撮影日記


2018年05月15日(火) 天気:晴

キロンの謎 キロン28-210mmレンズには2種類ある?

先日,KIRON 28-210mm F3.8-5.6というズームレンズを救出した。正確な発売年はわからないが,1987年版の日本カメラショー「カメラ総合カタログ vol.88」に掲載された,近江屋写真用品の広告に記載されているので,1986年から1987年ころに発売されたものと想像できる。なお,同じ1987年版「カメラ総合カタログ」でも,前後の号の広告には,別のKIRONレンズが記載されている。
 ここで,重大な事実に気がついた。
 よく見ると,レンズが違うのである。
 日本カメラショー「カメラ総合カタログ」の広告に記載されているレンズは,KIRON 28-210mm F4-5.6というものだが,このたび救出したレンズは,KIRON 28-210mm F3.8-5.6となっている。
 開放F値が,微妙に異なっているのだ。
 KIRONの28-210mmレンズには,2種類のバージョンが存在するのだろうか,それとも輸出先等によって開放F値の表記を変えているような事情でもあるのだろうか。
 広告の写真と,救出した現物には,相違点が3つあった。
 1つ目の相違点として,開放F値の違いがある。具体的には,広告のほうはF4,現物はF3.8である。
 2つ目の相違点として,広告のほうにはピントリングの横にネジが見えるが,現物のほうにはそのネジ穴の跡すら見られない。どうやらこのネジは,ズームリングが自重で伸びることを防ぐためのストッパーらしい。
 3つ目の相違点として,ピントリングの先に段差があるかないかという点がある。広告のほうには段差がなく,現物のほうには段差がある。
 これだけの差があるならば,2つのバージョンがあると考えてもよいだろう。

KIRONレンズを発売していたのは,キノ精密工業という会社らしい。
 この会社は,いまでも写真用レンズをつくっているのだろうか?

検索しても,キノ精密工業という会社の公式サイトのようなものは,見つからない。なんとか見つかったものは,「イーシティ埼玉」というポータルサイト上に,「株式会社キノ精密工業玉川工場」というものの存在が示されていただけである(*1)。このWebページは工場の存在を示しているだけで,会社の沿革のようなものはわからない。また,いつ現在の情報なのかもわからない。
 つぎに,そこに示されていた工場の住所(埼玉県比企郡ときがわ町大字玉川781)で検索をすると,「京セラオプテック株式会社」という名前が見つかった。京セラオプテックには公式サイトが存在するので,そこの会社概要を参照した。キノ精密工業玉川工場の住所には,京セラオプテックの玉川工場が存在することになっていることが,確認できた(*2)。さらに,沿革を参照すると,「メレスグリオ株式会社を玉川工場として統合」という記述がある(*3)。
 どうやら,株式会社キノ精密工業は,メレスグリオ株式会社にかわり,現在は京セラオプテックの玉川工場として吸収されている。

京セラオプテックの玉川工場になったのは,2016年9月1日からとのことである(*4)。

*1 株式会社キノ精密工業 玉川工場 (イーシティ埼玉)
http://www.ecity.ne.jp/syousai/main2.asp?P_SNO=J0005927

*2 会社案内 (京セラオプテック株式会社)
http://www.kyocera-optec.jp/company/summary.html

*3 沿革 (京セラオプテック株式会社)
http://www.kyocera-optec.jp/company/history.html

*4 光学部品専業メーカー メレスグリオ社を子会社化 (京セラ株式会社)
https://www.kyocera.co.jp/news/2016/0801_suji.html


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