撮影日記


2018年10月01日(月) 天気:晴

マウントアダプタでIX-NIKKORを生かす

IXニッコールは,APSの一眼レフカメラ,ニコンのプロネアシリーズ専用のレンズである。IXニッコールは,後玉側の部品がマウント部から大きく飛び出しているため,プロネア以外の一眼レフカメラに装着すると,ミラーの動きと干渉して撮影ができない。
 望遠ズームレンズであるIX-NIKKOR 60-180mm F4.5-5.6は,後部の部品を取り去れば,制約はあるものの使用できなくもない(2017年8月24日の日記を参照)。しかし,標準ズームレンズであるIX-NIKKOR 30-60mm F4-5.6は,同じような対処をしても,ミラーの動きと干渉するのでまったく使用できない(2018年8月24日の日記を参照)。

IX-NIKKOR 30-60mm F4-5.6がほかの一眼レフカメラで使えないのは,後玉側の部品が,ミラーに当たるためである。ならば,ミラーから少し遠ざけてやれば,ミラーとの干渉がなくなるはずだ。その方法としては,まず,接写リングの併用が考えられる。ただし当然ながら,接写専用のレンズとして使うことになる。IXニッコールには別の問題もある。IXニッコールにはすべて,絞りリングがない。絞りの連動がない,ごく薄いK1リングを使ったのでは,最小絞りでしかレンズが使えない。これでは事実上,使えないのも同じだ。

IX-NIKKOR 30-60mm F4-5.6には,ごくコンパクトなレンズであるという点を除いて,スペック上の魅力はない。だから,無理に使う必要もないのだが,まったく使えない状態であることは悲しいものがある。なんとしてでも,使う方法はないか。
 残された手段は,マウントアダプタを使っていわゆる「ミラーレス」カメラに装着することだ。

先にも書いたように,IXニッコールには絞りリングがない。だから実用的に使うためには,絞りを動かせるタイプのマウントアダプタが必要である。「ニコンGタイプ対応」と表記されたマウントアダプタが,該当する。

じつは,IXニッコールにはさらに問題点がある。それは,ピントリングも存在しないことである。だからピント合わせは,レンズの先端をつまんでおこなうことになる。実用的に使うならば,フードを装着しておくとよいだろう。

SONY αNEX-C3, IX-NIKKOR 30-60mm F4-5.6

実際に撮ってみると,さすがニッコールといいたくなる画像を描いてくれた。
 広角側での描写は線が細く,解像度が高く感じるものである。ごく自然な描写であり,一般的な撮影はとくに問題なく対応できるだろう。

SONY αNEX-C3, IX-NIKKOR 30-60mm F4-5.6

望遠側の描写も,とくに問題は感じられない。
 ただ,このような使い方では,あまりに操作性がよろしくない。
 ピントリングがないために,ピント合わせの操作が難しい。また,このマウントアダプタは絞りの操作ができるといっても,絞りの段数に応じたクリックストップがあるわけではない。「開放」と「最小絞り」以外は,「だいたいこのくらい?」という使い方しかできない。

IX-NIKKOR 30-60mm F4-5.6は,コンパクトでありながら良好な描写をするレンズである。それだけに,直接,現在のディジタル一眼レフカメラに装着して使えないことが,あまりに残念である。使えれば,とても魅力的なレンズとして,大きく見直されることになっていただろうと思う。


← 前のページ もくじ 次のページ →