撮影日記


2012年07月13日(金) 天気:お昼前から大雨

「ネオパンSS」終了のおしらせ
写真のキホンはどうなる!?

夕方,富士フイルムからの発表(*1)にショックを受けた人も少なくないだろう。
 その発表は,モノクロ写真関係の商品の「販売終了」を告げるものである。
 まずは,バライタ紙「フジブロマイド レンブラントV」である。バライタ紙は,扱いがやや面倒であるものの,独特の質感が得られることから愛用者は多かったはずだ。レンブラントVの販売終了によって,富士フイルムからバライタ紙の供給はなくなることになる。RCペーパーである「フジブロWP」や「フジブロ バリグレードWP」は継続して供給されるので,モノクロ写真がまったく楽しめなくなるわけではないのだが,バライタ紙という選択肢がなくなることは,楽しみが大きく減少することになるのである。
 さらに,「ダークレス」という現像器と薬品のセットも,販売終了になる。「ダークレス」は少ない薬品量で,大がかりなタンクなどを使用しないことなどから,たとえば出先などでの急ぎの現像などに対応できるものだ。また,少量を迅速に処理できることから,これを愛用するマニアも少なくないようである。また,種々のタンクやリールなどを買わずに済むという,初期投資が少ないという面から,入門用のシステムとしてみなされることもあったようだ。
 そして,「ネオパンSS」も,ついに販売終了となる。「ネオパン100ACROS」や「ネオパン400PRESTO」は継続して供給されるので,モノクロ写真がまったく楽しめなくなるわけではないのだが,フィルムの選択肢が減るのは,楽しみの大幅な減少につながる。「ネオパンSS」の,固すぎず柔らかすぎずなあいまいさが好きだった人もあるはずだ。なにより,「ネオパンSS」はキホンだと考えていた人も多いだろう。少なくとも,Tri-Xを増感して使うよりは,素直に使えるはずである。
 「ネオパンSS」と「ダークレス」があれば,ちょっと興味をもった人が気軽にモノクロ写真に挑めたはずだ。これらが販売終了になることで,モノクロ写真の敷居が高くなることが懸念される。それは,フィルムを使う人が増えにくくなることであり,それはフィルムの消費量が増えないということであり,…いや,こういうことは考えないことにしよう。富士フイルムからの発表内容は,一部商品の「販売終了」だけではない。残された商品の,価格改定も含まれている。発表によると,「黒白写真処理薬品 全品種30%程度の値上げ」とのことだ。厳しいが,供給が継続されることには感謝せねばなるまい。

私もかつては,「ネオパンSS」をよく利用したものである。ただ最近は,35mm判だけで120ロールフィルムがないので,「ネオパン100 ACROS」ばかりを使うようになっている。個人的に中判カメラを多く使いたいという事情もあるが,120フィルムはほかのサイズにカットして流用するのに扱いやすいことも大きな要因だ。これによって,いまは供給されなくなったフィルムを使うカメラを楽しむことができるのである。たとえば,120フィルムをカットすれば,110カートリッジの詰め替え用フィルムと,127ロールフィルムの巻きなおし用フィルムとが同時に確保できる(2010年2月19日の日記を参照)。
 昨夜もちょうど,エルネマン「Heag 0」で撮影したフィルムを現像した。このとき使ったフィルムも,120の「ネオパン100 ACROS」をカットしたものである。なんか,傷だらけである(笑)。なおこれは,プリントせずにネガをスキャナで読み取ったものである。

Ernemann Heag 0, Ernemann Detektiv Aplanat 10.5cm F6.8, NEOPAN 100 ACROS

こちらは,先日の「中判写真週間」のときに撮ったものだ。このときは,4×5判の「ネオパン100 ACROS」をカットして使った。4×5判フィルムから切り出すと無駄が多いので,その後は120フィルムから切り出すようにしたのである。とまれ,フィルムが供給されていれば,いにしえのカメラたちの多くを,写真撮影に使うことができるのである。
 富士フイルムには,これからもよろしくお願いしたい。

Ernemann Heag 0, Ernemann Detektiv Aplanat 10.5cm F6.8, NEOPAN 100 ACROS

*1 黒白製品 一部製品販売終了 および 黒白写真処理薬品 価格改定のご案内 (富士フイルムイメージングシステムズ株式会社,2012年7月13日)
http://ffis.fujifilm.co.jp/information/articlein_0014.html


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