撮影日記


2016年12月30日(金) 天気:晴

2016年にお迎えしたカメラたち
コンパクトディジタルカメラ編

今年も,例年に劣らず,いろいろなカメラを入手することができた。もちろん,一昨日昨日の日記で紹介したような一眼レフカメラばかりではない。

最近は,スマートフォンやタブレット端末が普及している。そこに搭載されているディジタルカメラ機能も,かなりの性能をもつようになった。観光地などでの記念撮影に,スマートフォンやタブレット端末を使っている人の姿を見かけることも多い。一眼レフカメラや「ミラーレス」とよばれるディジタルカメラのような,交換レンズなどが充実したシステムカメラは,いわゆるマニア層など撮影にこだわる人が使っている。それに対して,お手軽に撮影したいという人が使ってきたコンパクトディジタルカメラは,スマートフォンやタブレット端末にとってかわられているような印象を受ける。
 一般社団法人 カメラ映像機器工業会では,ディジタルカメラの総出荷台数を公表している(*1)。そこでは2003年以降,「ディジタルスチルカメラ」を「レンズ一体型」と「レンズ交換式一眼レフ型」(2010年以降は「レンズ交換式一眼レフタイプ」,2011年以降は「レンズ交換式」さらに2012年以降は「レンズ交換式」を「一眼レフ」と「ノンレフレックス」に区分)の2つに大別している。コンパクトディジタルカメラは,「レンズ一体型」の大半を占めることになると思われるが,その総出荷台数はあきらかに減少傾向にある。ただし,2016年のデータは「11月まで」の値なので,ここではその値を12/11倍して代用している。

また,メーカーによっては,コンパクトディジタルカメラのラインアップに縮小傾向がみられる。たとえば富士フイルムでは,「FinePix」を名乗るコンパクトディジタルカメラが,FinePix XP90とFinePix XP120の2機種しか掲載されていない(*2)。これらは,お手軽な撮影のための機種というよりも,防水性能等を重視したやや特殊なモデルである。これ以外のラインアップは,いわゆる「ミラーレス」ディジタルカメラと,高級コンパクトディジタルカメラである。つまり,ごくふつうのコンパクトディジタルカメラは,ラインアップから消えているのである。
 このままコンパクトディジタルカメラというカテゴリは,静かに消滅するのであろうか?
 完全に消滅するのはまだ先のことと思うが,フィルムカメラだけではなくコンパクトディジタルカメラも,保護の対象にするべきであろう。

歴代のコンパクトディジタルカメラを追いかけることは,ディジタルカメラが一般化し普及していく過程を追いかけることにもつながる。そのためには,比較的初期のディジタルカメラにも注目してやらねばならない。
 ディジタルカメラが一般に普及したのは1995年に発売されたCASIO QV-10以降のことである,ということに異論を唱える人はいないだろう。CASIO QV-10はそれだけインパクトのある製品であり,カメラの歴史を語る上で,後世に名を残すべき名機である。だからぜひとも入手したいと考えていたのだが,最初期の製品ということで出荷台数があまり多くなかったのか,あるいは,性能が今ひとつだったことから早々に打ち捨てられてしまったのか,あるいは,私と同じようなことを考えてたいせつに保護されてしまっているのか。ともかく,中古カメラの市場にあまり出てこなくなってしまった。
 まあ,たいせつに保護されているなら,それはかまわない。所有している人は,ぜひとも動作する状態を維持しながら,後世まで伝えていってほしい。
 しかし,発売当時に入手して使う機会がなかったので,実際の使用感など,私も自分でたしかめておきたい。CASIO QV-10そのものは入手できなかったが,その1年後に発売されたCASIO QV-10Aを入手することができた。ボディの色は異なるが,基本的な機能や性能はほとんど同じものだという。

CASIO QV-10と違ってCASIO QV-10Aならば,インターネットオークションをチェックしていると,たまに出品されるのを見かけることがある。しかし,入手を狙っている人が少なくないのか競合者があらわれたり,出品者が強気な開始価格を設定していたりして,結果として数1000円以上の価格になってしまう。
 たまたま,アルミケースいっぱいのジャンクカメラセットのなかに,CASIO QV-10Aが含まれているのを見つけた。タイトルや商品説明には「CASIO」「QV-10A」という文字は含まれていない。結果として,ほとんど開始価格と変わらない価格で落札できた(2016年12月8日の日記を参照)。さすがにこれは,1円ではなかったが(笑)。

CASIO QV-10が発売されて以降,各社からさまざまな形態のコンパクトディジタルカメラが発売された。私がはじめてディジタルカメラを入手したのは,時期的にはやや遅れてのことであった。その機種は,RICOH DC-3という。ノートパソコンのようにディスプレイを開いて使うスタイルが,フィルムを使うカメラではありえないスタイルで,ディジタルカメラならではのものであった。残念ながら,まもなく手放してしまったのだが,今年,ふたたび入手することに成功した(2016年5月31日の日記を参照)。

このころ,オリンパスは「いかにもカメラらしいスタイル」のディジタルカメラをラインアップさせていたが(2015年10月16日の日記を参照),リコーの初期のディジタルカメラは,DC-3と同じようなスタイルのものだった。このスタイルのまま,ズームレンズにオートフォーカスを内蔵させたモデルも発売されている(2016年2月8日の日記を参照)。

その後,コンパクトディジタルカメラの撮像素子は,少しずつ画素数の多いものにかわっていった。30万画素程度ではL判へのプリントも少々厳しいものがあったが,100万画素をこえたあたりからL判ないし2L判くらいのプリントが実用的になるようになってきた。100万画素をこえるディジタルカメラは,「メガピクセル機」とよばれ,それは当時としては高画質の代名詞でもあった。

コダックのDC210Azoomも,そのボディ前面に「MEGA PIXEL」という文字をほこらしげに記している(2016年12月1日の日記を参照)。そして撮像素子は,200万画素,300万画素へと,少しずつ増えていく。

逆に,CASIO QV-10以前の状況は,どのようなものだっただろうか。おもに業務用とされる機材の分野では,すでにコダックが600万画素の撮像素子をもつ一眼レフカメラを提供していた。しかしそれはあまりに高価なもので,一般の人が趣味で使うために購入できるようなものではなかった(2016年1月14日の日記を参照)。
 それに対して,比較的安価な「スチルビデオ」というものがあった。これも,ディジタルカメラの歴史を知る上では,ぜひとも体験しておきたいものである。初期のものはやはり報道などの業務用に考えられたものだったようで,高価なものであった。撮影したデータを利用するための専用の装置も高価で,やはり一般の人が趣味で使うために購入するようなものではなかった。一般の市場に向けては1988年に発売されたSONY Mavica MVC-C1がさいしょとされる。「ディジタル」のつかない「マビカ」である。

これは,「オマケ」の2.5インチフロッピーディスクが目当てで落札したジャンク品だったが(2016年2月28日の日記を参照),なんとか動かして撮影できるようになった(2016年3月10日の日記を参照)。

一昨日の日記で,「今年の私は,ようやくディジタル化したという気分である。」と書いた。これは,ディジタル一眼レフカメラが充実したことが大きな要因であるが,このように「クラデジ」とよびたくなるような,古いディジタルカメラや電子カメラを体験できたことも,無視できない要因であろう。

*1 デジタルカメラ統計 (一般社団法人 カメラ映像機器工業会)
http://www.cipa.jp/stats/dc_j.html

*2 デジタルカメラ (富士フイルム株式会社)
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/


← 前のページ もくじ 次のページ →