撮影日記


2013年10月05日(土) 天気:雨のち晴

こんどは10倍ズームを救出
SIGMA AF 28-300mm F3.5-6.3 DL HYPERZOOM

絞りが不動とはいえ,Canon EOS用のシグマ「AF 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICAL」を1000円で救出してしまったのに味をしめ(2013年9月28日の日記を参照),今日もまた同じ「カメラのキタムラ」のジャンクコーナーを覗いてしまうのであった。「今日もまた,なにかおもしろいものがないかな?」と期待する一方で,「そうそういつも,おもしろいものはころがってないよ」とか「おもしろいものがないほうが,余計な出費をしなくて済むので都合がいい」とかいう,期待を裏切ってほしい気持ちも併存する。心のなかは,なにかと複雑なものである。
 そして,期待通りというか裏切られたというか,こんなレンズを保護してしまった。

28mmから300mmをカバーする,シグマの10倍ズームレンズである。シグマのレンズは,タムロンのレンズと違って,少々わかりにくいところがある。タムロンのレンズにはそれぞれ固有の「型番」がついているので,似たようなレンズであっても区別をつけやすい。たとえば「28mm-200mm」高倍率ズームレンズにも何種類かあり,いずれも「28-200mm F3.5-5.6」となるのだが,初代のマニュアルフォーカスのものは「71A」,オートフォーカスのものは「71D」,LDレンズを採用した2代目は「171D」…などとなっているので,区別をつけやすい。
 シグマのレンズでも,「シグマズーム・カッパー(70-210mm F4.5)」などと愛称名をつけていた時期があったが,いつしかつけられなくなっている。種類が多くなって,愛称名ではおいつかなくなったのだろう。ということで,シグマの「28mm-300mm」ズームレンズにも何種類かあるのだが,今回保護したものはレンズ先端部につぎのように書かれている。

「φ72 SIGMA ZOOM」「28-300mm 1;3.5-6.3」「DL HYPERZOOM」「LENS MADE IN JAPAN」,このうちレンズの名称をあらわしていそうな文字列は,「DL HYPERZOOM」だろう。そうすると,このレンズの名称は「ディーエル ハイパーズーム」の28mm-300mm,ということになる。日本カメラショーの「カメラ総合カタログ」2000年版(Vol.116)に掲載されている,「28-300mm F3.5-6.3 DL ASPHERICAL IF HYPERZOOM」がこのレンズである。そしてこれが,メーカーとしての正式な製品名称ということになるわけだ。ただ,「ASPHERICAL」および「IF」という文字列は鏡胴の横にあり,「DL HYPERZOOM」とは別の場所に書かれている。「ASPHERICAL」は「非球面レンズ使用」の意味で,「IF」はインターナルフォーカス(中間のレンズ群が移動することでピントをあわせる機構)の意味だが,これらはレンズの機構に関するものであり,わざわざ与えた名称ではないから,扱いが別になっているということだろう。なお,「ASPHERICAL」についてはこのように書かれていないとわからないが,「IF」のほうはちょっとさわればすぐにわかることではある。なお,「カメラ総合カタログ」2002年版(Vol.118)ではモデルチェンジされたようで,名称が「コンパクトズーム」になっている。ただし数値上の大きさや重さの違いは,ごくわずかなものである。
 いまでこそ10倍ズームレンズはあたりまえの存在だが,当時としては画期的なものだった。同時期にタムロンからも,「AF 28-300mm F3.5-6.3 LD Aspherical IF MACRO (185D)」という28mm-300mmのズームレンズが発売されている(1999年発売(*1))。タムロンのほうには,製品名に「MACRO」という文字列が含まれている。「MACRO」は,接写が楽しめるレンズにつけられることが多いもので,タムロンのこのレンズの最大撮影倍率は1:3.7ということになっている(*1)。これが意味するところは,実物の1/3.7の大きさでフィルム上に記録される,ということである。一方,シグマのほうには「MACRO」がついていない。「カメラ総合カタログ」Vol.116によると,最大撮影倍率は1:5とのこと。これくらいだと「MACRO」と名乗るわけにはいかぬ,ということか。

さて,このレンズを保護するかどうかにあたって,店頭で簡単にチェックをおこなう。まず外見に重大なダメージはない。レンズを覗いてみても,顕著なカビやクモリ等は認められない。ズームリングもピントリングも,スムースに動く。今日のレンズはニコンFマウントだから,絞りの動きも確認できる。結論として,メカニズム的には問題なし。電気回路に問題があったとすれば,それはもうレンズ単体では確認できないから,しかたない。
 その日はちょうど,Nikon FM10をカバンに入れていた。装着していたAi NIKKOR 28mm F2.8をはずし,保護したばかりのシグマに交換する。ちゃんと無限遠にピントが来ているようだ。ただしFM10のファインダーでは,このクラスのレンズは使いにくい。実際の撮影は,オートフォーカスのボディにつけておこなうことにしよう。
 帰宅後,オートフォーカスもちゃんと動作することが確認できた。
 太く短いせいか,大きめのボディと組みあわせるとかっこよく見える。さて,どんな場面で使ってみようかな。

*1 185D (株式会社タムロン)
http://www.tamron.co.jp/data/af-lens/185d.htm


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