撮影日記


2010年09月12日(日) 天気:晴のち曇 夜には雨

スカイウォークの危機

「比治山スカイウォーク」が,いま,存続の危機に直面している。
 「広島市事務事業見直し等検討委員会(*1)」によって,見直しの対象になっているのだ。
 「比治山スカイウォーク維持管理」は,2010年8月20日の会議の議事内容に含まれ,出席した委員4人全員が「廃止すべき」という意見になったということが,翌21日の新聞で報道されていた。

「比治山スカイウォーク」は比治山の東側にあり,山の上と麓のSATYとを結ぶ通路である。
 国土地理院発行の1:25,000の地形図を参照すれば,比治山の山頂の標高は70.9m。比治山は「山登りをしよう」と考えればたいした高さではないのだが,山の上の公園などに行こうと思った高齢者や小さな子どもなどにとっては,けっして楽なものではないのである。「比治山スカイウォーク」は,ムービングロードとエスカレーターで,山を一気にのぼってしまうものだ。山をのぼった先には広島市現代美術館があり,さらに先へ少し下ると,広島市まんが図書館がある。比治山公園の上にも駐車場はあるのだが,数が十分ではないせいか,「駐車禁止」とされている途中の道路や,広島市まんが図書館前のロータリーに多数の駐車車両が見られることもあるのが現状である。
 だからといって,山の上の公園内の駐車場を広げることは,望ましくないだろう。いくら小さくても,そこは山。木々の生い茂る空間である。そんな空間を,無機質なクルマを止めるために切りひらくのは,もったいないというものだ。「比治山スカイウォーク」があれば,SATYの駐車場を利用することも可能だし,SATYの前にあるバス停を利用することも可能になる。
 しかし現実には,「比治山スカイウォーク」の利用者は多くない。とくに平日は,閑散とした状況とのことだ(平日に行くことがないので,実際どれくらい閑散としているのかはわからないのだが)。それでいて,機器の維持管理に一定の支出が必要になっており,財政に余裕のない広島市としては,「無駄を省く」対象にしたいと考えるのもしかたのないところだろう。

今日は朝から,広島市まんが図書館を訪れた。この図書館の開館は,10時である。ほかの図書館とは開館時刻が違う(ほかの図書館は9時開館)ので,要注意。
 「比治山スカイウォーク」のエスカレータが頂上に近づくと,警備員さんらしき人の姿が見える。時刻は,広島市まんが図書館の開館時刻の10時ころ。地元の人の朝のお散歩タイムが終わり,広島市まんが図書館や広島市現代美術館に,人びとが訪れはじめるころである。なかには不案内な人もあるかもしれない,ということで警備員さんが配置されているのだろうか?あるいは,掃除などをされていたのであろうか?などと考えていると,「アンケートにご協力をお願いします」という声がする。
 アンケートの内容は,「比治山スカイウォークを知っていたか」「どれくらい利用するか」「なんのために利用するか」というもの。「比治山スカイウォーク」が廃止の対象になったことから,利用実態を調べたり利用者の声を集めたりしようと考えているのだろう。

アンケートの質問項目のなかには,「SATYの駐車場が日曜日は無料開放になることを知っていたか」というものもあった。もし,「知らなかった」という回答が多ければ,もっとアピールすることで利用者が増えることを主張できるのかもしれない。しかしそんなことを考える間もなく,「知っていた」と正直に答えてしまった。ま,いいか。
 個人的にはよく利用する(といっても,月に数回くらいか)し,これがなくなると比治山へ足が遠のくことは間違いない。できれば存続してもらいたいものだが,さてどうなることか。
 なにせ,「比治山スカイウォーク」は,無料で利用できる施設だ。山にのぼるための有料のエスカレーターである「江の島エスカー」とは,わけがちがう。いくら利用者が増えても,収入が増えるわけではないのだ。赤字ローカル線のような「乗って残そう」運動をしても,意味がありそうには思えない。だが,利用者が増え,地元ににぎわいが感じられるようになれば,「やはり存続させようか」という考えも出てくるようになるのではないかなどと考えている,そんな状況なのだろう。

*1 http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1280637050006/index.html


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