撮影日記


2010年02月23日(火) 天気:晴

ベビーパール再起動

どんな優れたカメラであっても,フィルムがなければ写真を写すことはできない。ライカが古くから高い評価を維持しているのは,もちろん,その品質や性能のよさが多くの人に認められてきたからである。だがそれだけでなく,ライカで使えるフィルムは,いまでも安定して供給されている。このことが大きな要因であることを忘れてはいけない。
 供給されなくなった規格のフィルムを使うカメラは,しだいにその存在を忘れられていく。127フィルムを使うカメラは,その小ささゆえに一時期はかなり普及したようだが,いまではフィルムがほとんど供給されておらず,一部の熱心な愛好者がなんとか使い続けているにすぎない状況だ。
 絶版になったフィルムを使うカメラで撮影をしたければ,なんとかして規格にあったフィルムをつくらねばならぬ。裏紙付きのロールフィルムである120フィルムは,現在でも安定して供給されており,他の規格のフィルムをつくることに流用できる可能性もある。そこで,先日の日記で紹介したように,110フィルムの自作(巻きなおし,詰め替え)を紹介した。110フィルムの巻きなおし用に幅約16mmのフィルムを切り取ると,残った部分は幅約46mmとなり,これが127フィルムの巻きなおしに利用できるのである。

久しぶりに取り出したBaby Pearlは,シャッターも動いているし,蛇腹の光線漏れもなさそうである。
 Baby Pearlは,ベスト半裁判とよばれる規格のカメラだ。手のひらにすっぽりとおさまる,コンパクトなボディ。その画面サイズはおよそ40mm×30mm,文字通り,ベスト判のハーフサイズである。ベスト判の画面サイズは,セミ判とほぼ同じ。言いかえれば,ベスト半裁判は,セミ版の半分の大きさである。Baby Pearlは,セミ判スプリングカメラに似たスタイルをしているが,セミ判スプリングカメラよりもさらに一回り小さい。そもそもセミ版は,ブローニー版のハーフサイズ。セミ版スプリングカメラは折りたたむことができ,そのコンパクトさがひときわ強調されるわけだが,それよりさらにコンパクトなのである。
 Baby Pearlは,小さいからといって,レンズに妥協はしていないように見える。

Baby Pearl, Hexar 5cm F4.5, ACROS

そうだ。小さくてよく写るカメラは,無条件に楽しいものなのである。
 小さくてよく写る,それはauto110にも通じる楽しさ。

Baby Pearl, Hexar 5cm F4.5, ACROS

昨年3月に,GF670という6×7判のカメラをあらたに発売した富士フイルムだが,最近になって,フィルムのラインアップを整理することを発表した。それによると,120サイズのモノクロフィルムのうちNEOPAN PRESTO400の発売が終了になるという。また,残るNEOPAN AROS100も,販売形態が5本パックだけになるとのこと。まあ,いまさらフィルムを使う人は,1本しか使わない,なんてことはないだろうから,5本パックだけになるというのは合理的にも思えるが。
 NEOPAN ACROS100だけでも発売が続いてくれれば,120サイズで使うのはもちろんのこと,フィルムをカットし,巻きなおすことで,110サイズや127サイズでも使えるのである。フィルムの需要が激減するなか,富士フイルムの企業努力には敬意を払うべきであろうが,1人のユーザのわがままとしては,富士フイルムにはこの程度ではなく,もっともっとがんばってもらいたいと願うのであった。


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