撮影日記


2011年11月12日(土) 天気:曇のち晴

筒賀神社の大イチョウ ライトアップを撮る

週末が雨模様でないのは,何週間ぶりのことだろうか。
 この機会を逃すと,もうこの秋には紅葉撮影ができないのではないか?という気分である。しかし,つい2日ほど前には東京に出張があり,そのときの仕事等がつまっている。あまり,のんびりと写真を撮っているような場合ではない。だから,先週のうちに撮影に行っておきたかったわけだが,こればかりはどうしようもない。
 一般的に紅葉が見ごろな場所は,山のほうから平地のほうへと移動する。これまでによく訪れた場所についての個人的な感覚で言えば,常清滝や三段峡の三段滝周辺など山のなかのほうでは,11月3日ごろがちょうど撮りごろである。宮島や佛通寺などの比較的低いところでは,11月20日ころが撮りごろになる。もちろん,その年の気象状況や木の種類などによって差はあるのだが,おおむねそのあたりを目安にしている。そしてそれらの間,11月10日ころといえば,筒賀神社の大イチョウが狙い目になる。これからしだいに黄葉した葉が増えていき,11月20日ころにかけて,あたり一面を黄色いじゅうたんが敷き詰められたような世界に変えていく。
 ところで今日は,筒賀神社の大イチョウをライトアップするということだ。紅葉の時期にライトアップをおこなうのは,はじめてのことらしい。このことは2011年11月11日付けの中国新聞でも報じられていたので(*1),多くの人が訪れる可能性がある。そんな状況のなかでの撮影はあまり歓迎しないのだが,貴重な機会だからぜひとも撮っておこうと思う。

ライトアップは,18時から21時の予定ということだ。明るいうちに現地に着いて撮影場所などを決めておきたいし,今年は紅葉の撮影をしていないので,昼間の状況も撮っておきたい。しかし,どうしても出発が遅くなってしまい,撮影場所に着いたのは,17時を大きく過ぎていた。昼間の状況を撮るには,もう遅い。一面の曇り空で,シルエット的なものも撮れる状況ではない。カメラをセットアップして,ライトアップの開始を待つ。
 今日の装備は,久しぶりの撮影ということで,マミヤプレス一式とする。まっくらなところでの操作になりかねないので,使い慣れたカメラが一番だ。
 日が沈み,足元もほとんど見えなくなった。どのくらいのライトアップをされるのだろうか。時計は18時を指すが,まだ点灯されない。なにやら,あいさつの声が聞こえる。長い。じつに長い,あいさつである。20分ばかりも待たされただろうか,カウントダウンの声が聞こえる。そして,ついに点灯!ようやく,暗闇に大イチョウの姿が浮かび上がってきたのであった。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 250mm F5 (F8, 15sec), E100VS

少しずつ移動しながらしばらく撮影していると,1台のクルマが近づいてくる。そう,ここではほかに,誰も撮影をしていなかったのである。それは役場の人で,しばらく撮影した後「クマに気をつけて」と言って,戻っていった。私もフィルムのキリがよいところで引き上げようと思ったのだが,ふと見ると,少しずつ雲の切れ目が広がりつつあり,きれいな月も見え隠れしている。もう少し,撮影を続けることにした。
 筒賀神社の境内に移動すると,カメラマンらしき人は数人しか見あたらない。もともとあまり来ていなかったのか,あるいはさくさくっと撮って,早々に引き上げてしまったのか。空はかなり晴れてきて,月がきれいに見えるようになってきた。好都合なことに,黄葉したイチョウの向こうに月を見ることができる。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 75mm F5.6 (F8, 15sec), E100GP

20時をすぎると,空がすっかり晴れてきた。星もちらほら見えはじめる。もう一度,もとの場所から撮影する。こんどはイチョウだけでなく,背景の山影や,空の星も写しこんでしまおう。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 100mm F3.5 (F4, 15sec), E100GP

夜景を撮るのは,久しぶりのことである。自分ではかなり「オーバー目」にしたつもりであったが,境内で撮ったもの以外は,もっと露光を与えてもよかったように思う。さて,来年も,このライトアップを撮影することはできるだろうか?

*1 「イチョウ照らして筒賀PR」(2011年11月11日 中国新聞)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201111110020.html


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