撮影日記


2016年09月20日(火) 天気:雨のち曇

ひさびさの新製品フィルム
「チェキ」用モノクロフィルム発売!

 液晶モニタを内蔵したディジタルカメラ,CASIO QV-10の発売以来,撮影した画像はすぐに見られるのがあたりまえのことになった。それ以前に一般的だったフィルムを使うカメラでは,撮影した画像をすぐに見ることはできなかった。撮影したフィルムを現像し,プリントしてもらう必要があったからだ。写真店の店頭にミニラボ機が置かれるようになると,現像を依頼してからプリントを受け取るまでの時間が30分程度にまで短縮されたが,それ以前に,フィルムを写真店にもっていくための時間が必要であった。さらに,24枚撮りや36枚撮りのフィルムであれば,それだけのコマ数を撮影するための時間も必要である。これは「時間」単位ではなく,「日」単位,あるいは「年」単位だったかもしれない。
 撮影してすぐにできあがった写真を見られるシステムとして,ディジタルカメラ以前には,インスタント写真というものが使われていた。インスタント写真が使われる場面としては,たとえば証明写真があった。業務用として使われる場合のほか,パーティー等において撮影した写真に寄せ書きをしたり,友達どうしてお互いに写真を撮りあって交換したりするような使われ方も見られた。
 このようなインスタント写真のシステムは,1948年にアメリカのポラロイド社から発売されたカメラとモノクロフィルムにはじまる。1963年にはカラーフィルムが発売され,その後,さまざまなタイプのフィルムが登場した。しかし,ディジタルカメラが普及するにつれて利用者が減少したようで,ポラロイド社はインスタントフィルムの製造を,2008年夏をもってすべて終了することを発表した(2008年8月17日の日記を参照)。1981年から発売されたフジのインスタント写真システム「フォトラマ」も,2016年2月にすべて終了した(*1)。ふつうに入手できるインスタントフィルムは,フジが発売する「インスタックス」だけになったのである。「インスタックス」というと聞きなれないかもしれない,「チェキ」といえばおわかりいただけるであろう。「インスタックス」には,画面サイズが62mm×46mmの「チェキ」(instax mini)と,画面サイズが62mm×99mmの「チェキWIDE」(instax WIDE)がある。

インスタントフィルムは,大きく2種類にわけることができる。
 1つは「ピールアパート方式」とよばれ,撮影後に手動で引き抜き,一定時間後に紙をはがすと,そこに現像され定着された画像があらわれているタイプのものである。フィルムを引き抜くときに現像液がフィルムに塗布され,処理がはじまる。処理の進行は周囲の温度に影響され,紙をはがすまでの適正な時間が,温度によって違ってくる。だから,ある程度の慣れが必要なシステムであった。証明写真やスタジオでの「ポラを切る」ときに用いられたのは,おもにこのタイプになる。
 もう1つは「自動現像方式」とよばれ,撮影するとモーター等によって,フィルムが自動的に排出される。そのときに現像液がフィルムに塗布されるが,そのまま現像は進行し,しばらくすると像があらわれ定着される。パーティー等での個人の遊びでは,おもにこのタイプのフィルムが使われた。
 フジの「インスタックス」は,自動現像方式である。大判カメラや中判カメラで使われていた「ポラバック」では使えないため,私はあまり関心をもっていなかった。

そんな「チェキ」のシステムに興味をもったのは,昨年ことである。「チェキ」のフィルムがアトム判(4.5cm×6cmの乾板)のカメラで使えるらしい,という話を聞いたのだ(2015年6月2日の日記を参照)。さっそく「チェキ」のフィルムを買って,いろいろ試してみた。そして,アトム判の乾板カメラと大名刺判の乾板カメラで使えることを,確認した(2015年6月9日の日記を参照)。このとき私は,「チェキ」にもモノクロフィルムがあればいいなあ,と思った。乾板カメラでカラー写真を撮るのも楽しいが,モノクロ写真だって撮りたいじゃないか。でも,「チェキ」のモノクロフィルムが発売されることはないだろうと思っていた。最近,海外などで「チェキ」が流行しているようだが,それでもモノクロフィルムが発売されることはないだろう,と思っていた,

ところがフジは,フォトキナで「チェキ」のモノクロフィルムを発表したのである(*2)。

2)フォトイメージング
■ instax
「instax」コーナーでは、ライフスタイルや趣向にあわせて選ぶことのできるinstax“チェキ”の豊富なラインナップをご紹介いたします。(中略)また、“チェキ”本体のバリエーションの豊富さに加え、Photokinaで初披露となる「instax mini」シリーズ用フィルム「モノクローム」や近年充実を図っている周辺アクセサリーのご紹介、それらアクセサリーの活用シーンの提案もブースにて行います。

そして,日本での発売日が2016年10月7日であることが発表された(*3)。
 さっそくヨドバシ.comで,購入の予約をした。これは,使ってみるのが楽しみである。

さらにフジは,「チェキ」(画面サイズ62mm×46mm)および「チェキWIDE」(画面サイズ62mm×99mm)にくわえて,あらたにスクエアフォーマットの「チェキ」(画面サイズ62mm×62mm)を発売することも発表している(*4)。
 静かに終焉を迎えると思われたインスタントフィルムだが,「チェキ」については海外を中心にしたブームもあり,まだしばらくは元気に楽しめそうだ。

これがフジから発表される,さいごの「新製品」フィルムにならないことだけは,願いたい。

*1 インスタントカラーフィルム「FP-100C」販売終了のお知らせ (2016年2月29日 富士フイルム株式会社)
http://fujifilm.jp/information/articlead_0384.html

*2 「Photokina 2016」 出展概要について (2016年9月6日 富士フイルム株式会社)
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1105.html?_ga=1.194219501.1309455805.1417761009

*3 “チェキ”「instax mini」シリーズ用フィルム「モノクローム」 (2016年9月20日 富士フイルム株式会社)
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1108.html?_ga=1.158278522.1948553482.1472251748

*4 インスタントカメラシリーズ「instax」 若い世代から写真愛好家まで幅広い層で人気の「スクエアフォーマット」を新たに開発 ユーザーニーズに合わせた新たなインスタント写真の楽しみ方を創出! (2016年9月20日 富士フイルム株式会社)
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1109.html?_ga=1.251413574.1948553482.1472251748


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