撮影日記


2017年07月17日(月) 天気:晴

八百富写真機店で「バーディーキット」に魅せられた

八百富写真機店の大阪駅前第3ビル店は,以前はディアモールの東梅田駅に近いあたりにあったお店である(2015年7月12日の日記を参照)。それ以前は,第一生命ビルにあり,クラシックカメラが充実したお店づくりが続いている(1998年5月6日の日記を参照)。
 5月に仕事で大阪を訪れたときに,友人とマルシンカメラに立ち寄った(2017年5月27日の日記を参照)。マルシンカメラを出た後,まだ時間があったので,さらに八百富写真機店の大阪駅前第3ビル店にも立ち寄った。このお店は,いつ覗いてもいろいろと魅力的なものに出会える。そこにある商品は,魅力が高いだけでなく価格も高いので,なかなか連れて帰る機会はない。
 お店の中央にあるショーケースの上には,いつもジャンク品が並べられている。そこに,1つの箱があった。開けてみると,なかなか魅力的な機械が入っている。保護するための価格も,わずかに972円だ。価格も機械そのものも,どちらもあまりに魅力的だ。その魅力は,同行の友人もご理解いただいたようだ。私はそうとうにのぼせあがっていたようで,思わず連れて帰りそうになった。しかし,その箱は,決して小さくない。その日はいろいろと荷物も多く,ここに立ち寄る前にマルシンカメラでNikomat ELという一眼レフカメラとREPROMASTER 135mm F8というレンズを保護したばかりである。ほんの少しだけ冷静さを取りもどし,その箱を保護して連れ帰るのを見送った。

帰宅後,その箱をどうしても保護したくなった。7月にはまた,大阪に行く予定がある。そこで友人に,「まだ,お店に残っていたら,保護しておいてほしい」と頼んだ。「縁のものだから,無理に急いで行く必要はない。」とも,伝えておいた。約1週間後,「無事に保護できた」という知らせをいただいた。

そして昨日,受け取ってきたのである。

その正体は,箱を開ければすぐわかる。
 一見して「古い」ことがわかる,スライドプロジェクタである。
 フジの「バーディーキット」という製品で,1955年4月に発売された(*1)ものである。
 映写用ランプが入った部分の丸みを帯びたデザインが,いかにも昭和30年代という雰囲気ではないだろうか。

このスライドプロジェクタは箱に固定されており,このように起こして使うことになる。
 このスタイルは,「スライドプロジェクタ」ではなく,「幻灯機」とよぶほうが似合いそうだ。これは,マウントチェンジャを装着した状態だが,ロールフィルムを装着するためのアダプタも付属している。

スライドを投映して楽しむには,適当なスクリーンを用意し,部屋を暗くする必要がある。家庭内でスライド映写を楽しむことは,けっこう大がかりなイベントなのである。専用のスクリーンを使わずに,ふすまの白い部分に投映していた家庭もあったのではないだろうか。
 さて,この「バーディーキット」最大の魅力は,このスタイルだ。

箱に,スクリーンが内蔵されているのである。
 この距離であれば,部屋をあまり暗くしなくても,スライドが鑑賞できそうだ。専用のスクリーンに投映するのであれば,ふすまなどに投映するよりも効率もよいだろう。これらの仕掛けに,魅せられてしまったのである。スライドプロジェクタを収集対象にすると,とんでもないことになることは自明だ。それでもこの「バーディーキット」だけは,保護しておきたいと思ったのである。

ただし,まだ動作確認をしていない。電源コードをつなぎ,スイッチをオンにするには,あと少しの勇気がほしい。

*1 富士フイルムのあゆみ>ヒストリー>カメラ・光学機器事業基盤の確立 (富士フイルム)
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/aboutus/history/ayumi/dai2-09.html


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