撮影日記


2015年01月11日(水) 天気:晴れ

とんどで撮り初め

コンビニエンスストアが広まって以来,「24時間営業」のお店というものは珍しいものではなくなった。かつてたいていのお店は,10時ころに開店し19時までには閉店してしまうもので,さらに週に1回くらいは定休日というものがある。営業時間がこれより長かったり,定休日が少なかったりするお店は,それだけで大きな特徴に思えたものだ。私の身近(大阪市のはじっこのほう)ではじめて「24時間営業」をしていたお店は,私の記憶がたしかなら「ミスタードーナツ」であった。たぶん,「ミスタードーナツ」の日本での展開がはじまったころであろう。なお,その隣には「マクドナルド」も営業していた。「ミスタードーナツ」を「ミスド」と略すなら,隣の「マクドナルド」を「マクド」と略してもいいじゃないか。ただ,「ミスド」や「マクド」という略称を使うようになったのは,それよりずっと後のような気がする。
 最近は,年中無休,24時間営業のお店も増えている。デパートやスーパーマーケットでは,せいぜい1月1日を休みにするかどうか,というくらいになっている。それでも1月1日を中心に前後2〜3日ずつを「年末年始休暇」としている職場も,まだまだ少なくないはずだ。少なくとも,12月31日から1月3日は,基本的に休日と考えられる。だからこそその前後は,交通機関に混雑が発生するのである。ところで今年のように1月1日が木曜日にあると,「仕事始め」が1月5日の月曜日になるのが自然だ。
 月曜日が「仕事始め」になると,長い休み明けにいきなり,1週間フルに仕事ということになる。それでもだんだんペースを戻していき,さて年始特有の用事も片付いてフル稼働できるかなというくらいにペースが戻ったところで,ここでまたカレンダーは3連休となる。まあ,ペースを調整するには,都合のよい3連休というところだ。

1月15日ころの休日には,多くの地域で「とんど」がおこなわれる(2013年1月13日の日記を参照)。これに参加しないと,「年が明けた」という実感がなかなかもてないと感じる人も少なくないだろう。

PENTAX auto110, PENTAX-110 50mm F2.8, NEOPAN 100 ACROS

「とんど」は絵になる風景ということだろうか,こんな小規模な「とんど」であっても,カメラをもった人の姿を必ず見かける。もちろん多く見かけるのは,自分のこどもをちょっと撮ってあげる,という感じのコンパクトディジタルカメラやスマートフォンである。ここで言いたい「カメラをもった人の姿を見かける」というのは,「ちゃんと写真を撮りますよ」「作品を狙いますよ」と言いたそうな,大きなレンズをつけたディジタル一眼レフカメラをもった人の姿を必ず見かける,という意味である。ただし,フィルムカメラの姿はすっかり見かけなくなった。5年前には「ローライ35」を使う人がいたり(2009年1月11日の日記を参照),さらにその前には8mmフィルムでムービーを撮影する人の姿すら見かけたものである(2008年1月13日の日記を参照)。
 残念ながら今年この場所で,フィルムカメラを使っている人の姿を見かけることはなかった。
 ほかの人がどうであっても,私は,フィルムで撮らねばならぬ。今日は,1月11日である。1日遅れとなるが,今年も「110判の日」(ワンテン判の日)を実行するのである。フィルムを切り出して巻き直すのも面倒であるし,現像タンク用のリールがないから現像も面倒なのだが,1年に1回くらいはPENTAX auto110を使ってやらねばならない。これは,PENTAX auto110を所有してしまった者の義務である。

「とんど」を見る魅力の1つは,高く積み上げられた竹や正月飾りなどに点火され,煙とともに炎が高くのぼる場面である。ただ,このような場面を撮るのは,110判の小さな画面にはちょっと似合わないかもしれない。だがこれは,必ず押さえておくべき場面の1つである。

PENTAX auto110, PENTAX-110 18mm F2.8, NEOPAN 100 ACROS
PENTAX auto110, PENTAX-110 50mm F2.8, NEOPAN 100 ACROS

炎が高くのぼる時間は,ごく短い。積み上げられた竹は,すぐに燃えて崩れる。続いて,各家庭から持ち寄られた正月飾りなどが,火にくべられる。PENTAX auto110は,巻き上げレバーの操作2回で1コマが巻き上げられる。連続して撮影するときにはまだるっこしさを感じるかもしれないが,この場面ではそれがほどよい間合いになって,手ごろなテンポで撮り続けられる。

PENTAX auto110, PENTAX-110 50mm F2.8, NEOPAN 100 ACROS
PENTAX auto110, PENTAX-110 50mm F2.8, NEOPAN 100 ACROS

小さなカメラは,周囲の人にあたえる「威圧感」のようなものもなく,自分自身も身軽なので軽快に動くことが可能だ。望遠レンズをつけた一眼レフカメラであれば,細かな部分に着目して撮ってみるのもおもしろいだろう。

このあと火が落ち着いてきたら,人びとは,竹筒に酒を入れて燗をしてみたり,竹さおの先につけた網ではさんだ餅を焼いたりする。そういった場面も写真にするとおもしろいのだが,やや風邪気味なために早々に退散することにしたのであった。

PENTAX auto110は,絞りやシャッター速度を自由に選択することこそできないが,一眼レフカメラとして被写体をじっくり観察しながら撮影を楽しめるよいカメラである。なんといっても小さく軽いから,いつでも携帯しておきたい。残念ながら2009年ころまでに富士フイルムやコダックが110カートリッジフィルムの発売を終了してしまった(*1)ことからフィルムが入手しにくくなり,活用が難しくなった。自分でフィルムを切り出し,自分で現像しなければならないのは,1つの楽しみではあるものの,どうしても撮影に対する支障となってしまう。
 だが,最近になって110カートリッジフィルムが再発売されるようになった(2012年5月16日の日記を参照)。富士フイルムやコダックのような一般的なメーカーからの発売ではないので入手できるお店がやや限定的になっているが,そもそもフィルムそのものが次第に入手しにくくなっているのが現状である。富士フイルムやコダックから110カートリッジフィルムの発売が終了した直後にくらべると,状況は改善されている。このチャンスを逃さないようにしよう。
 PENTAX auto110を所有していながらもう何年も使っていないぞ,という人がいたら,この「撮影日記」を目にしたのもなにかの縁である。今からでも遅くないから,「110判の日」を実行しよう。いや,実行するべし!

*1 110(ポケット)フィルム 「フジカラーSUPER G100 12EX」「フジカラーSUPER G100 24EX」 販売終了のご案内 (平成20年5月7日,富士フイルム株式会社)
http://fujifilm.jp/information/20080507/


← 前のページ もくじ 次のページ →