撮影日記


2016年12月08日(木) 天気:曇ときどき晴

CASIO QV-10A
「クラデジ」を語るなら避けては通れない

性懲りもなく,こんなものをインターネットオークションで落札した。

なかみは,こんなものである。たいしたものではない。

目的としていたものは,これ1台であった。

いまや,「カメラといえば,ディジタルカメラの時代である。フィルムを使うカメラも世間ではまだたくさん使われているが,すでに新製品は発売されなくなっており,もはや主流ではない。
 当初,ディジタルカメラは,高価なものであった。一般の人が趣味のために買えるようなものえはなかったが,撮影した画像を通信回線ですぐに送れること,すぐに印刷原稿等に使えることなどの点から,報道などの業務用を中心に使われるようになった。やがて低価格化が進んみ,一般の人が買えるような価格になっていった。そして,液晶モニタが内蔵されて撮影した画像をすぐに見ることができるようになり,さらに,その画像をパソコンに取りこみすくなったときに,普及がはじまったといえる。それが,1995年に発売された,CASIO QV-10である。画質の面ではフィルムを使うカメラの足元にもおよばないレベル,画質を語ることがナンセンスなレベルのものだったが,画像を利用したコミュニケーションツール,パソコンへの画像取りこみツールとして,普及がはじまったのである。

初期のディジタルカメラを「クラデジ」(2015年9月10日の日記を参照)とよんで語るには(どこまでが「クラデジ」の範囲になるかは考える余地があるが),CASIO QV-10は避けて通れないものである。
 いざ入手しようと思うと,CASIO QV-10は意外なほど見つからない。
 当初の生産台数はごく限られたものだったから,注目の大ヒット商品になったと言っても,流通した数はたいして多くなかったのかもしれない。なにせ画質の面ではごくしょぼいものだったから,そのうちに「使い物にならない」として,打ち捨てられたのかもしれない。撮影した画像をパソコンへ転送するには専用のシリアルケーブルと専用のソフトウェアが必要なので,パソコンを更新するうちに使えなくなると,打ち捨てられた可能性もある。あるいは,すでに歴史的価値があるとしてコレクションされてしまっていることも考えられる。
 ともかく,中古カメラ店などで,CASIO QV-10を見かけることはないのである。
 ただ,CASIO QV-10の翌年に発売された,改良モデルのCASIO QV-10Aならば,インターネットオークションでたまに見かけることがある。改良モデルと言っても,欠陥を修正しボディの色を変更した程度だから,ほとんどカラーバリエーションのレベルであるとみなしてもいいだろう。私は,アルミケースいっぱいのコンパクトカメラが出品されているなかに,CASIO QV-10Aが含まれているのを見逃さなかったのである。インターネットオークションにCASIO QV-10Aが出品されると,それなりの競合者があらわれ,おおむね5000円程度で落札されている。しかし,このアルミケースいっぱいのコンパクトカメラについてははほとんど競合者もなく,700円少々で落札できた。

肝心のCASIO QV-10Aは,ちゃんと動作した。
 これでまた1つ,重要な「クラデジ」を確保することができた。残念ながら専用ケーブルとソフトウェアは入手できていないので,撮影した画像をパソコンに取りこむことは,まだできない。

私は「名機」を,「優れたカメラ。あるいは,歴史上重要な位置にあり,後世に名を残すべきカメラ。」であると定義している(2016年10月29日の日記を参照)。CASIO QV-10は,ディジタルカメラのあり方を確定させた,まちがいなく後世に名を残すべきカメラ,名機である。CASIO QV-10は,国立科学博物館によって「重要科学技術史料」(未来技術遺産)として登録されている(*1)。公にも,歴史的な意味があると認めらた名機である。
 CASIO QV-10Aは,CASIO QV-10そのものではないが,そのカラーバリエーション程度の後継モデルだ。その使用感を体験するには,とりあえずじゅうぶんである。
 コレクション的には,いずれ,CASIO QV-10そのものとの「よい出会い」があればいいな,と思っている。

*1 重要科学技術史料 (国立科学博物館)
http://sts.kahaku.go.jp/material/ (2012年度登録 第00113号)


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