撮影日記


2016年07月29日(金) 天気:晴

水中から見上げれば

水深50mの水中でも撮影のできるニコノスに標準的にセットされているレンズは,W-NIKKOR 35mm F2.5である。このレンズは,水陸両用とされている。ニコノスには交換レンズが用意されており,中望遠レンズであるNIKKOR 80mm F4は水陸両用とされているが,広角レンズであるUW-NIKKOR 28mm F3.5,UW-NIKKOR 20mm F2.8,UW-NIKKOR 15mm F2.8は水中専用とされている。レンズが広角になるほど顕著になる水中での収差を補正していることによって,空気中ではピントのあわないレンズになっているためである(2016年5月16日の日記を参照)。
 水中専用レンズが,どの程度,陸上では使えないものになっているのか,あらためて確認してみよう。

NIKONOS IV-A, W-NIKKOR 35mm F2.5, ACROS

水陸両用のW-NIKKOR 35mm F2.5は,問題なく撮影できる。古いニッコールらしく,歯切れのよい描写に感じられる。

NIKONOS IV-A, UW-NIKKOR 28mm F3.5, ACROS

水中専用のUW-NIKKOR 28mm F3.5は,ネガをぱっと見たときには問題なく写っているように感じるが,実際にはピントがあっていない。もちろんこのとき,ピントは無限遠の位置にしている。

NIKONOS IV-A, UW-NIKKOR 20mm F2.8, ACROS

最近,UW-NIKKOR 20mm F2.8を入手した。このレンズも,水中専用である。これはもう,なにが写っているかわからないくらいに,ピントがあっていない。

これらの水中専用レンズを,どうにかして陸上での撮影に使いたい。フィルタ径が58mmのUW-NIKKOR 28mm F3.5は,リバースリングを使って一眼レフカメラに取りつけて,接写に使えることが確認できた。しかし,できるだけ無限遠に近い被写体を,ニコノスで撮りたいものである。
 水中での撮影に適した補正がされているというならば,水中から外を見るように撮ればどうなるだろうか。まずは,レンズを半分だけ水に沈めて撮ってみた。

NIKONOS IV-A, W-NIKKOR 35mm F2.5, ACROS

残念,W-NIKKOR 35mm F2.5は,沈め方が足りなかったようだ。

NIKONOS IV-A, UW-NIKKOR 28mm F3.5, ACROS

UW-NIKKOR 28mm F3.5も,沈め方が足りないようだ。遠景の建物にはピントがあっていないが比較的近距離にピントがきているようで,水面の反射がはっきりと写っている。

NIKONOS IV-A, UW-NIKKOR 20mm F2.8, ACROS

UW-NIKKOR 20mm F2.8も遠景の建物にはまったくピントがあっていないが,ごく近距離にピントがきているようで,水面の表情がはっきり見える。

NIKONOS IV-A, UW-NIKKOR 20mm F2.8, ACROS

UW-NIKKOR 20mm F2.8でピントを無限遠にしたとき,遠方のものから数m先程度緒ものまで,どこにもピントがあっていない。

NIKONOS IV-A, UW-NIKKOR 20mm F2.8, ACROS

カメラを水につけると,自分も水にはいらなければ,ファインダーを覗くことができない。いわゆるノーファインダー(ファインダーを覗かない)で撮ることになる。これも,沈め方が足りなかったのか,なにが写っているのかわからない状態である。

NIKONOS IV-A, UW-NIKKOR 20mm F2.8, ACROS

思い切って完全に沈めてしまうと,もはやカメラがどこを狙っているのかすらわからない。そして,なにが写っているのかも,わからない。ただ,水中から見上げるような撮り方をするには,広島市内の川は水の透明度が足りないのは間違いない。


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