撮影日記


2017年01月01日(日) 天気:晴れ

焼けた箱は,長期不良在庫品?
店頭に商品があるのはうれしいが…

本年も「撮影日記」をよろしくお願いします。

この「撮影日記」は1997年1月11日付けで書きはじめたので,まもなく20周年となる。
 この20年間を一言で言えば,ちょうど「カメラがディジタル化していく過程」にあった,となるだろう。
 CASIO QV-10は,この「撮影日記」を書きはじめるより前の1995年に発売されており,そのころにはすでに,FUJIやKodakから一眼レフタイプのディジタルカメラが供給されていた。ただ,報道や商品撮影などかぎられた業務の場でのみ使われる状態で,一般の写真趣味者が使うようなものではなかった。その後,2003年から2004年に発売されたCanon EOS kiss DigitalやNikon D70で一気に低価格化が進み,広く普及するきっかけとなった。そして,2008年1月をさいごに,2008年2月より「カメラ映像機器工業会」が公表するデータ(*1)から「銀塩カメラ」の生産・出荷のデータが消えた(2011年7月19日の日記を参照)。また,「日本カラーラボ協会」が公表してきた「ロールフィルムの国内出荷本数推移」(*2)は,2010年までで終わっている(2011年7月6日の日記を参照)。このとき以降,世間はほぼ完全に「ディジタルカメラに移行」したことになるだろう。そして,少しずつ厳しくなりながらも,フィルムでの撮影を楽しめる環境は,まだじゅうぶんに維持されている。
 この20年間は,写真を撮影する手段がフィルムからディジタルへ,ちょうど移行する期間だったのである。フィルムでの撮影の選択肢が狭くなったことは残念であるが,このような大きな変化に立ち会えたことは,貴重なことであろう。

さて,フィルムでの撮影を楽しめる環境は,いつまで維持されるだろうか。
 あらためて考えると,フィルムでの撮影を楽しむためには,さまざまなものが必要になる。
 フィルムを使って撮影するカメラが必要なのは,当然だ。これについては,まあ心配はない。「名機」とよばれたカメラには,丈夫なものも多い。なかなか壊れずに,長く撮影に使っていくことができるだろう。また,そういう機種が,多数,中古品の市場に流通している。さらに,電子部品を使わないカメラであれば,修理に対応する業者も存在する。特定の機種にこだわらなければ,撮影に使えるカメラの入手に困ることはない。
 フィルムが必要なのも,当然だ。フィルムは生ものであるから,いつでもフレッシュなものが購入できるとありがたい。現在,銘柄の選択肢はずいぶんと少なくなったが,それでもまだ,いつでもフィルムが買える環境は残っている。
 撮影したフィルムは,現像処理しなければならない。現像処理のインフラも,必要な要件である。現像処理をしてしまえば,あとは引き伸ばし機を使ってプリントすることもできれば,イメージスキャナ等でコンピュータに取りこんで,ディジタル機器から出力することもできる。現在はまだ,ネガカラーのスピード仕上げに対応しているお店はあるし,ポジフィルムの現像をしてくれるラボも残っている。自分で現像処理をするための薬品も,選択肢が減ったとはいえ,まだ入手できる。
 そのほか細かいものとして,撮影して現像したフィルムを整理する用品も必要だ。カメラ,フィルム,現像インフラ,それにかかわる用品,これらがあるかぎり,フィルムでの撮影を楽しむことができるのである。

個人的に,入手できなくなると困る用品として,ペーパーマウントがある。私は現像済のポジフィルムを1コマずつ切りはなし,フィルムパックとともにペーパーマウントにはさむようにしている。買い置きしていたペーパーマウントが底をつきそうになったので,ヨドバシ.comに注文しようとしたが,なぜか取り扱いがない(2016年9月19日の日記を参照)。ホワイト写真用品が発売している,6×9判のペーパーマウントの「100枚箱入り」が,なぜか扱われていないのである。10枚パックなら扱っているようだが,「100枚箱入り」の箱が,マウントしたフィルムの整理にも流用できるので好都合なのだが,扱いがないのではしかたない。
 ビックカメラならば扱われているが,「ビックカメラ 広島駅前店」には在庫がないようだ。「ビックカメラ なんば店」には在庫があるようで,ちょうど昨日,立ち寄る機会があったので買ってきた。

最近はフィルムを消費するペースが落ちているので,2箱あればしばらく大丈夫だろう。店頭にはもう1箱あったから,ついでにそれも買っておけばよかっただろうか。ただ,箱はやや日焼けしたような状態(日光が当たるような売り場ではないから,蛍光灯の紫外線に焼けたのか?)で,なんとなく長期不良在庫っぽい印象を受けた。

それでも,必要なものが店頭に在庫されていることは,とてもありがたいことである。
 ヨドバシカメラやビックカメラのような大型店のフィルム売り場は,かつてはとても大規模なものだった。大型の冷蔵ケースが何列もあって,そこに各社の各銘柄のフィルムが並んでいたのである。とくに,ポラロイドやシートフィルムは大きくて場所を取り,また,目立つ存在だった。
 昨日のビックカメラでは,もう冷蔵ケースは使っていなかった。そのかわり陳列棚には「見本」として空き箱だけがならべてあり,それをもってレジへ行けば,別にある冷蔵ケースから商品を出してくれるようである。冷蔵ケースの節約と,万引き防止の一挙両得を目ざしたものだろうか。
 それでもまだ,選べるだけのフィルムが店頭にあることは,ありがたい。箱が焼けしてしまうくらい動きのない用品であっても,きちんと店頭に在庫を用意してくれていることは,ほんとうにありがたい。
 ヨドバシ.comで扱ってもらえると,もっとありがたいのだが (^_^;

*1 銀塩カメラ/カメラ用交換レンズ生産出荷実績表 2008年2月分(一般社団法人 カメラ映像機器工業会)
http://www.cipa.jp/stats/documents/j/s_200802.pdf

*2 銀塩カメラ/カメラ用交換レンズ生産出荷実績表 2008年2月分(日本カラーラボ協会)
http://jpia.jp/jcfa/archives/bis/report/report07.html


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