光ガイドも,露出計の1つの形態であるといえる。露光ガイドの内容は,地域,季節,時刻,天候,そしてフィルムの感度などの組みあわせから,最適な露出を求めるようになっている。
 その簡易的なものが,かつてフィルムの外箱に印刷されていた。
 いつしか見かけなくなったと思っていたが,じつはまだ,外箱に露光ガイドは残っていた。ただし,印刷されているのは,目立たない場所である。

これは,2005年6月が使用期限の業務用コニカカラー100であるが,比較的あたらしい2018年3月が使用期限の業務用フジカラー100でも,同様に外箱を開いたところに露光ガイドが印刷されている。

以前にくらべて必要性が減少したために,外箱の外側という目立つ場所から退いたものと思うが,それでもちゃんと必要な情報は提供されつづけているのである。

一方で,2014年ころに発売されていた「110Fukkatsu」というフィルム(2014年1月10日の日記を参照)では,外箱に露光ガイドが印刷されている。

このフィルムは,レトロっぽいパッケージデザインになるように狙ったものであろうか?あるいは,110カメラには露出計が内蔵されていない簡便なものが多いので,必要性が高いと思われたのであろうか?いや,そのような110カメラは,そもそも,絞りやシャッター速度が固定されており選べないものも多いから,それほど意味はないと思うのだが。


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