撮影日記


2016年11月22日(火) 天気:晴のち曇

黄色のなかの赤

秋になると,葉が鮮やかな黄色に色づくイチョウは,とても魅力的な樹木である。とくに,サクラやカエデの紅葉のあいだにはさまれていると,イチョウの黄葉はとても印象的である。イチョウがずらりとならんだイチョウ並木も美しいが,単独で,あるいはほかの樹木のなかに1本だけあるようなイチョウは,しばしば気になる存在になりうる。筒賀神社のイチョウも,気になるイチョウの1つであるが,今年は黄葉の時期に訪れる機会をもてなかった。いかに今年の黄葉は進行が遅れていたとしても,そろそろ見ごろもとうに過ぎていることだろう。
 広島市内の川沿いにあるイチョウが,ちょうど見ごろの末期を迎えている。高くそびえる木には,多くの色づいた葉がなびいている。風が吹くたびに,何枚かずつはらはらと舞い降りてくる。そして足元は,黄色のじゅうたんが敷き詰められたようになる。落ちてきた葉はやがて乾燥していくが,落ちたばかりのころはまだ,みずみずしさを感じられる。
 柵の影が写りこむようにして,黄色い地面に変化をつけてみた。眺めているとこのまま,どこか遠くへ歩いていきたい気分になる。

FUJI FinePix S2 Pro, AF Zoom-NIKKOR 28-80mm F3.5-5.6D

イチョウの黄葉も美しいが,サクラの紅葉だって負けてはいない。葉脈の模様の形もながめていると不思議な気持ちになってきておもしろいし,先のほうにあいた穴にも,その向こうにはなにが見えるか気になってくる。

FUJI FinePix S2 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

今日は日差しも明瞭なので,透過光の色の美しさはいうまでもない。

FUJI FinePix S2 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

紅葉したサクラ並木のなかに,黄葉したイチョウがあると,その色の対比が強く意識される。
 逆に,黄色い葉が敷き詰められた地面に,サクラの葉が1枚落ちているとどうなるだろうか。
 できるだけ色の鮮やかな落ち葉を拾って,地面に立てた。

FUJI FinePix S2 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

期待通りの,コントラストが楽しい。
 サクラの葉を,さらに並べてみた。

FUJI FinePix S2 Pro, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

ピントのあった1枚が,ちょうどむっくりと起き上がるように写ってくれた。そうだ,寝ている場合じゃない。この色の対比が楽しめる期間は,長くないのだよ。秋は短し,目覚めよ,いま。

最近,ようやく残暑が終わったと思ったら,一気に寒くなるような印象がある。ほんとうに,秋は短いものになっているのかもしれない。


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