撮影日記


2018年03月24日(土) 天気:晴れ

構図に人がはいってくるとき

今川は,上町台地の東側の大阪市内を,南から北へ流れる河川の1つである(2018年2月24日の日記を参照)。かつては,いわゆる「どぶ川」状態であったが,その後の改修工事にともなって浄化処理された下水を流すようになり,水質が改善して魚の姿も見られるようになっている。そして,今川沿いにはサクラ並木がつくられ,春になると美しい姿を見せてくれる。
 しかしながら,今川が改修されてからは,サクラが咲く時期に訪れる機会がなかった。今川沿いのサクラはきれいだよ,というのは話に聞くだけにすぎなかった。年度末のこの時期には仕事も忙しく,サクラを眺めるために大阪を訪れるような時間はとれなかった。また,この時期に,大阪での仕事が発生することもなかった。今年はめずらしく,年度末に近い明日に,大阪での仕事が発生したのである。

今川沿いのサクラには,まだつぼみも多い。木によって多少の差はあるが,全体としてせいぜい三分咲きといったところだろうか。それでも,サクラ並木を楽しむにはじゅうぶんだ。満開になると全体が白っぽくなるが,つぼみが多いと赤味を帯びた部分も多いので,むしろ色味がきれいである。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

梅花橋(2018年2月24日の日記を参照)のところで,「どんなのを撮っているの?」と声をかけられる。
 こういうときは,回答が難しい。「サクラを撮っているんですよ」では,「見ててわからないの?」という感じがして,あまりに冷淡である。「望遠レンズで背景をぼかして…」などと回答するのも,どこかずれている。そもそも,声をかけてくれた人がどんな回答を期待しているのか,まったく想像がつかない。とても難しい質問なのである。
 だから,こう答える。
 「単に花だけ撮ってもおもしろくないので,いろいろ撮ってみているんですよ。」
 「そうか,みんな花だけ撮っているのか。」
 これで,納得してくれたのだろうか?
 ちょうどそのときは,花だけを撮ることに飽きていて,いろいろなものをからめて撮ろうとしていたところだった。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

一方通行を示す道路標識の矢印をからめて,季節は進んで戻らないと称するのもおもしろいかな。そう考えて,焦点距離や絞りをいろいろと変えて,撮っていた。
 ぐっと広角側にズームリングを操作してレリーズすると,ちょうど走っている人と目があってしまった。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

ふだんから街なかでスナップ撮影をしているような人なら,意図的にこういう瞬間を撮れるのかもしれないが,私の場合はまったくの偶然に,構図の中に人が飛びこんできてくれたわけである。
 今川沿いの道は,日中でも多くの人が歩いている。だから,意図的に構図を決めないと,人が入りこまんでしまいやすい。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

よく晴れていたので,長く歩いているとむしろ暑いくらいだ。暑いという感じがやわらいでくるのは,太陽が低くなったころ。低い夕方の光を利用して,サクラの花を透過光で撮ろうとしていると,ちょうどそこに人が入りこんできた。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

単にサクラを眺めに来たのか,それとも別に用事があるのか,この人たちはなにかを話しながら,この位置から動こうとしない。それならば,撮らせていただくしかないというものだ。
 朝の逆光は美しく輝き,夕方の逆光はドラマチックに輝く。
 そんな印象がある。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

郵便配達のオートバイが夕日に向かって進んでいくシーンが,とてもドラマチックなシーンに見えたものだ。


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