撮影日記


2016年03月07日(月) 天気:晴

これなら買うほうが安くすむ
Nikon D1様の互換バッテリーをポチる

Nikon D1は,1999年9月に発売された,ディジタル一眼レフカメラである。この機種の発売は,ディジタル一眼レフカメラにおけるエポックメイキングな出来事だと考えている。
 Nikon D1の発売によって,多くの人にとってディジタル一眼レフカメラが現実のものになった。Nikon D1以前にもディジタル一眼レフカメラは何機種も発売されていたが,撮像素子の画素数があまりにも少なかったり,価格があまりにも高価だったりして,一般の人が趣味的に使うには敷居の高い存在だったのである。
 価格の問題は,重要である。ディジタルカメラが一般に注目されるようになったのは,1995年に発売されたCASIO QV-10以降のこととなる。CASIO QV-10が受け入れられた理由としては,手ごろな価格,液晶モニタの搭載,パソコンへのデータ転送が実現されていたことが指摘される。
 Nikon D1にも,同様の面がある。65万円という価格は多くの人にとっては手ごろな価格ではないが,それまでのディジタル一眼レフカメラが軒並み100万円前後あるいはそれ以上のものだったことにくらべれば,大幅な低価格化が実現されたものであった。液晶モニタの搭載やIEEE1394端子によってパソコンへのデータ転送が容易になっている点は,前年に発売されたCanon EOS D6000 (600万画素)およびEOS D2000 (200万画素)などですでに実現されているが,それらの価格は360万円および198万円である。100万円を下回る価格のディジタル一眼レフカメラは,1996年に発売されたFUJIX DS-505Aで実現されているが,撮像素子の画素数は130万画素にとどまり,価格は89万円である。
 当時,35mmフィルムと同等の画像を得るには600万画素は必要だ,と言われていた。Nikon D1は260万画素だったので少し物足りないともいえるが,300ppiでほぼカビネサイズ,200ppiなら八切あるいはA5サイズでプリントできる。Nikon D1につづいて翌2000年には,300万画素クラスのFUJI Finepix S1ProやCanon EOS D30 (EOS 30Dではない)が30万円台で発売されている。Nikon D1以降,ディジタル一眼レフカメラがお手頃な価格になったのである。

Nikon D1より前のディジタル一眼レフカメラには,液晶モニタが搭載されていないものがあった。その理由の1つとして,スタジオでパソコン等に接続して,商品撮影などに使うことが前提とされていたのではないかということが考えられる。たとえば,Kodak DCS460はバッテリーが内蔵されているが,それは固定されている。バッテリーパックになって,いつでも交換ができるようなしくみではない。電源から遠くない場所で,充電しながら使うことが想定されているとしか思えない。
 仕事で使われる写真は,その多くが印刷物の原稿になると考えられる。チラシやカタログなどの仕事では,サイズは小さいものの大量の撮影が必要になる。印刷システムが組版から面付までディジタル化すれば,写真原稿も最初からディジタルデータになっていると間違いなく効率がよい。紙面中のあまり大きくないカット写真であれば,少ない画素数でも問題ない。撮影点数が多ければ,高価なディジタルカメラを導入しても採算がとれると判断するケースもあっただろう。
 Nikon D1では,バッテリーパックが採用されている。スタジオから飛び出して使うことも,想定されているのである。

先日,Nikon D1一式をご提供いただいた(2016年2月15日の日記を参照)。そこには,充電器および2個のバッテリーパックが含まれていた。2個のバッテリーパックに充電して,さっそく試し撮りをおこなうことにした。
 適当にそこらへんのものに向けて,カシャ。
 実に,小気味よいシャッター音である。上級モデルの貫録十分だ。撮影した画像が液晶モニタに表示されるのがやや遅いのは,古い機種だからしかたないことだろうか。ともあれ,動作かくにん。よかった。
 では,こんどはちゃんと被写体を決めて,…と思ったら,すでにバッテリー切れの警告が表示されている。しばらく使わずに放置状態だったとのことなので,バッテリーの調子があがらないのだろう。もう1本のバッテリーパックに交換して,カシャ。うむ,ニコン様高級モデルのシャッターは,実に気持ちがよい。
 しかしこれも,すぐにバッテリー切れの警告が表示される。
 しばらく,バッテリーの充放電を繰り返さないと,調子が出ないのかな。

バッテリーの充放電を繰り返すこと,数日。やはり,バッテリーの調子は,あがらない。どうやら,かなりくたびれているようだ。
 そこで,バッテリーパックの再生を検討することにした。
 Nikon D1のバッテリーパックは,7.2V 2000mAhのNi-MH電池である。

この殻に単3型電池が入るならば,容量が少なくなってしまう(1300mmAh)が,ダイソーの単3型Ni-MH電池を使いたい。Kodak DCS460のバッテリーを入れかえるためにハンダづけした(2016年1月15日の日記を参照)のはいいのだが,結局,Libretto20のバッテリーを流用したので(2016年1月21日の日記を参照)端子にハンダがついたままの電池が余っているのだ。
 だが,電池をあてがってみたところ,この殻に単3型電池を入れるのは難しそうである。単4型電池ならはじゅうぶんに入りそうだが,ダイソーの単4型Ni-MH電池は容量が750mAhしかない。Panasonicのeneloop pro (ハイエンドモデル)ならば930mAhになる(*1)が,それでも容量は純正バッテリーパックの半分以下である。ダイソーの単4型Ni-MHならば6本で600円ほどだが,eneloop proだと6本で2000円ほどになる。

うーむ,高い。

ところで,Nikon D1用のバッテリーパックは,売られていないのだろうか。Amazonを覗いてみたところ,さすがにもう純正品は売られていないようであるが,互換バッテリーパックというものが何種類か売られている。そのなかに「日本製セル使用」と称するものがあり,その価格は2580円だ。しかも,配送料が無料である。eneloop proを使ってバッテリーパックを改造するよりも,すなおにこの互換バッテリーパックを購入するほうが,安くて,確実で,話が早い。このことをtwitterでつぶやいたところ,「ROWAのD1用を使ってましたがそこそこ使えますよ」というコメントをいただいた。背中を押されたわけである。
 ポチッとな。

amazonで注文をしたのが,3月2日のこと。すぐに「3月8日配送予定」という通知があったが,翌日(3月3日)には発送したという連絡がある。そして,手元に到着したのは3月4日で,3月5日には動作も確認できた。へたに改造するよりも,はるかに改造するよりも,はるかに安くて,確実で,話が早かった。
 そして今日,夕方になってようやく試し撮りができた。

Nikon D1, Ai NIKKOR 50mm F1.4

Nikon D1は,すでに多くの人によってその使い心地を語り尽くされているとは思うが,私もちょっとだけ語っておこう。シャッターの軽快さ,ファインダーの見やすさは,さすがに高級機種であると感じた。一方で,液晶モニタはまだまた「おまけ」程度のものかもしれない。再生動作をさせても,画像が表示されるのに少々時間がかかるし,表示された画像では写したものの雰囲気が今ひとつわからない。

ところで広電900型は,ワイパーを大型のものに取りかえ,正面窓を開閉式に改造してあるので,正面窓枠が原型よりも太くなっている。しかしこの911号は上辺を除いて窓枠を細く戻しているので,原型に近い雰囲気が感じられるので,好きだ。

*1 エネループ商品情報 (パナソニック株式会社)
http://panasonic.jp/battery/charge/eneloop/


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