撮影日記


2017年01月21日(土) 天気:曇

フレアとのふれあいを楽しもう
OrestonでもYashinonでもフレアが出る

Mamiya ZEシリーズは,マミヤがさいごに発売した,35mm判一眼レフカメラである。発売が終了して30年以上が経過しており,その後継機種や互換性のある機種が他社から発売されることもなかった。だから,Mamiya ZEシリーズと互換性のある,オートフォーカス化された一眼レフカメラが発売されることはなく,ましてやディジタル一眼レフカメラも発売されていない。
 だが,Mamiya ZEシリーズは。カメラを愛好する人びとの記憶から,完全に消え去ったわけではないようだ。Mamiya ZEシリーズ用の交換レンズを,Canon EOSで使えるようにするマウントアダプタが,発売されていたのである。昨年,ご厚意により,Mamiya ZEシリーズ用のレンズをCanon EOSで使うためのマウントアダプタ「FOTODIOX Pro ZE-EOS」をいただいた(2016年6月22日の日記を参照)。そして,このアダプタをもっと気軽に使うために,Canon EOSのディジタル一眼レフカメラ,Canon EOS 10Dを入手した(2016年12月7日の日記を参照)。
 FOTODIOX Pro ZE-EOSをくださった方によると,このマウントアダプタはテレコンバータが内蔵されており,画質の低下が著しいとのことである。たしかに,実際に撮ってみると,装着するレンズによってはフレアが目立つ(2016年12月17日の日記を参照)。Mamiya-sekor E 50mm F2ではすさまじいフレアが見られるのに,Mamiya-sekor Macro E 50mm F3.5では,さほど気にならない。また,絞りこむと改善が見られる。このすさまじいフレアは,装着するレンズとの相性によるものが大きいのか,それとも単にF値による影響が大きいのか,確認してみることにした。

Canon EOS 10D, Meyer Oreston 50mm F1.8, FOTODIOX Pro ZE-EOS

なんとも言えない,幻想的な画像が得られた。使用したレンズは東ドイツ製のMeyer Oreston 50mm F1.8で,上の画像は開放で撮影している。屋根に太陽光が反射しており,F1.8の開放では感度をISO 100相当に設定していても簡単に露出オーバーになってしまう状況だ。そこへもってきて,激しいフレアの発生である。ソフトレンズの限界をこえたような幻想的な画像は,たぶんLomographyのトイカメラでも簡単には再現できまい。

Canon EOS 10D, Meyer Oreston 50mm F1.8, FOTODIOX Pro ZE-EOS

このMeyer Oreston 50mm F1.8は,ピン押しによる自動絞り専用レンズで,マニュアル絞りにはできない。絞った状態で撮影sるには,レンズ鏡胴横にある絞りこみボタンを押しこむ必要がある。
 上の画像の直後にF5.6くらいに絞りこんで撮影したところ,こんどは無難に写っている。
 Meyer Oreston 50mm F1.8をこれまでに使った印象としては,近距離のものを撮ったときには二線ボケ傾向が気になるが,遠景を撮ったときは無難に写るというものがある。絞りこんで撮影したこの画像も,無難なものになっている。

少なくともこれで,フレアが気になるのはMamiya-sekor E 50mm F2だけではないことがわかった。

画面内に強い光源がない状態で,もういちどたしかめてみよう。

Canon EOS 10D, Meyer Oreston 50mm F1.8, FOTODIOX Pro ZE-EOS

開放F値がF1.8なので,F2ではほとんど絞っていないわけだが,当然のようにすさまじいフレアが見られる。

Canon EOS 10D, Meyer Oreston 50mm F1.8, FOTODIOX Pro ZE-EOS

F4まで絞れば,かなり目立たなくなる。

Canon EOS 10D, Meyer Oreston 50mm F1.8, FOTODIOX Pro ZE-EOS

F8まで絞れば,いちおう気にならなくなった。

Mamiya-sekor E 50mm F2ではフレアが気になり,Mamiya-sekor Macro E 50mm F3.5ではフレアが気にならなかった。同じレンズでも,F2程度ならすさまじいフレアが見られても,F4より絞れば気にならなくなるということのようだ。Mamiya-sekor E 50mm F2でも,絞りこんで撮影していれば,フレアが気にならなくなることが予想される。
 とりあえず,別のレンズでも試してみよう。

Canon EOS 10D, AUTO YASHINON DS-M 28mm F2.8, FOTODIOX Pro ZE-EOS

こんどは,ヤシカの広角レンズAUTO YASHINON DS-M 28mm F2.8である。開放F2.8では,フレアが気になる。

Canon EOS 10D, AUTO YASHINON DS-M 28mm F2.8, FOTODIOX Pro ZE-EOS

F5.6では,気にならなくなる。

もう1つ,ISCO WESTAR 100mm F4.5でも,試してみよう。

このレンズは,西ドイツ製の望遠レンズである。鏡胴はアルミ製のようで,とても軽い。ずっと以前にジャンク品として入手したもので,レンズには傷が多く,あまりよい状態ではない。清掃のために分解したところ,3枚構成のようであった。開放F値はF4.5と欲張っておらず,たぶんに廉価版レンズとして企画されたものであろう。これらのことから,先のMeyer Oreston 50mm F1.8に劣らぬ,幻想的な画像が得られるものと期待する。

 
Canon EOS 10D, ISCO WESTAR 100mm F4.5, FOTODIOX Pro ZE-EOS

しかし,開放で撮影しても,無難な写りを示している。
 開放F値がF4.5では,フレアが目立たないようである。

無難にきれいに写るレンズは,一般的に「よいレンズ」である。フレアが激しく発生するレンズは,「くせ玉」などと呼ばれる。きれいに忠実に写したいときは「よいレンズ」を使いたいが,おもしろい「絵」をつくりたいときは,「くせ玉」を使うほうが予期せぬ結果が得られて都合よい場合もあるのだ。FOTODIOX Pro ZE-EOSと明るいレンズの組みあわせは,いろいろな「くせ玉」をうみ出す,おもしろいレンズである,として,高く評価しようと思う。

Canon EOS 10D, Meyer Oreston 50mm F1.8, FOTODIOX Pro ZE-EOS

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