撮影日記


2015年01月27日(火) 天気:曇ときどき晴

127フィルムの日
今年のテーマは「雨あがり」

今年もまた,「127フィルムの日」(あるいは「ベスト判の日」「ベストフィルムの日」)がやってきた。
 一時は市場からほぼ姿を消した127フィルムや110カートリッジフィルムであるが,最近はクラシックカメラなどを専門に扱うところなどごく限られたお店だけとはいえ,ふたたび買えるようになっている。ふだんから大量に使用するのであれば通信販売などでまとめ買いしておくのもよいが,私はそれほど大量に使用するわけではない。そこで,110カートリッジフィルムも127フィルムも,カートリッジやスプールを再利用して,自分で120フィルムから切り出して巻き直し,使用することになる。120フィルムの幅は約62mmなので,16mm幅と46mm幅とに切り分ければ,それぞれ110カートリッジフィルム用と127フィルム用として使えるのだ(2010年2月19日の日記を参照)。
 今年も「110判の日」を,1日遅れであるが実行した(2015年1月11日の日記を参照)。このとき必然的に127フィルムもできているので,例年通りBaby Pearlで「127フィルムの日」を実行しよう。昨年1月27日はよく晴れていたので,なにを撮ってもそこそこきれいに写ってしまう。しかし今日は雨があがったばかりの,あいまいな曇り空である。光がよく回って撮りやすいともいえるが,漠然と眺めていても,おもしろそうな被写体は見つからない。撮る気がまったく起きないまま撮ったところで,まったくおもしろ味のない写真になってしまうのである。

Baby Pearl, Hexar Ser.1 50mm F4.5, NEOPAN 100 ACROS

だが,とりあえず1コマ撮ったところで,吹っ切れた。雨あがりっぽいものを,撮ればよいのである。さっそく見つかったものは,水たまり。安直ではあるが,はたして雨あがりの水たまりをじっくりと眺めたことはあるだろうか?そこは,近くにあるものと遠くにあるものが共存する場所。空がすぐそこ,手が届きそうな場所にあるじゃないか。

Baby Pearl, Hexar Ser.1 50mm F4.5, NEOPAN 100 ACROS

水たまりを求めて,公園へ移動する。水は低いところに集まるのだが,公園でもっとも低い場所はどこだろう?それは,ブランコの下である。子どもたちの足が,高速で地面に接する場所。「五劫の擦り切れ」ほどゆったりしているわけではないが,日々,少しずつ地面は削られてまわりより低くなり,雨あがりにはそこに立派な水たまりが出現するのである。思い切りこぎあげても届かなかった木の枝と,水たまりの中で共演が実現した瞬間である。

Baby Pearl, Hexar Ser.1 50mm F4.5, NEOPAN 100 ACROS

かつて,傘は貴重なものだったのではないだろうか。それがいつしか,使い捨てされるようになっている。いや,今でも「お気に入りの傘」ならいつまでも大事にされるだろう。だが,形あるものはいずれ消え去る。愛する傘とも,お別れの日は必ずやってくる。突風と豪雨から持ち主の身を守った結果,傘自身は修復不能な状態になってしまうこともあるだろう。あるいは,どこかに置き忘れてしまう…。雨あがりの日には,そういう悲しい別れにならないように,じゅうぶんに気をつけたい。もっともこの傘は「置き忘れ」ではなく,オートバイの運転手がオートバイを降りて,ちょっとそこまで配達に行くときなどにさすためのものだと思う。いや,もしかするとこの傘に秘められた物語は,そんな単純なものではないかもしれない。

Baby Pearl, Hexar Ser.1 50mm F4.5, NEOPAN 100 ACROS

そろそろランチタイムが終わりだよ,と告げるかのようにカラスが飛び立っていった。ちょうどフィルムも使い切ったので,今年の「127フィルムの日」は,ここまでとしよう。

Baby Pearl, Hexar Ser.1 50mm F4.5, NEOPAN 100 ACROS

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