撮影日記


2010年08月07日(土) 天気:はれ

8月10日は「バイテンの日」

広島市内の移動には,自転車が便利だ。いや,広島市内にかぎらず,都市部での移動には,自転車がいちばん便利なのである。ただ,ずっと以前とはちがって,広島市内中心部では自転車を駐輪しにくくなっている。どうせ苦労するなら,クルマで移動したほうが楽だ,と考える人が多くなっても,しかたないかもしれない。
 広島市内を自転車で移動するとき,難所になり得るのは「橋」である。橋の前後は急なこう配になっており,そこをふつうの自転車で乗り越るのは,すこし面倒である。電動アシスト自転車がほしい,と考えるのであった。
 しかし,ある程度の範囲を撮ってまわるには,自転車の機動力は魅力的である。クルマでも電車でも,結局,駐車場あるいは駅からは徒歩になる。

残念ながら,私がいま使っている自転車は,電動アシスト自転車などではない。内装3段変速もないような,ふつうの自転車にすぎない。だから,あまり長距離の移動には向いていないわけだが,無理にスピードを出さないならば,片道30分くらいなんてことはない。それでも,徒歩では考えられない距離を移動できるのだから。ただ,大きな三脚を運ぶのは難しい。カメラやレンズ等は,リュックに入れて背負ってしまえば楽なのだが,三脚はそうはいかぬ。スリック「マスター」クラスが,せいぜいといったところか。
 なんといっても,自転車での移動は,なによりも健康によさそうだ。ここしばらく,自転車で移動をするようにしているのだが,あっという間に体重が2kgほど減った。まあ,それまでの生活が不摂生過ぎただけかもしれないが。

8月10日は,「バイテンの日」である。そう,「シノゴの日」「ゴナナの日」に続く,大判写真の日の第3弾だ。「バイテン」とは,「エイトバイテン」すなわち8×10の略。8×10判の撮影ができる機材をもっている人は,あまり多くないとは思う。また,フィルムや現像のコストも,それなりにかかるだろうから,興味があっても手を出せない人は少なくないだろう。かくいう私も,8×10判には手を出せないでいるうちの,ひとりだ。だから,8×10判を撮影できる方は,「バイテンの日」にはぜひ,8×10判で撮影をしていただきたい。また,8×10判にかぎらず,4×5判以上の大判写真を撮影できる方は,ぜひこの機会に大判写真を広めていただきたく思う。
 さて,私の手もとに8×10判の機材はない。ただ,それに近いものはある。それは,四切1/2まで撮ることができる,組立暗箱である。その試運転は,8月1日に成功した。8月10日は平日なので,撮影する時間はとれそうにない。ちょっと先取りで,「バイテンの日」を実行するのだ。

OKUHARA CAMERA, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBRO WP FM2

まずは「原爆ドーム」を撮ってみる。このカメラでここから撮る理由は,レンガの1つ1つがちゃんと写っていることを確認するため。原版がすでに四切の半分のサイズなのだから,引き伸ばしをしなくても,ルーペなど使わなくても,川の向こうにあるレンガの1つ1つを楽に見ることができるのである。大きなフォーマットの魅力の1つである。

OKUHARA CAMERA, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBRO WP FM2

つぎに,四切1/2のやや長い画面を活かせそうな場所として,「原爆の子の像」を選んだ。像そのものは縦に長いわけだが,その周囲に広がる折り鶴台をあわせてみれば,横長の構図に落ち着くと考えたのである。
 ところで,今日は8月7日。言うまでもないが,昨日はここ平和記念公園で「平和記念式典」がおこなわれていた。そのためか,外国からの旅行者と思われる人の姿も目立つ。「原爆の子の像」は,そういう人たちが立ち寄るスポットの1つだ。そんな場所で,古風な組立暗箱を広げていれば,しかも四切1/2判なので,それなりに大きい。さらに,冠布をかぶるわけだから,目立ってしまうのだろう。気がつくと,カメラを向けられていたりする(笑)。ま,いいか。
 こういう場所は早々に撮影を終えて立ち去りたいのだが,なにせ人がつぎつぎやってくる。それでも上の写真に見られるくらいには人が途切れる瞬間は訪れる。ここでなんとか2カット撮って,平和公園を後にする。

OKUHARA CAMERA, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBRO WP FM2

今日はとても天気がよく,しかもまだ日は高い。それでもF11あるいはF16くらいまで絞りたいと思えば,露光時間は1/2秒あるいは1秒くらいはほしいものだ。だから,動いているものを撮るのは,まあ無理だ。でも,止まっているものならば問題ない。
 本川町の電停を見おろせる歩道橋の上で,連接車が並ぶタイミングを待つ。連接車でなければ,正面の位置がそろわないのだ。このカットは,電車がうまい具合にならび,かつ,道路上の自動車は動いているので適度に流れてくれた,なかなか好都合な写真になったのだが,現像のムラだろうか,あるいは印画紙を冷蔵庫から出すときに結露させてしまったのだろうか,原版にムラが生じてしまったのが残念である。

さて,次の大判写真の日は,11月14日だ。時間がとれればその機会にも,今日と同じように,四切1/2判の撮影にチャレンジしたいものである。


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