撮影日記


2012年08月11日(土) 天気:晴のち豪雨のち曇

「ミノックス判の日」を千葉で迎える
木更津といえば狸囃子

「バケツをひっくり返したような雨」という表現があるが,このときの雨は,そんなものではなかったように思う。
 仕事の関係で,千葉駅からバスで40分くらいかかるところにある施設を訪れていたのだが,一連の用事が終わって帰ろうと思うと,外は豪雨。このような激しい雨は,そんなにいつまでも降り続くものではない。かといって,5分や10分で止むようなものでもなさそうだ。泊りがけで出かけていたので,着替えは十分に持っている。少しくらい濡れたって,ショッピングセンターかどこかのトイレで着替えればいい。そう考えて,傘をさして飛び出したのだが,その判断は誤っていた。傘は,なんの役にも立たなかったのである。気象庁のWebサイト(*1)によれば,「バケツをひっくり返したように降る」雨は,1時間の雨量が30mm以上50mm未満の状態を指し,「傘をさしていてもぬれる」ものとのことである。また,「滝のように降る」雨は,1時間の雨量が50mm以上80mm未満の状態を指し,「傘は全く役に立たなくなる」とのこと。つまり,このときの雨は,「バケツをひっくり返したような雨」ではなく,もう1段階激しい「滝のような雨」だったということになる。
 ともあれ,バス停にたどり着いたときには,すでに全身ずぶ濡れ状態である。雨が激しい上に,雷も激しい。雷が近いのか遠いのか,わからない。360度,全方位から雷鳴が聞こえている。本来なら,建物から出るべきではなかったのだ。ともあれ,やってきたバスに乗って,ようやく一息つけることができた。しかし,とくに靴の中がずぶ濡れなのがあまりに気持ち悪いのだが,しかたない。
 街に戻ると,雨は降っていない。もう靴下を履きたくない気分だったのでまずはサンダルの安いのをさがし,たまたま見つけた中古品(笑)を買う。そして,ショッピングセンターのトイレで,スーツからTシャツとジーンズに着替えた。ようやく落ち着いて外へ出ると,大雨である。さっきの雨雲が,こちらへ移動してきたということだろうか。こんどは「どしゃ降り」程度の雨だから,傘をさせば十分にしのげる。

せっかく千葉まで行き,しかも午後には時間に余裕があるのだから,どこかへ行きたいと考えていた。銚子方面には何度か行ったし(2008年3月22日の日記を参照),安房鴨川のほうにも行ったことがあるが,内房線のほうにはゆっくりと立ち寄った記憶がない。なにかおもしろいものはないかと考えていたら,木更津から出ている久留里線というローカル線で,「キハ30」という古いディーゼルカーがまだ使われているという。しかも,今年度限りでの引退も決まっているとのこと。念のために書いておくが,私は「鉄」ではない。そうではなく,古い機械が実際に使われているのが好きなのである。もしかすると,「キハ30」が動いているところを見ることはできないかもしれないが,それでも今のうちに見ておきたい,そう考えて木更津へ足を伸ばすことにしたのである。ただし,大雨に降られ,安いサンダルをさがし,着替えていると,すっかり時間を喰ってしまったため,残念ながら,木更津駅には1時間もいられないことになった。
 さて,今日のメインのカメラは,「アクメルMD」(2010年9月18日の日記を参照)である。
 わざわざ木更津まで足を伸ばし,いまとなっては貴重な存在となった「キハ30」を撮るのに,ふつうであれば画質を期待できないミノックス判のカメラを使うことはない。だが,今日はどうしても「アクメルMD」を使いたい。その理由はほかでもないが,今日が8月11日,すなわち「ミノックス判の日」だからである。
 さて,木更津駅に到着し,車庫のほうをながめれば,奥に「キハ30」が止まっているのが見えた。これで,目的達成である。

ACMEL MD, 15mm F3.5, SHARAN B&W film, Microfine 1:1, FUJIBRO WP FM3

少しあとに久留里線の列車が到着したのだが,そこにも「キハ30」は連結されていなかった。結局,「キハ30」は,車庫の奥のほうにいるのを,遠くから眺めただけで終わった。
 帰りの電車までは,少しだけ時間がある。駅を出て,駅前を少しぶらぶらしてみる。お店があるようだが,土曜日の午後だからなのか,ほとんどのところがシャッターを降ろしている。ちょっと寂しい駅前だ。駅の方を振り返ってみれば,地元の高校の野球部が甲子園大会に出場したことを祝福する横断幕が見えるものの,やはりどことなく寂しい。その寂しさを振り払うかのように,タヌキが踊っているモニュメントがそびえたっている。

ACMEL MD, 15mm F3.5, SHARAN B&W film, Microfine 1:1, FUJIBRO WP FM3

これはなにか?気になるのだが,残された時間は少ない。雨に濡れた荷物,とくにスーツが重く邪魔で,あまりうろうろしたくない気分でもある。あとから知ったことだが,「しょうじょうじの狸ばやし」で有名な「証城寺」が,木更津駅から遠くないところにあったとのこと。惜しい,これは多少の無理をしてでも訪れておくべきだったか。
 まあ,もういちど木更津へ行ってみようという気になったから,これでよしとする。

*1 雨と風の表〜雨の強さと降り方 (気象庁)
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/amehyo.html


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