撮影日記


2010年05月08日(土) 天気:晴

5月7日は「ゴナナの日」だった

昨日5月7日は,「大判写真の日」の第2弾,「ゴナナ(5×7判)の日」であった。しかしながら,平日にはさすがに,大判写真を楽しむだけのゆとりがもてない。そこで1日遅れではあるが,土曜日である今日に「ゴナナの日」を楽しむことにした。
 今日のカメラは厳密には5×7判ではないが,ほぼ近い画面サイズのカビネ判の組立暗箱である。カビネ判のフィルムは,たとえば富士フイルムから「ネオパン100 ACROS」が発売されているものの,在庫かぎりで販売終了が決まっている(*1)。そこで,カビネ判の印画紙での撮影を試みた結果,以下のような方法で実用になりそうな画像が得られることがわかった(2010年4月29日の日記を参照)。


  • 使用するのは2号印画紙「フジブロWP FM2」。
  • ISO 3として撮影する。
  • モノクロフィルム用現像液で現像する。(たとえば,SPD,20℃で約120秒)

今日はこれを基準にさらに撮影をおこない,確認をしたい。
 前回の撮影対象は,近くの公園のようすである。トーンが豊富であってもそれほどでなくても,さほど違和感なく見られるものだったし,色の変化も少ないものであった。まずはそれと対照的な被写体として,花の接写をおこなうことにした。ちょうど植木鉢に,ガザニアが咲いている。

Nikon D70, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

花の接写といえば,上のディジタルカメラでの撮影のように,望遠マクロレンズを使うのが1つのパターンであろう。APS-Cサイズで105mmレンズは,かなりの望遠レンズである。ところがカビネだと210mmレンズであっても,どちらかといえば広角レンズ。それでも大きめの組立暗箱だから,蛇腹が伸びる,伸びる。ぐんぐん伸びて,植木鉢がカビネの画面いっぱいに。これをISO 3として撮影。SPDで現像し,乾いたら密着焼きでプリント。

OKUHARA CAMERA, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBLO WP FM2 (ISO 3) / SPD (120sec)

ガザニアの赤みを帯びた花も,緑の葉も,いずれもかなり黒く表現されている。フジブロ WP FM2のデータシート(*2)を参照すれば,感度はおよそ波長350nmから500nmの範囲にあり,緑,黄,赤などへの感度が著しく低いことがわかる。赤い花や緑の葉を表現するには,もっと露光を与える必要があったということだろう。あるいは,「フジブロマイド レンブラントV」など波長550nmあたりまで感度のあるような印画紙を使うことを考えるべきかもしれない。

このあと,フィルムで撮ったものとの比較をするため,「シノゴの日」のときに撮った神社へ行った。当然ながら,もうサクラは咲いていない。「シノゴの日」には花が咲いて白っぽかったサクラが,新緑でむしろ黒っぽくなっている。
 2010年4月3日の日記の画像は,モノクロネガフィルムをそのままスキャナで読み取り,反転させたものだが,下の画像は,そのときのネガフィルムを密着プリントしたものだ。

OKUHARA CAMERA, FUJINAR 21cm F4.5, NEOPAN100 ACROS

一方,「フジブロWP FM2」で撮影し密着プリントしたものは,このようになった。

OKUHARA CAMERA, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBLO WP FM2 (ISO 3) / SPD (120sec)

これを見るかぎりでは,画像の鮮鋭さはやはりフィルムで撮ったものの方が優れているようだ。フィルムと印画紙という差もあるだろうし,印画紙での撮影は感度が低いことから,十分に絞りこめなかったり,ブレの影響も出たりするものと思われる。しかし,その「甘さ」が,どことなくレトロな感じがあって,よい方向に影響しそうである。このやり方で古い街並みを撮っていくのも,おもしろくなりそうだ。

*1 http://fujifilm.jp/personal/jan/monochrome/film.html

*2 http://fujifilm.jp/support/pdf/filmandcamera/datasheet/ff_fujibrowp_001.pdf


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