撮影日記


2011年11月06日(日) 天気:雨

「Beauday」の謎
「SEIKOSHA」との関係は?

最近,撮影にでかける機会が,めっきり少なくなっている。それでも例年,三段峡にだけは紅葉の撮影にでかけるようにしている。例年だと,三段滝あたりの紅葉が見ごろになるのが,ちょうど11月3日ころである。しかしながら今年は,紅葉の進行がやや遅いようであったので,少し遅らせてこの週末に訪れることを計画した。
 ところが,あいにくの雨模様である。
 雨のなかのしっとりした紅葉も,悪くはない。だが,夜明けころに,雨のなかを駐車場から三段滝まで歩きたくない。そこで,何年かぶりに常清滝に行ってみようと考えた。常清滝なら,駐車場から展望台まで,500m足らず。しかも展望台には,屋根がある。小雨程度なら,さほど問題ない。
 しかし,夜がふけたころから,激しい雨音がする。常清滝の撮影も,あきらめざるを得ない。今年はこのまま,紅葉を撮り逃してしまいそうである。
 そういえば,先週末も雨模様であった。最近,週末が雨になることが多いように感じる。

最近,「Beauday」という腕時計を入手した。ケースの直径は2cm弱で,ずいぶんと小さい。また,付属していたベルトもごく細いチェーン状であることから,女性用のモデルであろうことはわかる。
 しかし,聞いたことのない,メーカーというかブランド名だ。文字盤に書かれている情報は,この時計の名称らしき「Beauday」のほかは,「17 JEWELS」と「ANTIMAGNETIC」という文字だけである。一方,ケースの裏蓋には,「RHODIUM PLATED STAINLESS BACK」と刻まれているだけ。シリアルナンバーどころか,生産国を示すような文字すら,見あたらない。
 「17 JEWELS」というのは,内部の機構(ムーブメント)に,17個の石が使われていることを意味している。時計には多くの歯車等が使われており,それがつねに動き続けている。軸受部などには,摩耗しにくい素材として石が使われているわけだが,それが全部で「17箇所もあるよ」とアピールしているのである。ところで,「jewel」を辞書で引けば,「石」ではなく「宝石」という意味が出てくるだろう。実際,時計のメカニズムに使われる「石」は,(人工)ルビーが使われている。この「Beauday」のように秒針のない2針式の時計であれば,15石くらいのものが多いのだが,それよりも「石が多い高級品」だとアピールしたいのであろう。ともあれ,「名前を知らない」からといって,粗悪な製品ではないのかもしれない。
 「ANTIMAGNETIC」というのは,耐磁ケースになっていることを意味している。時計のムーブメントには多数の歯車が使われているのだが,それらが磁気を帯びてしまうと,時計が動かなくなってしまう。そこで,ある一定の強さの磁力にさらされても,ムーブメントが磁気を帯びないような構造が必要となり,それを実現していることをアピールしているのである。ただ,「ANTIMAGNETIC」をわざわざ書いているということは,この時計がさほど最近のものではないことをあらわしていると思われる。見た目の印象とあわせて考えれば,1960年代前半くらいのものだろうか?

また,ケースの裏蓋にある「RHODIUM PLATED STAINLESS BACK」は,ケースの素材がロジウムメッキされたステンレスであることを示しているだけであり,生産国や発売時期につながるような情報ではない。

ということで,裏蓋をあけて,ムーブメントを見てみることにした。

するとそこには,「SEIKOSHA」という文字が出現したのである。
 「Beauday」は,セイコーのムーブメントを使用していたのである。では,なぜ,「Beauday」には「SEIKO」や「JAPAN」の文字がないのだろうか?
 まず考えられることとしては,セイコーはムーブメントを供給しただけということがある。ムーブメントの供給を受けたどこかのメーカーが,文字盤やケースをつくって「Beauday」という名称で発売したのだろう。そうであれば,「SEIKO」の名称が時計の見えるところに刻まれていないことが納得できる。ではなぜ,「JAPAN」という文字も見あたらないのだろうか?セイコーのムーブメントを利用して「Beauday」を組みたてたメーカーが,日本のメーカーではないなら,「JAPAN」という文字がないのも当然だろう。あるいは,「Beauday」が発売された当時,日本の工業製品にはまだ「安かろう,悪かろう」というイメージがあったとすれば,あえて「JAPAN」という表示をしなかったことも考えられる。
 「Beauday」は,どこかの商社が企画したブランドだった可能性もある。その場合には,「SEIKO」や「JAPAN」などの名前を出さないで製造してほしい,などの注文があったことも考えられる。「Beauday」が流通していた時代は,ペンタックスのカメラが「ハネウェル」の名前で,トプコンのカメラが「ベセラー」の名前で流通していた,そんな時代と同じころ,1960年代前半くらいなのだろうか。
 もしかすると,セイコー自身が,たとえば輸出用などに「SEIKO」や「JAPAN」の名称を出さないようにして製造したのかもしれない。

いかにも古そうな「Beauday」だが,いまのところちゃんと動作している。厳密にはチェックしていないが,何日か動作させてみても,時刻を調整したくなるほどにはずれないようだ。このころすでに,「SEIKOSHA」のムーブメントは,それなりの品質に到達していたということだろう。
 ただ,「Beauday」の文字盤には「17 JEWELS」とあるのに,ムーブメントには「15 JEWELS」と刻まれており,2つ足りない。この2つは,どこに行ったんだ?
 ともあれ,「謎」の残る「Beauday」である。


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