撮影日記


2010年06月12日(土) 天気:晴れ

パノラマ写真の日

今日は,「パノラマ写真の日」である。というか,そういうことにした。「シノゴの日」や「中判写真週間」同様に,勝手に決めたものである(笑)。
 パノラマ写真とは,一般的な写真よりも横(あるいは縦)に長いものをさす。そのような写真をつくるためには,大きく2つの方法がある。

1 複数の写真をつなぐ

1つの方法は,少しずつずらして撮った写真を並べてつなぐことで,一連の長い写真にするものである。1つ1つの写真を標準レンズ(ライカ判で50mmくらいのレンズ)で撮っていれば,両端部での歪み等も目立たず好都合なのだが,少ない枚数の写真でより広範囲をカバーしようと欲張って,不用意に広角レンズを使うと,中央付近と周辺部とで被写体の大きさの違いが目立ち,つなぎあわせることが難しくなる。最近は,ディジタルカメラと画像処理ソフトウェアを使うことで,このような合成作業も楽になっているようだが,私自身はまだそのような機能を試したことがない。

Nikon FM, Ai NIKKOR 50mm F1.4, G400

2 パノラマカメラを使う

「パノラマカメラ」とよばれるカメラを使って撮影すれば,複数の写真をつなぎ合わせる必要なく,長い画面の写真を得ることができる。
 「パノラマカメラ」には大きく2種類あり,1つは,レンズがぐるっと回転することで,広い範囲を写しこめるようになっているものである。パノンカメラのWIDELUXやロシアのHORIZONなどが有名だが,あいにく私はこれらのカメラを使用したことがない(もちろん,所有したこともない)。
 もう1つは,一般的なフォーマットよりも横に長いフォーマットを採用したカメラである。たとえばパトローネ入り35mmフィルム(135フィルム)を使い,通常のライカ判の2コマ分の長さに,1コマの長い視野を写しこむようになっているフジのTXシリーズや,120フィルムを使って約6cm×約17cmの長い画像を得るようになっているフジGX617といったカメラがよく知られている。そのほか,中判カメラのフィルムバックとして,35mmフィルムを使って長い画像を得るようになっているものや,4×5判のビューカメラ用に,約6cm×約12cmのフォーマットのフィルムホルダが用意されているようなケースもある。
 しかし「パノラマカメラ」としてもっともポピュラーなものは。ライカ判の天地を少しカットして,13mm×36mmの長い画像を得るようになっているカメラであろう。要は,長い画面になるようにトリミングをして,通常(L判,89mm×127mm)より長い印画紙(L判を2枚並べた大きさ,89mm×254mm)にプリントしているのである。トリミングしてより大きな印画紙にプリントするのだから,引き伸ばしの比率がかなり大きくなる。その分,きちんと撮影しなければ,ぼんやりした締まりのない写真になって,がっかりするだけになる。パノラマサイズは,印画紙をたくさん消費し,大きなプリントで単価も大きくなることから,販売する側には期待された機能だとは思うが,今ひとつ人気にならないのは,「高いだけで,きれいじゃない」プリントになってしまうからだと思われる。

6月4日から9日は「中判写真週間」である。これは120フィルムを使う中判カメラでよく使われるフォーマットである6×4.5判,6×6判,6×7判,6×8判,6×9判にちなんだ日であるが,同様に120フィルムを使うパノラマカメラで見られる6×12判,6×17判,6×24判にちなんだ日を,「パノラマ写真の日」とすることにしたのである。
 ところがあいにく,私はそれらのフォーマットのパノラマカメラを所有していない(使ったこともない)。「パノラマ写真の日」を提唱しておきながら,その日にパノラマ写真を撮らないわけにはいかないだろう。だからといって,120フィルムを使うパノラマカメラを買うだけの度胸はない(^^;
 そこで今日は,ニコンF70Dの出番となる。もちろん,「パノラマ途中切り替え機構」を利用して,13mm×36mmのフォーマットで撮影するのだ。

せっかく長い画面のパノラマ写真を撮るのだから,超広角レンズを使うことにする。いや,望遠レンズを使ったパノラマ写真も,それはそれなりに効果があるのだろうが,今日のところは単純に,超広角レンズを使う。
 こういうとき,手もとにあるレンズのなかでは,SIGMA AF14mm F3.5の出番となるのだが,このレンズはなにせ大きく重い。今日は比較的小型軽量の,AF NIKKOR 20mm F2.8Sを使うことにした。ボディが比較的軽量で,動作音も小さなF70Dと組み合わせることを考えれば,適切なレンズだと思う。
 ところで超広角レンズとは,ライカ判で28mmレンズよりも焦点距離の短い(写る範囲が広い)レンズをさすことが多い。ただ最近は,短焦点側が24mmくらいまでカバーする高倍率ズームレンズもめずらしくないし,ビューファインダーシステムカメラ(いわゆるレンジファインダーカメラ)用に10mm台前半の超広角レンズが供給されるようになったので,20mmより短焦点のものでなければ超広角レンズとは呼びにくいかもしれない。まあ,かつては28mmレンズが超広角レンズと称していた時期もあったのだから,こういうあいまいな呼び名の細かいところにこだわる必要はないだろう。

さて,先日同様に,古いお店などを撮ってみよう。

Nikon F70D, AF NIKKOR 20mm F2.8S, O76 filter, NEOPAN 400 PRESTO
ILFORD MGIV RC
Nikon F70D, AF NIKKOR 20mm F2.8S, O76 filter, NEOPAN 400 PRESTO
ILFORD MGIV RC

パノラマだからといって,横長ばかりじゃつまらない。縦長の画面も,撮ってみればおもしろさがわかるはずだ。

Nikon F70D, AF NIKKOR 20mm F2.8S, O76 filter, NEOPAN 400 PRESTO
ILFORD MGIV RC
Nikon F70D, AF NIKKOR 20mm F2.8S, O76 filter, NEOPAN 400 PRESTO
ILFORD MGIV RC

あなたが「パノラマ途中切り替え機構」のあるカメラをもっていながら,その機能を使ったことがないとすれば,それはあまりにもったいない。せめて「パノラマ写真の日」くらいは,いわゆるパノラマフォーマットで撮影をしてみてはいかがだろうか。
 まあ,普通にライカ判で撮影しておき,いわゆるパノラマフォーマットにトリミングしてプリントすれば済む話ではあるのだが。


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