撮影日記


2016年02月24日(水) 天気:曇のち雨

存在が幻と化す前に…
2インチフロッピーを確保しておこう

コンピュータは,さまざまな種類の情報をディジタル化し,統合して扱うことができる。ディジタルデータとして保存された情報は,劣化することなく,長期に渡って保存し,再利用できる。理屈の上ではそうなのだが,現実は甘くない。ディジタルデータは記録メディアに保存されることになるのだが,そのメディアがいつまでも使えるとはかぎらないことを忘れてはいけない。ディジタル機器にかぎらず,電気信号として記録し再生する機器の場合,記録メディアとその再生機器を維持することを怠ってはいけないのである。
 これまでに,さまざまな記録メディアが登場し,そして消えていった(2011年7月22日の日記を参照)。いま,手元にビデオテープを再生できる機器をもっている人は,どれだけいるだろうか。VHS用ビデオデッキやミニDVカセットを使うビデオムービーカメラならばまだしも,β用ビデオデッキをきちんと使える状態で維持している人は,かなり少なくなっていることだろう。ましてや,U-maticだのCVCだのといった規格のビデオテープは,もはや存在そのものが,多くの人から忘れられているかもしれない。もともと存在を知らなかった,という人も少なくないだろう。

パソコンでよく使われるアプリケーションソフトウェアとして,Microsoftが発売する文書作成ソフトウェア「Word」や表計算ソフトウェア「Excel」がある。これらの画面の左上には,こんなアイコンがある。

これは,「上書き保存」のボタンだ。これをクリックすることで,作成中の文書が保存される。保存する場所は,多くの場合,パソコンに内蔵されたハードディスクだったり,パソコンに挿されたUSBメモリだったりするだろう。だが,このアイコンが示しているものは,ハードディスクでもなければUSBメモリでもない。そう,フロッピーディスクだ。この絵は明らかに,3.5インチフロッピーディスクとよばれるものをあらわしている。かつて,パソコンで作成したデータを保存するのに,フロッピーディスクが使われることが多かったことがある。パソコンが広く普及するようになったころは,3.5インチフロッピーディスクが主流になっていたから,「上書き保存」のアイコンとして,3.5インチフロッピーディスクを図案化することはごく自然なことである。
 しかし,ふつうの人が3.5インチフロッピーディスクを目にする機会は,もうほとんどない。一般向けパソコンに標準的に搭載されていたのがあたりまえだった3.5インチフロッピーディスクドライブも,いつしか搭載されないのがあたりまえになっていた。3.5インチフロッピーディスクも,2010年にSONY(*1)やimation(*2)が販売の終了を発表した。現在,3.5インチフロッピーディスクを購入するとすれば,市場に残っている在庫品かまたは中古品ということになる。

パソコンでよく使われていたものは3.5インチフロッピーディスクだったが,ほかにもいろいろな規格があった。3.5インチフロッピーディスク以前には5インチのものがパソコンでよく使われていたし,さらに以前にはより大きな8インチのものも使われていた。
 逆に,3.5インチフロッピーディスクより小さいものもあった。「スチルビデオカメラ」の記録メディアとしては,2インチビデオフロッピーとよばれるものが使われていた。
 動作するスチルビデオカメラを入手したとしても,2インチビデオフロッピーがなければ実際に撮影を楽しむことはできない。ジャンク品として入手したCanon RC-250 (Q-PIC)は,まだ動作できる状態になっていない(2016年2月20日の日記を参照)が,デッドストック品や使える中古品が流通しているうちに,何枚かは2インチビデオフロッピーを確保しておくことにした。とりあえず入手できたのは,この3枚である。いつの日か,これを活用できる日がやってくることを信じている。

*1 3.5型フロッピーディスク販売終了のお知らせ (ソニー株式会社)
https://www.sony.jp/rec-media/info/20100423.html

*2 イメーションブランドフロッピーディスク製品販売終了のお知らせ (イメーション株式会社)
http://www.imation.co.jp/info/notice/10610.html


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