撮影日記


2010年11月05日(金) 天気:晴

BABY PEARLのために127のスプールを削る

最近,大きなカメラ店の店頭でも,フィルムの売り場はずいぶんと小さなものになった。なんといっても,その種類が少ない。大半がフジのフィルムで,あとはコダック。そして,大きなお店に行けば,イルフォードやフォマのモノクロフィルムが見られるくらい。つい数年前までは,コニカ,アグファ,ポラロイドのフィルムもあったのだから,ほんとうに寂しくなったものである。
 種類が少なくなったのは,ブランドだけではない。フィルムの銘柄も,ずいぶんと少なくなった。たとえばコダクロームも店頭から消えてしまったし,多くの種類があったエクタクロームシリーズも,もはや用途に応じて選択できるような状況ではない。
 そして,フィルムのサイズも少なくなった。最近では,110(ワンテン,ポケット判)フィルムが店頭から消えた。比較的最近に消えた規格としては,ディスクフィルムや126(インスタマチック)フィルムもある。店頭にあるフィルムは,135(パトローネ入り35mm)フィルムと120/220フィルム,そして4×5判のシートフィルムとごくわずかのIX240(APS)フィルムが残るのみ。

しかし,クラシックカメラ専門店などには,フジやコダックが供給しなくなったような規格のフィルムが置いてあることがある。たとえば,127フィルムだ。127フィルムの本来の画面サイズは4cm×6.5cmで,この大きさの像を8枚,記録できるようになっている。これはベスト判とよばれており,このことから127フィルムのことをベスト判,あるいはベストフィルムとよぶこともある。
 ベスト判の4cm×6.5cmという大きさは,セミ判(6×4.5cm)に近い。そういう意味では,ベスト判も中判の一種と考えることもできる。127フィルムは,中判カメラでよく使われる120フィルムと同じように,裏紙とともにスプール(軸)に巻かれているロールフィルムであるが,127フィルムは120フィルムにくらべて幅が狭い。120フィルムの幅が62mmなのに対して,127フィルムの幅は46mmなのである。また,127フィルムのスプールは,120フィルムのスプールにくらべて,かなり細い。この結果,127フィルムを使うカメラは,120フィルムを使うカメラにくらべて,背が低く,厚みも薄いものになる。

「ベビーパール」(BABY PEARL)は,127フィルムを使い,3cm×4cmの大きさの像を記録するようになっているカメラである。このようなフォーマットのカメラは,ベスト半裁判とよばれる。127フィルムを使ったフォーマットでは,あるいはベビー判とよばれる。そもそもコンパクトな127フィルムを,本来の半分の画面サイズで使うベスト半裁判カメラは,実にコンパクトなカメラになるのである。
 コンパクトなのはよいのだが,フィルム巻き上げノブも薄く,巻き上げは楽ではない。しかも,妙に,巻き上げが重いのである。フィルムの終わりのほうになると,1コマ巻き上げるだけでも指が痛くなるほどである。また,スプールの着脱もスムースではない。
 とにもかくにも,スプールが妙にきついので,スプールの片側をやすりで少し削った。これでなんとか,使える状態になる。巻き上げノブにきっちりはめこむ側は金属になっているが,反対側はプラスチックなので,削るのは簡単だ。

「ベビーパール」は,ドイツのツァイス・イコン社の「ベビーイコンタ」を模倣したような,昭和初期の日本製のカメラである。製造は,コニカの前身にあたる六櫻社。当時の日本のカメラは,まだ工作精度があまりよくなかったのであろうか?それとも,当時と現在とでは,127フィルムのスプールの大きさが微妙に異なっているのであろうか?
 「ベビーイコンタ」では,フィルムはスムースに装填できるのだろうか?比較してみたいところだが,そのためには「ベビーイコンタ」との「よい出会い」が必要である。
 「出会い」を求めて,積極的に行動するべきか?いや,果報は寝て待てともいう。よし,今夜はもう寝よう。


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