撮影日記


2018年08月18日(土) 天気:晴

訪問者の少ない日に
棚田を「四つ切1/2」で撮る

いわゆるお盆の時期を過ぎても,よく晴れた猛暑の日が続いている。この強い光は,印画紙を利用した「四つ切1/2」判の撮影に適している。また,しばし悩まされていた現像時のムラも,単に現像処理が雑であることが判明した(2018年8月9日の日記を参照)。いまさらながら,安定して撮影できそうな基準が見えてきたので,この晴天が続くうちに,いろいろな場所を撮ってみよう。
 また,この4月に富士フイルムは,モノクロフィルムと印画紙の発売終了をアナウンスした(2018年4月4日の日記を参照)。そこには,「四つ切1/2」判の撮影に使っている,RCタイプの2号印画紙「フジブロWP FM2」も含まれる。いまはまだ,ヨドバシ.comに在庫があるようだが,いま使いたい分だけを買っている。これが買えなくなってきたら,ある程度の買い置きをするか,別の印画紙を使うようにするか,考える必要に迫られるだろう。

今日は,井仁の棚田を撮りなおすことにした。

「四つ切1/2」判を撮影するためのレンズは,280mm程度以上のイメージサークルが必要である。入手しているレンズでは,フジの210mmレンズしかない。210mmという焦点距離は,ライカ判であればかなり効果の強い望遠レンズとして使えるが,「四つ切1/2」判ではむしろ広角レンズとして使うことになる。組立暗箱の蛇腹は,厚みのあるバックアダプタを併用しているせいもあるが,相当に縮めて使うことになる。

広角レンズであるうえに,画面の縦横比は3:5,いいかえれば9:15である。これは,最近のハイビジョンテレビの画面に近い,かなりの横長な画面である。したがって,手前から奥に伸びる風景を撮ると,ほどよい具合に広がりが感じられる。こういう場所を撮るには,好都合なフォーマットと言える。

Okuhara Camera, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBRO WP FM2

一般に大判カメラは,じゅうぶんなアオリ撮影ができるようになっている。しかし,乾板時代から使われていたと思われる組立暗箱では,そのような使われ方は想定されていない。組み立てに伴う「遊び」などを利用して,微調整程度のアオリができないこともない,という程度だ。それでも,奥行きのある場面を少しでも多く,被写界深度に収めることには,多少なりとも効果がある。

Okuhara Camera, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBRO WP FM2

その程度のことしかできないカメラなので,無理やり「逆アオリ」を試みたところで,その効果が出たのかどうかわからない。斜面の上にある家にピントをあわせ,ほかを大きくボケさせるつもりだったが,もっと無理をさせる必要がありそうだ。

Okuhara Camera, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBRO WP FM2

通る人やクルマなどを多重露光で写しこもうと思ったものの,こういうときにかぎって,1人の人も,1台のクルマも通らないのである。今日はどのように撮ろうかなどと考えているときには,話しかけてくる人があるような場所であるにもかかわらず。
 まあ,いまは,田植えの時期でもなく,水面にまわりの山々が映りこんでいる時期でもなく,刈り入れの時期でもない。写真を撮りに訪れる人が少なそうな時期だからこそ,のんびりと「四つ切1/2」判を撮ることを期待してきた。だから,人がまったく通らないからと不満を抱くことが間違っているのは,わかっている。


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