撮影日記


2010年10月24日(日) 天気:雨

前後にわかれるマミヤセコール

昨日,「ビックカメラ・ベスト広島店」から八丁堀「天満屋」へ行く途中,当然のように的場町の中古カメラ店街に立ち寄った。ここ何年かの間に閉めてしまったお店もあれば,店主が替わったお店もあるものの,的場町はいまだに,「マスヤカメラ」「カメラのミッキー」「オーロラカメラ」「的場カメラ」「日進堂カメラ」「フジ・カメラ」という中古カメラ店が集中する,カメラ好きな者にとって楽しいエリアなのである。
 日進堂カメラを覗いてみると,奥のショーケースにいくつかのジャンク扱いのカメラやレンズが隠れている。そう,このショーケースは,外からは見えない。お店に入らなければ見えないわけで,まさに隠れているのである。昨日,救出したものは,そこにあった,このレンズである。

Mamiya-sekor 250mm F4.5,これは,マミヤRB67用の望遠レンズである。新設計のKLレンズでもなければ,マルチコート化されたMamiya-sekor Cでもない。RB67用レンズとして,モノコートの初期のものだ。見せてもらったところ,レンズにカビが生じているようであるが,シャッターはほぼ快調に動いているように見える。この種のレンズは,レンズ構成枚数もあまり多くないはずだから,分解してカビのある面に到達するのは,たぶん容易であろう。救出に必要な費用は2000円ということなので,迷わず救出することにした。いや,じつは少しは迷ったのである。それはこのレンズ,決して軽いものではないのだ。
 そうはいっても,マミヤプレス用のMamiya-sekor 250mm F5にくらべれば,かなりコンパクトで軽いレンズである。マミヤプレス用の250mmが,大きすぎるだけなのかもしれないが。

日本カメラショーの「カメラ総合カタログ」で確認してみると,Mamiya-sekor 250mm F4.5は,RB67シリーズのはじめから用意されていたレンズの1つのようだ。vol.38 (1970年)にはこれを含めて,65mm F4.5,90mm F3.8,127mm F3.8の計4本のレンズが掲載されている。RB67用のレンズは,ラインアップを増やしながら徐々にMamiya-sekor Cシリーズに置きかえられていき,vol.64 (1979年)では,Mamiya-sekor Cレンズは37mm F4.5から180mm F4.5まで8本がラインアップされ,Mamiya-sekor Cでないレンズは250mm F4.5,360mm F6.3と500mm F8の3本だけになっている。そして,vol.67 (1980年)では,Mamiya-sekor C 250mm F4.5が登場し,Mamiya-sekor 250mm F4.5はカタログから消えたようである。なおこのとき,360mm F6.3もMamiya-sekor Cになり,Mamiya-sekor Cでないレンズは,500mm F8だけになっている。
 さて,救出したMamiya-sekor 250mm F4.5にはカビが生じている。さっそくこれを掃除することにしよう。カタログによれば,このレンズは4群5枚構成とのこと。そして,前群と後群との間に,シャッターや絞りが配置されている。観察してみると,カビの位置は前群レンズのもっとも後ろ側と,後群レンズのシャッター側とに見られる。前群レンズをはずすことができれば,どちらの面にも容易に到達できるだろう。さてこのレンズ,見るからに前群をねじれば簡単にはずれそうだ。はたして前群を握って,くいっと力をこめれば,簡単に前群と後群とに分離したのであった。

ありがたいことに,前群レンズのカビは,外側に生じていたので簡単に清掃することができた。そして後群のカビも,シャッターのすぐ後ろにあったので,これも簡単に清掃できたのである。これは,なかなかよい出会いだったのではないだろうかと満足げにレンズを清掃する,そんな雨の夜だった。


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