撮影日記


2011年10月06日(木) 天気:晴

ミノックス判をプリントしたい
ガラス入りネガキャリアがあればなんとかなる

ライカのコンセプトは,「小さなネガから大きなプリント」というものだったそうだ。高画質で大きなサイズのプリントがほしいなら,大きなサイズの原版を使うのが王道であろう。しかし,大きなサイズの原版での撮影は,大がかりなものになる。カメラの操作性も悪く,いわゆる速写性とは無縁のものになってしまうだろう。だからこそ,小さくで優秀なカメラが理想ということになる。
 カメラの小ささを追求すれば,ライカ判よりもっと小さいフォーマットがよいことになる。たとえば16mmフィルムを利用するカメラが古くから使われてきた。いくつかの規格が混在していたが,統一規格をつくろうという動きもあったようだ(2006年7月24日の日記を参照)。だが,それは実現されなかったようで,かわってコダックが提唱した110判が普及した。110判の画面サイズ(13mm×17mm)は,ライカ判の画面サイズ(24mm×36mm)の1/4より少し大きいくらいである。110判では簡便で低価格なカメラが中心だったため,ピントも露出もあまりよくないネガができることになり,得られるプリントもいまひとつよくないことになる。それでも,ペンタックス「オート110」のように,高性能のレンズを利用でき,露出やピントをきちんとあわせることのできるカメラも登場した。「さらに小さなネガから大きなプリント」を具現化できたわけである。
 110判よりもさらに小さなフォーマットも,古くから使われてきた。その1つに,ミノックス判がある。画面サイズは8mm×11mmで,110判の40%ほどの面積しかない。そのかわりカメラの大きさが,110判カメラにくらべて劇的に小さくなる。手のひらサイズどころか,親指サイズといってもいいようなカメラも登場した。

小さなネガから大きなプリントを得るためには,ネガを引き伸ばし機にかけなければならない。引き伸ばし機にネガをかけるには,ネガキャリアという部品を使う。ネガキャリアには,ネガの画面サイズにあった穴があけてあり,ネガフィルムをしっかりはさみこんで平面性を保つようになっている。

ネガキャリアは,ネガのサイズにあったものを使うようになっている。

また,引き伸ばしレンズも,ネガのサイズにあったものを使う必要がある。ライカ判であれば50mmレンズ,6×6判であれば75mmレンズを使うのが一般的だ。ライカ判よりはるかに画面の小さいミノックス判であれば,さらに短焦点のレンズを使うのが望ましいわけなので,私の手元にあるもっとも短焦点の引き伸ばしレンズ,38mmレンズを使うことにする。もっともこれは,ハーフ判用の引き伸ばしレンズであり,ミノックス判で使うにはもっと短焦点のレンズでなければ大きな引き伸ばしなどが難しくなる。まあ,手札やカビネくらいにプリントするのであれば,これでも十分だろう。

問題はネガキャリアだ。手元には当然ながら,ミノックス判のネガキャリアなどない。以前は,ライカ判のネガキャリアを使って,無理やりプリントを試みた(2010年9月18日の日記を参照)。それは平面性もあやしく,作業効率もよろしくない。少しでもネガフィルムを安定させるために隅のほうではさむことになり,とにかく使いにくいのだ。

そんなとき,ガラス入りネガキャリアが出てきたのである。いま使っている小型の引き伸ばし機につっこんだところ,なんとか使えそうである。これならば,ネガキャリアのほぼ中央に,プリントしたいコマを置くことができるし,平面性の問題も解決するのである。
 ただ,ガラス面のホコリには,相当な留意が必要になるわけだが。


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