撮影日記


2016年12月09日(金) 天気:雨

カメラのパッケージはどんなものであるべきか?

生鮮食品やなどを除くと,手に持てる程度の大きさの商品は,化粧箱に入れて売られていることが多い。
 多くの場合,化粧箱には,その商品のメーカー名や製品名が,よくわかるように記載されている。また,その商品の特徴やセールスポイントが記載されているのもよく見かけるし,その商品を使っているようすをイメージした写真やイラストが添えられているのも,よくあることである。化粧箱に記載されたそれらの情報は,その商品を買うかどうかの判断に,役立つこともあるだろう。
 とくに,棚に並べられて,お客さんが手に取って選ぶような売り方をされるタイプの商品では,化粧箱のデザインは重要な要素になるだろう。棚に並べられたほかの商品よりも目立ち,かつ,あまり下品にならないようにしなければならない。そして,お客さんが知りたいはずの情報が,わかりやすく記載されていなければならない。
 一方,高価かつあまり大きくない商品の場合では,鍵のかかるショーケースに実物が並べられていて,お客さんはそれを見て買うかどうかを判断することになる。そして,購入が決まり,商品を受け取るときにはじめて,化粧箱を見ることになる。こういう商品の場合は,メーカー名や商品名が明確にわかるようになっていればじゅうぶんだ,ということになる。
 カメラは,多くの場合,このパターンだろう。
 商品は,手に持てる程度の小さなものである。
 価格はおおむね数万円から数10万円で,それなりに高価である。
 実物を見てさわって,店員さんの説明を聞いて,そして購入を決定する。購入したら,化粧箱に入った商品を受け取る。買ったものと違う商品を受け取ることがないように,メーカー名と商品名は明確に記載されていなければならないが,そこに特徴がだらだらと記載されている必要はない。
 すると,たとえばこのようなパッケージになる。

箱には,メーカー名である「KYOCERA」(京セラ),そしてそのロゴマークが目立つように記されている。そして,この化粧箱にはいるべきレンズが「AF 35-70/3.3-4.5」であることも大きく記されている。一眼レフカメラ用の交換レンズは,多くの場合,このパッケージが手の届く場所,目に触れる場所に積まれているわけではない。パッケージそのものに,購買を呼びかける役割は,とくに必要としていない。だから,どちらかとえば機能最優先…この場合の機能とは,内容を識別すること…ということになる。

だから,カメラがこのような化粧箱に入っていると,すこし違和感がある。

京セラの「230AF」という,一眼レフカメラである。オートフォーカスの一眼レフカメラとしては,初期のものだ。オートフォーカスおよびマルチモードAE機能を,一通り搭載している。だから,決して安価な製品ではない。特別に高級なモデルというわけでもないようあが,京セラはこのあと210AFや200AFという下位機種をラインアップさせていくので,230AFは相対的に最上位モデルとなる。
 そのように考えると「このカメラを使うと,こんな写真が撮れますよ」とアピールするかのようなこの化粧箱のデザインは,狙っているユーザ層が違うように感じる。一方で,オートフォーカスの一眼レフカメラは,コンパクトカメラのユーザをはじめとする初心者層へのアピールも意図したかったかもしれない。それを意識すれば,こういうデザインも「あり」なのであろうか。京セラには,プロやマニア層に支持される「CONTAX」ブランドの一眼レフカメラもあったから,「KYOCERA」ブランドのカメラは,プロやマニア層以外へのアピールを中心に企画されていたのかもしれない。

それならば,ボディのみならずレンズ化粧箱でも,「このレンズを使えば,こんな写真が撮れますよ」というアピールをしてもよかったのではないだろうか。


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