撮影日記


2012年10月03日(水) 天気:晴

分解しやすいカメラは復活させやすい
F-501の電池ボックスは無駄に分解しやすい

ニコンからはじめて発売されたAF一眼レフカメラは,1983年に発売されたNikon F3AFであるが,オートフォーカス機構に関しては,後に発売されるAF一眼レフカメラ本体や交換レンズとの互換性が乏しいものであった。そのため,ニコンのAF一眼レフカメラのシリーズは,1986年に発売されたNikon F-501からはじまったと考えるのがわかりやすい。
 Nikon F-501の発売前年(1985年)には,ミノルタからα-7000が発売されている。α-7000では,カメラ本体に測距センサやレンズを駆動するためのモーターが内蔵されている。それまでのAF一眼レフカメラは,測距センサがカメラ本体に搭載されていても,レンズのほうに駆動するためのモーターや電池が内蔵されたものが多く,AFレンズは高価で特殊なオプション品という位置づけになっていたといえる。α-7000のシステムでは,交換レンズが従来のMFレンズと同様にシンプルでコンパクトなものになったこと,レンズのラインアップが充実させられたこと,さらに販売価格が抑えられて買いやすくなったことなどがあり,もちろんAFやAEの性能も,十分に使えるものだったため,大ヒット商品になっている。
 Nikon F-501も,測距センサやレンズ駆動用モーターなどを本体に内蔵しており,以後のAF一眼レフカメラのシステムを形づくったのである。

Nikon F-501発売の少し前に,プログラムAEや電動ワインダーを内蔵したNikon F-301が発売されている。F-501と似た名称だが,似ているのは名称だけではない。外見も,よく似ているのである。

Nikon F-501とF-301との外見上の違いで目にはいるのは,レンズの左右についたいくつかのレバーやボタン類である。F-301では,カメラに向かってレンズの左側にセルフタイマーのレバーがある。F-501ではそこに,AFロックとAEロックのボタン,そしてセルフタイマーの赤いボタンが並んでいる。また,レンズの右側には,AFとMFとの切り替えレバーがある。簡単に言ってしまえば,AF関係のボタン類があるかないかの違いとなる。

F-501はF-301より後から発売され,AF機構等を追加した上位機種という位置づけになる。そのため,機能的にも変更されたものがある。その1つは,プログラムAEの種類だ。F-301では,通常のプログラムAE(Pモード)とやや短時間露光側にシフトさせたプログラムAE(P Hiモード)の2種類だったが,F-501ではさらに,プログラムAEに「P DUALモード」が追加されている。これは,望遠レンズを装着したときに自動的にP Hiモードに切り替わるというものだ。また,F-501では,ファインダースクリーンを交換することができる。F-501に標準的に装着されているファインダースクリーンは,全面マットで中央にAFセンサがはたらくエリアを示すマークのはいったものだが,これをたとえば,方眼のはいったものや,F-301と同様のスプリットイメージとマイクロプリズムがはいったものなどに交換できるのである。

F-501とF-301とでは,さらに電源が異なっている。F-301は,単4乾電池4本を使用するが,F-501では単3乾電池4本を使用するようになっている。単4乾電池を使用すれば,それだけカメラがコンパクトになるわけだが,F-501ではAF機構のためにF-301よりも消費する電力が大きくなることから,容量の大きな単3乾電池を使用するようになっているのだろう。F-501とF-301とを並べてみれば,電池がはいる底部の厚さが違っていることがよくわかる。

底カバーの厚さは違うが,その大きさは同じようだ。しかし,三脚ねじ穴の位置が違っている。F-501とF-301とでは,底カバーに互換性がないということだろうか?

F-301は,アダプタを介して単4乾電池を装着するようになっている。そこは,単3乾電池がはいるだけの大きさがあるのだ。一方,F-501では,単3乾電池を直接はめこむようになっている。

F-501で単3乾電池を抑える部分は,はずすことができる。これをはずしてしまえば,あら不思議,三脚ねじ穴の位置もかわるのであった。もちろんこれを,F-301につけかえることも可能である。

F-501の電池ボックスは,さらにねじで簡単にはずすことができるようになっている。もしかすると,さらに大容量のバッテリーパックなどがオプションとして計画されており,それと交換できるように配慮されていたのだろうか?ちょっと,おもしろい部分ではある。

さて,今日は,F-501のジャンク品を入手した。電池が腐食した跡があり,不動とのことである。底カバーをあけて電池ボックスをはずしてみると,たしかに一方の接点が激しく腐食している。しかし腐食しているのは接点のまわりだけのようで,接点を適当につくり,内部の回路と直接に半田づけをすれば,カメラはちゃんと動作するようになった。電池ボックスを分解しやすいからこそ,簡単に復活させられたということである。

Nikon F-501のAF動作は遅く,今となっては少々,扱いにくいかもしれない。しかし,単3乾電池4本で動作するのは,なにかと好都合なのである。また,こういうカメラで「のんびりと」かつ「気軽に」写真を撮るのも楽しいものである。


← 前のページ もくじ 次のページ →