撮影日記


2016年09月25日(日) 天気:晴のち雨

画質だけが問題じゃない
たいせつなのは,撮って楽しいこと!
 
クラデジ週間にRICOH DC-3を使う

古いディジタルカメラを「クラデジ」として楽しもう,ということを思いついたのは,昨年のことである(2015年9月10日の日記を参照)。「クラデジ」とは,「クラシック」な「ディジタルカメラ」を縮めて,勝手につくった用語である。古いディジタルカメラが「クラデジ」に該当するか該当しないかは,まずOLYMPUS C-1400Lを境界線として,それより前に発売されたものを「クラデジ」に該当すると考えることにした。
 「クラデジ」に該当するかどうかの基準には,いろいろな考え方ができる。
 「クラデジ」かどうかを,「年」で区切ることができれば,とてもわかりやすくなる。たとえば,「2000年より前の製品をクラデジとする」あるいは「2001年より前の20世紀の製品をクラデジとする」という方法が考えられる。しかし,この場合だと,その「年」には,「キリがいい」というだけで,ディジタルカメラの変化に関しての意味が含まれているわけではない。つまり,無意味な基準だ。いま,ほぼ世界中で使われているグレゴリオ暦についても,そのはじまり「1月1日」の位置には(春分点などと違って)天文学的になんの意味もない,として批判する意見もある。せっかくだから,意味のある基準を考えたい。
 では,「年」ではなく,ディジタルカメラの構造というか機能・性能の面から考えるとどうだろうか。ディジタルカメラの性能の差がいちばんわかりやすく,比較しやすいのは,撮像素子の画素数だろう。たとえば,「400万画素より少ないものをクラデジとする」という方法が考えられる。しかし,この場合でも「400万画素」という数字には,なんの意味もない。同じようなコンセプトにもとづく1つのシリーズが,300万画素,400万画素,500万画素とモデルチェンジしていった場合,300万画素モデルは「クラデジ」だが,500万画素モデルは「クラデジ」ではない,とするのも不自然である。また,いわゆる「トイデジカメ」などでは,近年の製品でも,撮像素子の画素数があまり多くないものがある。画素数だけを基準にすると,それも「クラデジ」になってしまう。「画素数」を基準にした場合には,逆の問題もある。一般向けではなく業務用として発売されたとされるディジタルカメラでは,CASIO QV-10の発売よりも早くに600万画素に達している(2016年1月14日の日記を参照)ので,それが「クラデジ」に該当しなくなるという問題だ。画素数だけを基準にするのは,近視眼的な発想である。

いろいろ考えた結果として,「2000年以前に発売された機種」で「USB接続に対応していない機種」を「クラデジ」に該当するものとしたい。そう考えれば,おおよそ感覚に合致しそうである。運用しにくいと感じるディジタルカメラは,最終的に,撮影したデータの保存や転送に困っているのである。USB接続に対応していれば,その点についての問題がなくなる。「2000年以前に発売された」という条件と組みあわせれば,将来的にUSBが廃れてディジタルカメラがUSB接続に対応しなくなっても,「クラデジ」の基準がかわることはない。

9月中旬は,「秋分の日」や「敬老の日」があって,カレンダー上では連休になりやすい。この期間は,春の「ゴールデンウィーク」に対して,「シルバーウィーク」とよばれることがある。「シルバー」という語には,この期間にある「敬老の日」のイメージも含まれているのであろう。「シルバーウィーク」には,古いディジタルカメラ「クラデジ」を使ってみよう(2015年9月21日の日記を参照)。
 今年は,リコー「DC-3」を使うことにした。

RICOH DC-3は,私がはじめて使ったディジタルカメラである(1998年5月27日の日記を参照)。いったんは手放してしまったのだが,ふたたび入手することができたものだ(2016年5月31日の日記を参照)。

RICOH DC-3

RICOH DC-3はその形からわかるように,ローアングルでの撮影がおこないやすい。落下してはちきれていた柿の実も,楽な姿勢で撮ることができる。

RICOH DC-3

RICOH DC-3のレンズは,0.6m〜∞の固定焦点になっている。しかし,0.6m〜0.01mの範囲の「マクロモード」は,「マニュアルフォーカス」だ。最大でレンズ面から1cmまで被写体に接近でき,任意の場所にピント調整ができることはありがたい。反応の遅い液晶モニタを見ながらピント調整することもあって,操作性がよくないのは残念である。

RICOH DC-3

RICOH DC-3は接写に強い,といえるわけだが,撮像素子が小さいこともあって,レンズの性能はいまひとつである。渦を描いたような後ろボケは,まったく美しくない。

RICOH DC-3

60cmより遠方は固定焦点になることもあって,比較的大きな文字も,判別が困難になっている。また,ハイキーの表現には,かなり弱いようだ。

RICOH DC-3

いまとなっては,画質面ではまったくお話しにならないレベルであるが,RICOH DC-3での撮影が「楽しくない」かといえば,それは否である。RICOH DC-3を使った撮影そのものは,楽しいのである。とくに,この形態と「レンズ面1cmまでのマニュアルフォーカス」が可能な接写機能との組みあわせは,じつに楽しい。撮影が楽しめる「クラデジ」として,あらためて高く評価したい製品である。いや,もういちどこれを楽しみたかったからこそ,手放してしまったことを悔やみ,ふたたび入手を試みたのである。

RICOH DC-3は,メモリカードに対応していない。本体に内蔵されたメモリにのみ,画像が記録される。1997年に発売されたRICOH DC-3はもちろん,USB接続にも対応していない。専用のシリアルケーブルでパーソナルコンピュータのRS-232C端子に接続し,専用のソフトウェアを使って,撮影した画像を取り出すことになる。画像ファイルの形式がJPEGであることだけは,扱いやすい点だ。


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