撮影日記


2018年07月07日(土) 天気:大雨のち曇

ようやく動いた新幹線は意外と空いていた

夜中は激しく降っていた雨も,朝になると静かなものになっていた。明日の日曜日は,朝から大阪で重要な仕事があるので,今日中に大阪へ移動しておきたい。あるいは,日曜日の仕事を中止するかどうか,判断をしたい。

朝5時に発表された情報によると,山陽新幹線は「15時00分頃まで運転を見合わせます。」とのことである。このあと雨は弱まる傾向にあるので,15時以降には新幹線の運行が再開される可能性が高いと考えられる。夕方くらいに広島を出発できるなら,とくに問題はない。日曜日の仕事を中止する必要も,なさそうだ。

しかし,状況は楽観できるものではない。お昼すぎには,「安全確認に時間を要しており,運転再開の目途はたっておりません。」という状況に変わっていた。
 安全確認は進行しているようなので,15時には難しくても,少し遅れるくらいで運行が再開されるのではないか。そう期待して,とりあえず広島駅に向かった。
 JR在来線はすべて運転を見合わせている状況であるが,バスは通常とかわらず運行されている。
 広島駅では,新幹線のりばのほうへ向かう人と,新幹線のりばのほうから来る人の流れがある。
 新幹線のりばの前には,多くの人が運転再開を待っているようだった。きっぷの窓口にも,多くの人が並んでいる。きっぷの発売再開を待っているのか,それとも払い戻しや変更の手続きをしているのだろうか。
 こういうときは,EX-ICサービスでネット予約ができることの恩恵を感じる。
 改札を出入りする人の姿もあるので,運転再開の見込みがたったのかと思われたが,現実は甘くなかった。

「現時点,安全確認に時間を要しており運転再開の目途はたっておりません。」と書かれた紙で,改札機が封鎖された状態である。ただ,有人の改札口は開けており,ホームで待ちたい人あるいはトイレを利用したい人などへの対応をしているようだった。
 しばらく待っていたが,状況がかわりそうにない。また,待っている人があまりに多いので,運転再開直後は大混雑することも予想できる。そこでひとまず,帰宅することにした。
 もしかすると今日中に運転再開されることはないかもしれないと,思いながらも運行状況をチェックしていた。18時45分ころに,JR西日本のWebサイトにおいて,ようやく「運転再開」のお知らせがなされた。
 急いで出かける準備をするが,広島駅に着くのは20時30分くらいになりそうだ。運転されるのが臨時の「こだま」だったら,新大阪まで2時間半から3時間くらいかかるだろう。すると,新大阪到着は23時くらいになる。また,新幹線は原則として0時を越えて運転されることはないから,最終列車は21時過ぎくらいに設定されるだろう。
 ともかく,急いで広島駅へ行ってみなければ。

広島駅に着いたのは,20時20分より少し早かった。新幹線乗り場で待っている人は,思ったよりは少ないが,それでもそれなりの混雑である。案内表示を見ると,19時38分発の新大阪行臨時「こだま」が60分遅れで運転されているとのこと。20分〜30分待ちくらいであれば,ちょうどよいタイミングだと言ってよいだろう。

きっぷの窓口や自動券売機には,多くの人が並んでいる。こういうとき,ネットで買えるEX-ICは便利だ。指定席は発売されていないので,自由席を購入すれば,さっさと入場できる。
 ホームへ上がると,列車を待つ人の長い列ができていた。
 こういうときは,編成の端のほうが,多少は空いていることが多い。
 乗りたい新大阪行「こだま」は16両編成なので,2号車博多寄りのドアに並ぶことにした。東海道山陽新幹線の車両は,奇数号車にトイレや洗面所がある。その分,奇数号車は座席が少ない。とくに2号車は,トイレなどの設備がまったくないので,100席あるのだ。列車を降りる人は,出口に近い中央寄りから降りようとするので,2号車の場合は博多寄りのドアよりも新大阪寄りのドアから降りる人のほうが多い傾向がある。新大阪行の列車であれば,「前から出ようとする」から,その傾向がさらに強くなる。だから,自由席を利用するときは,2号車の博多寄りに並ぶことは,着席できる確率が高いのである。
 ところが,2号車の乗車口にはほんの数人が並んでいるだけで,拍子抜けするくらい空いている。
 もしかすると,次にくる8両編成の岡山行き「こだま」に乗る予定の人が多いのだろうか?

しばらくしてやってきた岡山行きは驚くくらい,がら空きだった。
 そして,やってきた新大阪行きもよく空いており,楽に着席できた。私の後ろに並んでいる人も少なくなかったが,少なくとも2号車には空席があり,着席できなかった人はいない。

どうして,こんなに空いているのだろう?
 考えられることとしては,いくつかある。まずは,このような大雨の状況だ。九州や広島方面から大阪方面に向けて,どこかへ出かけようとする人のなかには,不要不急の用件だからと旅行を中止した人も少なくなかったことだろう。
 運転再開が19時近かったことも,影響していると思われる。出かけるとしても,せいぜい大阪までで,東京までは行けない。大阪でも,到着は深夜になってしまう。それならば,出発を明日の朝にしたほうがよい,という判断である。
 運転再開が19時近くなったことは,東京や大阪方面から広島を訪れていて,帰ろうと考えている人にも影響しているだろう。「今日はもう,新幹線は動かないかもしれない」とあきらめて,今夜の宿泊を確保してしまった人もあるに相違ない。

ところが途中の駅では,車内がたいへん混雑していて乗降に時間がかかっている,というアナウンスが流れてくる。もしかすると,中央付近の車両に乗客が集中していて,端のほうである2号車がたまたま空いていただけなのかもしれない。

乗車した臨時「こだま」は,20時48分くらいに広島駅を発車し,途中の岡山駅には22時08分ころに到着した。そして新大阪駅には,23時20分ころに到着した。「こだま」ではあるが,途中で「のぞみ」や「さくら」などに抜かれることがなかったせいか,思ったほどは時間がかからずに済んだのは,ありがたかった。
 大阪には無事に到着したものの,広島周辺ではJR在来線が全面的に運休で,高速道路も通行止め,一般道も通れない箇所が多数あるという。広島からは陸路で東へも西へも行くことができず,航空機を利用しようと思っても,高速道路が通れなければ空港へ行くことができない。新幹線が動かなければ,広島そのものが孤立するような状況なのである。
 人は新幹線を利用できるが,物流についてはしばらく不便な状況になるかもしれない。


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