撮影日記


2018年08月06日(月) 天気:晴

夜を撮るには明るい単焦点

ディジタルカメラは市販されて以来,年々,その性能を向上させてきた。わかりやすい性能としては,たとえば「画素数」「連写」「感度」という要素がある。今日は夜景を撮りたいので,高感度に設定できる機種と,明るい単焦点レンズを組みあわせて使いたい。そこで今日は,Nikon D300とAi NIKKOR 35mm F2S,Ai NIKKOR 50mm F1.4を用意することにした。ISO 800あるいはISO 1600に設定し,開放F値がF1.4あるいはF2のレンズを使えば,手持ちでもそれなりに撮影が可能であろう。Nikon D300ならば,マニュアルフォーカスのレンズを装着しても露出計が動作し,AE撮影が可能である点も好都合である。

Nikon D300, Ai NIKKOR 50mm F1.4

夕方の低い光線は,どんな被写体でも印象的に演出してくれると思っている。50mm F1.4のレンズを開放で使えば,ボケになった通行人の周囲がほどよくふくらんで輝き,美しく感じる。Nikon D300は発売当時の上級モデルらしく,ファインダーの見え具合も快適である。

Nikon D300, Ai NIKKOR 35mm F2S

やがて日が沈むが,空にはまだ明るさが残っている。19時ころにはすでに,原爆ドーム周辺には多くの人が集まっている。

Nikon D300, Ai NIKKOR 35mm F2S

空がすっかり暗くなり,川面の「とうろう」が目立つようになるのは,それから30分くらい過ぎてからのこと。感度をISO 1600に設定し,絞り値は開放のF2だから,シャッター速度は1/80秒が使えている。これならば,手持ち撮影もじゅうぶんに可能である。身軽に撮りたいならば,巨大で高価なF2.8の「明るい」ズームレンズを使うよりも,なにかと好都合に思える。

Nikon D300, Ai NIKKOR 35mm F2S

F2だから背後のボケもなめらかで大きく,手前の「とうろう」がよく目立つようになる。

しかし,残念なことにNikon D300の撮像素子は,いわゆるAPS-Cサイズだ。人が多くて「引き」がとれない場所だから,もっと広角なレンズを使いたいと感じる場面もある。

Nikon D300, AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VR

そこでやむを得ず,AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VRという標準ズームレンズの出番となる。暗いレンズなのでシャッター速度が遅くなってしまうが,手ブレ補正機構に助けてもらうことにしよう。しかし,たくさんの「とうろう」のおかげで,明るい部分は想像以上に明るく,ここではF2のような明るいレンズを無理に使う必要はなさそうであった。

Nikon D300, AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VR

そうはいっても,明るさには余裕があるほうがありがたい。また,単焦点レンズならではの歪み少なさを利用すれば,手持ちで撮ったものを合成してパノラマ画像をつくるにも無理がない。

Nikon D300, Ai NIKKOR 35mm F2 x4

あたらしい高機能なズームレンズの便利さを思い知ると同時に,明るい単焦点レンズの魅力を見直すことになった,そんな「とうろう流し」の夜であった。


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