撮影日記


2012年08月18日(土) 天気:晴のち雷雨

リサイクルショップでカメラを買うべきではない?
マイナーなカメラは扱いもそれなり

午後,出かけようと思ったら,ぽつりぽつりと雨が降ってきた。一瞬,雹かと思ったほどの大粒の雨である。とはいえ,あまりにもぽつりぽつりだったので,すぐに止むかとも思われた。だが,だんだん激しさを増してどしゃ降りになった。さらに,雷も鳴りはじめる。激しい音もしたので,あまり遠くないところに落雷があったのかもしれない。出かけるのは,やめることにした。
 あとからわかったことだが,同じ区内の長居公園に落雷があり,死者も出たとのこと。
 結果として無事だった(ずぶ濡れになったから,無事とは言えない?)からよかったものの,千葉での大雨のときも,少なくとも雷が収まるまでは建物から出るべきではなかったのである。

夕方,大阪市内はすっかり涼しくなった。これくらい激しく降らないと,なかなか涼しくはならないようである。

EOS以前のキヤノンの一眼レフカメラといえば,「シャッター速度優先AE」を連想する人が多いと思う。そのきっかけは,1976年に発売されたキヤノン「AE-1」であろう。ワインダーとの組みあわせで「連写一眼」というキャッチコピーを与えられた「AE-1」は,「シャッター速度優先AE」ということばとともに,「カッコイイ」イメージを与えたものと思われる。たぶんに,「シャッターチャンス」のようなものをイメージされたのだろう。そして,マニュアル露出とAEとが使えるちゃんとした一眼レフカメラとしては,さほど高価ではなかったことも,そのヒットの要因の1つであろう。
 それまでは,プロ向け高級一眼レフカメラといえば「ニコン」,アマチュア向け一眼レフカメラといえば「ペンタックス」「ミノルタ」というイメージがあったように思う。キヤノンは本来,「高級35mm判カメラ」のメーカーというイメージがあるはずなのだが,TTL開放測光の採用がやや遅れたせいか,一眼レフカメラのメーカーとしてはやや地味な存在になっていた。それが「AE-1」のおかげで,一気に人気メーカーとなった。私はそのあたりの流れを,そんな感じにとらえている。
 「AE-1」のあとに続いた「AE-1プログラム」や「T70」に,プログラムAEはあったものの絞り優先AEが用意されていなかったことも,キヤノンといえば「シャッター速度優先AE」というイメージを強くしたのではないかと思われる。
 ただし,キヤノンの一眼レフカメラで最初に「シャッター速度優先AE」を搭載したのは,「AE-1」ではなく,1969年に発売された「EX EE」という機種だった。

キヤノンの一眼レフカメラは,1959年の「キヤノンフレックス」にはじまるRシリーズから,TTL露出計に対応したFシリーズ,AEを搭載したAシリーズ,プログラムAEとワインダーを内蔵したTシリーズなどとモデルチェンジをしていくが,「EX EE」は,その流れとはまた別のシリーズとなる。その最大の違いとしては,交換レンズの互換性がまったくないことがあげられる。RシリーズからTシリーズまで,露出計との連動方式の違いなどにより互換性が確保されない組みあわせもあるが,基本的に同じ形状のレンズマウント(カメラ本体と交換レンズとの接合部分)を使っている。ところが「EX EE」は,レンズの前群(カメラの撮影レンズは複数のレンズが組みあわさって構成されており,そのうちカメラ本体から遠いほうの何枚かを,便宜的にまとめてこうよぶ)だけを交換するようになっている。このようにすることで,交換レンズを低価格にできることが期待される。キヤノンは,低価格の一眼レフカメラのシリーズを市場に送り出したかったのだろう。

しかし,このシリーズは改良型の「EX AUTO」が登場したのものの,早々に市場から姿を消す。安価な一眼レフカメラでカメラのおもしろさに気がついても,「EX EE」のシリーズでは交換レンズの選択肢が少なく,結局,FシリーズやAシリーズに買いかえることになったのではないだろうか。逆に,そこまで本格的なカメラを求めない人にとっては,やはり大きく,重く,扱いにくいということになったのではないだろうか。

このキヤノン「EX EE」は,最近,時間調整とトイレを拝借するためにたまたま立ち寄ったリサイクルショップで見つけたものである。何台かのカメラが,箱に無造作につっこまれていたなかにあった1つである。ストラップやケースがついたままのものもあり,しかもそのストラップが複雑にからみあっていて,このカメラだけを取り出すのに苦労したものだ。その箱には,ほかにも「EX EE」がはいっていたが,シャッターが動かないジャンク品だったり,交換可能な前群レンズが失われた不完全な状態だったりするものだった。ただ,どれも同じ価格がつけられていたのは,謎である。機械的に「古くて,人気のなさそうな一眼レフは,ジャンク品として一律にこの価格」という感じで決められていたのであろうか。そこはリサイクルショップであり,中古カメラ専門店ではないから,そのへんがおおざっぱなのもしかたのないことか。

キヤノン「EX EE」のユーザインタフェースには,独特なものがある。レンズの根元に絞りを調整するリングがなく,カメラ上部の巻き戻しクランクの周囲のダイアルで絞りを設定するようになっている。そこは,「EE」(自動露出)のスイッチにもなっており,このカメラは基本的にEEで使うことが前提になっているものと思われる。
 さて,店頭でシャッターや絞りが動くことは確認したのだが,露出計が動くことには期待をしていなかった。だが,電池を入れてやれば,ちゃんと露出計が動作し,EEがはたらいている。リサイクルショップでジャンク品扱いされているカメラは,実際に,動作しない状況のものも多く見かけるが,逆にちゃんと動くものがまじっていることもあるのだ。中古カメラ専門店ではないリサイクルショップは,基本的によい出会いが期待できないと感じているが,たまにはこういうこともあるようだ。


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