撮影日記


2012年05月14日(月) 天気:晴のち雨

Canon 110ED試し撮りへの道(2)
自作フィルムは使えない!?

「キヤノン110ED」は,110フィルムを使うカメラとしてはあまり例のない,連動距離計をファインダーに内蔵したタイプのカメラである。また,13mm×17mmという小さな画面に,日付を写しこむ機能が用意されている。これらを体験したくて入手したのだが,あいにくコダックや富士フイルムによる110フィルムの製造および販売は,すでに終了している(2009年7月20日の日記を参照)。
 110フィルムを使うカメラは安価で簡便なものが多いが,高機能なものもある。また,カメラそのものは簡便だが,いろいろなおもしろいカメラもある。110フィルムが供給されなくなったことで,これらのカメラがすべて,写真を撮る道具として使えないものになってしまっていた。それらを少しでもカメラとして 使えるようにするべく,使用済のカートリッジを利用して110フィルムの自作ができるようにし(2010年2月19日の日記を参照),さらに自作したフィルムを自分で現像ができるようにしてきた(2010年5月21日の日記を参照)。こうすることによって細々とではあるが,110フィルムの販売が終了した後も,PENTAX auto110を楽しむことができていた。

ところで,このようにしてつくった自作110フィルムは,本来の110フィルムとまったく同じ機能を提供できるわけではない。本来の110フィルムは,コマとコマとの間にコマ番号が入っており,その位置を確定させるためと思われる孔(パーフォレーション)がある。

私の110フィルム自作方法では,このコマ番号はともかく,パーフォレーションを開けることができていない。カメラによっては,このパーフォレーションを利用して,フィルムの巻き止めやシャッターのチャージに利用していることがある。つまりそのようなカメラには,自作の110フィルムは使えないのである。
 ただし,PENTAX auto110では問題にならない。巻き上げレバーを2回,目いっぱいに巻き上げることで,フィルムが1コマ分送られ,シャッターがチャージされる。
 では,Canon 110EDではどうか。フィルムを入れない状態で,巻き上げレバーを1回,ぐぐっと押しこむとシャッターがチャージされる。シャッターのチャージに,パーフォレーションを利用していないようだ。だから,問題なく使えるだろう。

…ところが,そうはいかなかった。

自作した110フィルムを装填したら,まずはフィルムを空送りする。巻き上げレバーをぐぐっと押しこむと,フィルム室の蓋に設けられた窓から,裏紙が動いているのが見える。巻き上げがちゃんとおこなわれていることも,これで確認できた。そして,おもむろにシャッターレリーズボタンを押す。
 …のだが,これが押せないのである。
 シャッターのチャージがうまくいかなかったのだろうか?と思い,もう1回,巻き上げをおこなう。でも,ダメ。何度か繰り返しても,やはりシャッターレリーズボタンは押せない。電池の残量が少なかったのか?別の故障が発覚したのか?それともやはり,パーフォレーションをなんらかの形で使っているのだろうか?

フィルムを取り出して,もう一度,巻き上げレバーを操作し,シャッターレリーズボタンを押す。こんどは,ちゃんと動作した。どうやら,電池切れや故障ではないようだ。フィルム室の蓋を開けて,よく見てみれば,ああ,なんてことだ,やはりなんらかの形でパーフォレーションを利用しているのである。

さて,パーフォレーションと関係しそうなこの突起は,いったいどういうはたらきをしているのだろうか。
 まず,巻き上げレバーの動作にともなって動く気配は見えないので,直接,シャッターのチャージに関わっているものではないようだ。次に考えられることは,これがシャッターレリーズのロックとしてはたらいている可能性である。シャッターをチャージした状態でこの突起を動かすと,なんらかの手ごたえがある。だがしかし,この突起をどうしたところで,ちゃんとシャッターをレリーズすることは可能なのだ。
 そのとき,さらに奥にも突起があることに気がついた。

奥にあるこの突起は,フィルムが装填されているかどうかを検知するもののようだ。ためしにこれを押さえたままで(フィルムは装填された状態にして),巻き上げレバーを操作してシャッターをチャージしたところ,シャッターレリーズボタンを押すことができないのである。そのまま,手前にある突起を動かしてやれば,シャッターレリーズボタンのロックが解除され,シャッターレリーズができたのである。
 手前の突起は,フィルムがちゃんと送られたことを検知するのに使われているのだろう。

ともかく,Canon 110EDではパーフォレーションがない自作110フィルムが使えない,ということである。さて,どうするか。フィルムが装填されていないときはシャッターレリーズ操作が可能なのだから,奥にあるフィルムが装填されていることを検知する突起をはたらかなくしてしまえばよいことになる。
 いや,それよりも。
 フィルムカートリッジに少し切欠きを設けて,奥の突起に触れないようにすればいいのだ。
 これでなんとか,Canon 110EDでの試し撮りが実行できそうである。


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