撮影日記


2017年09月17日(日) 天気:台風

サムスンはSHDレンズも悪くない

かつて,日本国内市場において,カメラといえばドイツ製だった。1950年代以降,簡素なしくみの二眼レフカメラを中心に,日本国内でも多くのカメラが製造され流通するようになった。1960年には,カメラに関する総合的な見本市である「日本カメラショー」がはじまり(2007年8月9日の日記を参照),現在も「CP+」というイベントとして継続している。「カメラ総合カタログ」(「カメラ映像機器総合カタログ」)も,各年版のものが発行されてきた。
 1990年代には,日本国内で流通する一般向けカメラのほとんどが,日本のブランドのものになっていた。そんな時代に韓国のSamsungは,日本の一般向け市場に参入しようとしたようだ。日本カメラショー「カメラ総合カタログ」の1996年版〜1997年版(vol.111〜vol.113)の2年間だけであるが,Samsungブランドのカメラが掲載されている。このとき,上位モデルとして位置づけられていたSamsung SlimZoom 145は,ドイツのSchneider銘のレンズを搭載していた(2017年7月7日の日記を参照)。日本国内向けに販売されることはなかったようだが,後の製品と思われるSamsung KENOX 140ipも,Schneider銘のレンズを搭載している(2017年7月4日の日記を参照)。これらのレンズがどこで製造されたものなのかは知らないが,実際に撮ってみた印象としては,悪いものではなかった(2017年8月5日の日記を参照)。
 Samsungのコンパクトカメラでは,上位モデルと思われるカメラにはSchneider銘のレンズを搭載していた。それに対して下位モデルと思われるカメラのレンズ銘は,SAMSUNG SHD LENSとなっている。「SHD」がなにを意味しているのかは知らないが,どことなく高性能レンズであることをアピールするような字面である。

SAMSUNG MAXIMA ZOOM 105 TI, SAMSUNG SHD LENS 38-105mm, ACROS

自転車に取りつけられた日傘から,これを撮影したのが真夏の晴天のときであることはすぐにわかるであろう。ほどほどに絞りこまれる好条件とはいえ,これは周辺まできっちりとよく写っているといえる。

SAMSUNG MAXIMA ZOOM 105 TI, SAMSUNG SHD LENS 38-105mm, ACROS

視野に強い光源が含まれるいじわるな条件では,さすがにフレアやゴーストなどが目立つようになる。ここでは,雰囲気が強く伝わるように写ってくれた。たまたま,うまく写っただけなのかもしれないが。

SAMSUNG KENOX winner 140, SAMSUNG SHD LENS 38-140mm, ACROS

いかに好条件とはいえ,これだけ写ってくれれば,Schneider銘のレンズとの差は,わからないだろう。

SAMSUNG KENOX winner 140, SAMSUNG SHD LENS 38-140mm, ACROS

Samsungのコンパクトカメラは,下位モデルと思われるカメラであっても,かなりの多機能である。設定を「B」(バルブ)にしてしまったことに気がつかないでいると,このような失敗作をうみだしてしまうことになる。

ともあれ,Shneider銘のレンズを搭載していなくても,Samsungのコンパクトカメラはかなりがんばっていた,ということになるだろう。ただし,コンパクトカメラを積極的に選ぶユーザ層に,あれだけの多機能を使いこなそうとする人が多くいるようには思えない。実際にところは,どうだったのだろう?


← 前のページ もくじ 次のページ →