撮影日記


2013年01月02日(水) 天気:曇

もっとステレオ写真を撮ろう!
明治村で100年前のステレオ写真を見る

昨年も,いろいろなカメラやディジタルカメラを入手した。そのうち,2012年11月22日の日記で紹介した「DN-50」や,2012年10月30日の日記で紹介したヤシカ「EZ F924」は,「おもちゃ」のようなディジタルカメラである。だが,「おもちゃ」のように感じるのは,私がこれまでに本格的なカメラとよべるものをある程度,体験しているからに相違ない。一般の人にとっては,「DN-50」も「EZ F924」も,「おもちゃ」のようなものとは感じずに,ちょっと安価なディジタルカメラというくらいに認識しているのではないだろうか。とくに「EZ F924」は,「YASHICA」という有名なカメラのブランド名を名乗っているのである。
 それに対して,このディジタルカメラなら,多くの人が「おもちゃ」であると認識してくれるだろう。なぜならこれは,おもちゃメーカーとして著名な,「タカラトミー」の製品である。

タカラトミー「3D Shot Cam」という,ディジタルカメラだ。その名前の通り,立体写真(ステレオ写真,3D写真)を撮ることができるディジタルカメラである。正面に撮影用のレンズが2個,横に並んでいることからも,そのことにはすぐに気がつくことだろう。「3D Shot Cam」で撮影したデータをL判の用紙に出力し,余白をカットして付属の専用ビューアにセットすると,簡単に立体写真を鑑賞できるようになっている。
 ディジタルカメラとしてのスペックは,たいしたものではない。撮像素子は30万画素級のもので,ピント調整はなく固定焦点(70cm以上離れて撮影すること)になっている。撮影したデータはSDカードに記録できるが,本体にLCDモニタがなく,撮影したデータをその場で確認することはできない。なお,電源は単4型乾電池3本である。そもそもが子ども向けの「おもちゃ」として企画された製品だからなのかもしれないが,説明書を見ても,レンズの焦点距離や絞り値,シャッター速度などの仕様については記載がない。ある程度は自動的に露出調整がされているものとは思うが,フラッシュも内蔵されておらず,あまり明るくない室内での撮影には不向きだろう。操作は,いたってシンプルである。電源スイッチをONにすると,ピピッと音がして,撮影準備完了。シャッターレリーズボタンを押せば,ピッと音がして撮影がおこなわれ,次のピッという音でデータの記録が完了する。残念なことに,データの記録にはかなり時間がかかるようだ。
 「30万画素」で「固定焦点」ということから,良好な画質が期待できそうになく思えるが,あまり大きくない画像を立体視で楽しむという条件であれば,これくらいでも十分に実用的である。

TAKARA-TOMY 3D Shot Cam

「3D Shot Cam」が出力する画像データ(JPEG形式)では,上のようにすでに2枚の画像が並んでおり,余白をカットするための線も引かれている。ともあれ,立体写真を体験してみたいと考えているカメラマニアの人にとっても,それなりに楽しめるものと思う。専用ビューアがあれば立体視しやすいが,平行法での立体視ができる人なら,専用ビューアも必要なく,簡単に立体写真を楽しめる。
 どんなに高級で高性能なカメラであっても,空間を平面に記録することしかできない。空間の雰囲気を伝達するには,立体写真に敵うものではない。価格的にも「おもちゃ」なので,ちょっと試してみるという目的にも,手ごろだと思う。メーカー希望小売価格は5980円だが,発売から2年ほど経っているので,大幅に安売りされているものも見つかるのではないだろうか。私が昨年末に買ったときには,2000円を下回る価格がつけられていた。

今日は,以前から興味のあった愛知県犬山市にある「明治村」(*1)へ行ってみた。「明治村」は,名鉄などが資金や用地を提供し,高度成長期に失われつつあった建築物などを後世に残すことを目的につくられた野外型の「博物館」である。あるいは,明治時代を体験できるテーマパークである,という見方もできるだろう。
 お正月の時期ではあるが,訪れる人はそこそこあった。ほとんどの施設で並ぶこともなく,楽に見学ができる一方,飲食施設や「乗り物」などはそれなりに混雑している。混雑に辟易することもなく,閑散とした施設内でさびしい思いをすることもなく,過ごしやすい状況である。
 展示施設の1つである千早赤阪小学校校舎は,常設展「百年前・立体(ステレオ)写真館」になっていた。

不鮮明なところもあるモノクロ写真だが,立体的に見えるというだけでも実際の光景を見ているような気分にさせてくれる。ステレオ写真に興味のある方は,いちど訪れてみても損はないと思う。ともかく,これに影響されて,ステレオ写真が撮りたくなってくるのである。「3D Shot Cam」なら,お手軽にステレオ写真が撮れるじゃないか。

なお,明治村では「明治時代生まれの人」は入場無料ということになっている(年齢を確認できるものが必要)。おお,すばらしいサービスだ。だが,明治時代は1912年まで。明治時代のさいごに生まれた人でもすでに100歳だから,明治時代生まれの人はみんな100歳以上ということになる。対象者は,日本に何人いるのだろう? …5万人くらいだそうだ(*2)。

*1 博物館明治村公式ホームページ
http://www.meijimura.com/

*2 今年度中に百歳になられる高齢者は25,823人 (厚生労働省 2012年9月14日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002ju6v-att/2r9852000002juap.pdf


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