撮影日記


2011年05月19日(木) 天気:晴

今年も印画紙で写真を撮ろう

5月7日は,「大判写真の日」の1つ「5×7判の日」である。「大判写真の日」には,4×5判以上の大判写真を撮るようにしよう。最近はごぶさたしているという人はもちろん,まだ大判写真を体験したことのない人も,この機会にぜひ,大判写真を体験していただきたい。ということで,次の「大判写真の日」は8月10日,「バイテンの日」である。その前に「中判写真週間」もあるので,忘れずに!
 「5×7判の日」であれば,5×7判で撮りたい。昨年のいまごろであれば,富士フイルムの「ネオパン100 ACROS」のラインアップに5×7判も含まれていたのだが,そのときすでに「在庫かぎりで販売終了」ということになっていた。いまあらためて参照したところ,富士フイルムやコダックのラインアップでは,5×7判は特注品しか記載されていない。

5×7判のフィルムが注文できるといっても,それはリバーサルフィルムである。フィルムの価格も現像代も,4×5判にくらべてそれなりに高価である。また,私の手元には,5×7判の撮影ができるカメラがない。似たようなものはあるが,それはカビネ判であり,5×7判よりも微妙に小さい。
 そこで今年も,カビネ判の印画紙を使った撮影をおこなうことにする。
 撮影対象は,近所の公園にある水飲み場の蛇口。そう,テーマはあくまでも「水」なのだ。ところが残念なことに,水がちょろちょろとしか出ない。

OKUHARA camera, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBRO WP FM2

昨年の結果から,印画紙で撮影するときにはその感度をISO3相当とみなし,ややオーバー気味で撮影をおこなった。そして,印画紙用の現像液ではなく,フィルム用の現像液で現像をする。フィルム用の現像液を使うことで,現像の進行がゆっくりになるため,ほどよいところで現像を止めやすくなるためである。
 印画紙用現像液であるコレクトールを使用すれば,10秒ないし15秒くらいで像があらわれはじめるが,フィルム用現像液を使用すれば,像があらわれはじめるまでかなり時間がかかる。今年は,微粒子現像液であるミクロファインを,およそ3倍に薄めたもので処理をおこなったところ,像があらわれはじめるまで2分くらいかかり,像が十分と思える濃さになるまでは5分くらいかかった。これくらい進行がゆっくりしていれば,かなり扱いやすくなるというものだ。
 そして,密着焼きでプリントを作成すると,無事に以下のような写真が得られたのである(周囲の余白・余黒は,スキャン後にカットしている)。

OKUHARA camera, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBRO WP FM2,FUJIBRO WP FM2

さて。
 ここまでであれば,昨年よりはスムースにできましたよ,というだけのことでしかない。これだけでは,ちょっとつまらない。そこで今日は,いわゆるソラリゼーションもためしてみよう。ここでいうソラリゼーションは,現像進行中に光をあてることで部分的に反転した像を得る,サバティエ効果のほうだ。
 通常のネガフィルムから焼きつけした印画紙の現像中に光をあてる方法は,以前に試したことがある(2010年10月17日の日記を参照)。この方法では,印画紙全体がまっくろになりやすく,いまひとつ,おもしろくない。どうせなら,ソラリゼーションをおこなったネガフィルムをつくって,そこからプリントをしたいものである。しかしながら,ネガフィルムでは,セーフライトの光にも反応するわけだから,現像の進行を見ながらソラリゼーションをおこなうわけにはいかない。そこで,印画紙で撮影する意味が出てくるのだ。印画紙なら,セーフライトを使って進行を見ながら現像をおこなえる。

OKUHARA camera, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBRO WP FM2

現像中に露光をあたえたため,周囲の余白がなくなっている。
 これを,上の水飲み場の写真と同じ条件で密着焼きすると,このような写真が得られた。

OKUHARA camera, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBRO WP FM2, FUJIBRO WP FM2

全体に黒っぽ過ぎるので,露光時間を1/4にして焼きなおしてみると,このようになる(周囲の余白・余黒は,スキャン後にカットしている)。

OKUHARA camera, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBRO WP FM2, FUJIBRO WP FM2

同じ被写体で,ふつうの現像をおこなったものをつくらなかったので,ソラリゼーションの効果がよくわからない(笑)。これは,まあ,単純なミスというかなんというか。被写体は鉢植えのクレマチスなのだが,すでに花はしぼんでしまっている。剪定して,次の花が咲くのを待つことにしよう。


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