撮影日記


2015年06月09日(火) 天気:くもり

「チェキ」フィルムをクラシックカメラで使える!
HEAG 0だと使いやすい

昨日の日記の続き。

フィルムホルダの光線漏れと格闘の末,「チェキ」フィルムをアトム判の乾板カメラで使う手順を把握することができた。「チェキ」フィルムの画面サイズとアトム判の画面サイズとはほぼ同じなので,アトム判カメラ「テナックス」(Vest Pocket TENAX)本来の大きさの写真を写すことができる。そしてそれは,V.P.TENAXに搭載されたDOGMARレンズの描写をめいっぱい味わうことにもつながる。チェンジバッグと「チェキ」カメラを用意しておけば,外出先でも撮影済みフィルムの現像処理や,あたらしいフィルムの装填ができるため,ホルダが1つしかなくても多くの撮影を楽しむことができる。

「チェキ」フィルムをアトム判のホルダに装填する手間は,とても大きい。「チェキ」フィルムの画面サイズと,アトム判の画面サイズはほぼ同じなのだが,「チェキ」フィルム全体の大きさは,アトム判の乾板よりもずっと大きいものである。したがって,「チェキ」フィルムをホルダにおさめるには,装填時にフィルムの端を折り曲げるなどのちょっとした加工が不可欠となる。このような加工は,フィルムの平面性を損なったり,不用意な光線漏れにつながる懸念もある。
 「チェキ」フィルムを,加工せずに使う方法はないものか。「チェキ」フィルムを眺めていると,全体の大きさが6×9判の画面サイズに似ていることに気がついた。もっと早くに気づくべきではあるが,HEAG 0用のホルダがちょうど大名刺判である。さっそくあてがってみると,見事にジャストサイズである。

大名刺判のホルダに「チェキ」フィルムをはめこんで,引き蓋を抜き差ししてみる。装填した「チェキ」フィルムがはずれることもなく,引き蓋はスムースに出し入れできる。これならば,フィルムになんら加工は必要なく,簡単に装填できる。
 V.P.TENAXのときと同様に,チェンジバッグ内で「チェキ」フィルムを抜き取り,大名刺判のホルダに装填する。このとき,表裏を間違えないようにすること。露光面が引き蓋の側になるように,はめこむ(上の画像は,表裏が逆である)。装填したら,カメラにセットして撮影する。

Ernemann HEAG 0, Ernemann Detektiv Aplanat 10.5cm F6.8, FUJI instax film

まずは,いつもの駅前のポストである。
 HEAG 0のファインダーのほぼ中心に入れたはずなのだが,少し位置がずれている。大名刺判の画面に対して「チェキ」フィルムの画面が一回り小さく,現像液の入った部分があるために画面の中央が少し偏っているのだから,これはやむを得ないこと。もっともHEAG 0のファインダーは,「だいたい中央がこのあたりですよ」というくらいの目安にしか使えないのだから,さほど大きな問題にはならない。

Ernemann HEAG 0, Ernemann Detektiv Aplanat 10.5cm F6.8, FUJI instax film

そうはいっても画面がやや狭くなるので,全体を撮りたい場合には,被写体がはみ出すことがないように気をつけたいところである。
 HEAG 0に装着されているErnemann Detektiv Aplanatは,あっさりした素直な写りをするようである。「チェキ」フィルムの発色は,富士フイルムの色というかフォトラマ色というか,あっさりしたもので,レンズとの相性も悪くなさそうな印象だ。赤も緑も,嫌味に感じない。
 なにより,フィルム装填に無理がないことも,素直な撮影結果に結びついているのだろう。
 今回は,アトム判のゲルツ「ヴェスト・ポケット・テナックス」を活用する可能性をさぐるために,「チェキ」フィルムの利用を試してみたのだが,大名刺判のエルネマン「ヘーグ0」の活用場面がぐぐっと増えそうな予感である。「ヘーグ0」のシャッター速度は,高速側が1/100秒までなので,「チェキ」フィルムで撮影するときにはNDフィルタは必携である。
 ともかく,「チェキ」フィルムは,アトム判やとくに大名刺判の乾板カメラの救世主である。いま,フィルムのラインアップを縮小しつつある富士フイルムさんにはもうしわけないのだが,私はモノクロの「チェキ」フィルムを発売していただけないものかとひそかに期待している。

ここまで4回にわたって,「チェキ」フィルムを乾板カメラで使える可能性について,いろいろと試してきた。興味がおありならば,まとめて読み返していただきたい。そして,なにかお気づきのことがあれば,お手やわらかにご指摘いただけるとありがたい。

「チェキ」フィルムをクラシックカメラで使える? たしかめるには「まず買いより始めよ」

「チェキ」フィルムをクラシックカメラで使える? 光線漏れとの果てしない戦い

「チェキ」フィルムをクラシックカメラで使える! V.P.TENAXをもっと使おう

「チェキ」フィルムをクラシックカメラで使える! HEAG 0だと使いやすい


2016年09月20日(火) 天気:雨のち曇

「チェキ」用のinstax miniフィルム「モノクローム」がフォトキナで発表され(*1),2016年10月7日に発売されることになった(*2)。

*1 「Photokina 2016」 出展概要について (富士フイルム株式会社)
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1105.html?_ga=1.194219501.1309455805.1417761009

*2 インスタントカメラ“チェキ”にモノクロフィルムが初登場! (富士フイルム株式会社)
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1108.html?_ga=1.158278522.1948553482.1472251748


← 前のページ もくじ 次のページ →